40代からの複線キャリア戦略:理想とのギャップと次世代への視点

理想と現実のギャップ 複線キャリア戦略
理想と現実のギャップ

キャリアの理想と現実のギャップ

「いつかやりがいのある仕事に出会える」——これは社会人になりたての頃、多くの人が抱いた理想です。2025年のJob総研調査では、68.7%が「新卒時にキャリアの理想を持っていた」と回答しています。主な理想像は「努力が報われる職場」「やりがいを感じる仕事」など、極めて健全で前向きなものでした。

しかし現実はどうでしょうか。現在、その理想とのギャップを感じている人は76.2%。中でも転職経験が「2〜3回」の人では84.1%と、経験を重ねるごとに理想との距離が意識されやすくなる傾向が顕著です。

40代目前に感じたのは「このまま1本で突き進んでいいのか?」という違和感でした。年功序列・役職主義が強い組織では、「評価されたい」という思いが成果と直結しづらくなり、理想とのズレに向き合わざるを得ませんでした。

では、そのギャップはすべてネガティブでしょうか? 実はそうとも言い切れません。調査では、79.5%が「これまでの仕事経験は良かった」と回答しています。中でも、「感謝されたとき」「成果が認められたとき」「難題をやり遂げたとき」がポジティブな記憶として挙げられていました。理想とのズレがある一方で、仕事の中に肯定的な経験を見出しているのです。

⚠️ 落とし穴:理想とのズレを「失敗」と誤認してしまうこと
解決策:キャリアの評価軸を「達成」より「意味」にシフトさせる

キャリアの正解は、変化にどう向き合ったかで決まる

「次世代に残したいか」が示す新しいキャリア軸

仕事を「自分の子どもに継がせたいか?」という問い。これまであまり語られてこなかったこの観点が、2025年調査では新たなキャリア観として浮上しました。実に62.3%が「子どもが自分と同じ仕事をしたいと言ったら嬉しい」と答え、65.1%が「自分の仕事を次世代に残したい」と回答しています。

特に注目すべきは、その理由の上位。「社会に役立つ実感がある」(48.2%)、「多くの人の生活に関われる」(45.7%)といった、“自己実現”から“社会貢献”への価値観のシフトです。これは単に自己満足ではなく、仕事を通じて社会との関係性を再定義しようとする動きと読めます。

一方で、「AIなどのテクノロジー進化により不透明」という理由で“残したくない”と答えた人も36.7%いました。私自身、フリーランスに転向する際に「今の技術が5年後に通用するか?」と不安に感じた経験があります。けれどその不安が、新しいスキル習得や発信力強化のきっかけになりました。

つまり、複線キャリアとは「複数の職務を持つ」だけでなく、「複数の視座を持つ」ことでもあるのです。「今の仕事をずっと続けたい」派(42.5%)と、「転職や異動」「プライベート優先」派(約30%)が共存する現在では、自らの軸を柔軟に見直すことが求められています。

⚠️ 落とし穴:「残す価値のない仕事」と自己否定してしまうこと
解決策:「誰の役に立つか」で自分の仕事を再定義する

未来に残したいと思える仕事は、変化に寄り添った仕事である

まとめ:キャリアは「一本の道」ではなく「選べる道」に

キャリアはもはや、一本道のレールではなくなりました。理想と現実のギャップに気づいた今こそ、自分の価値観を再定義し、社会や次世代とつながる複線的な戦略が必要とされています。

★重要ポイント

  • 68.7%が「理想のキャリア」を持って社会に出るが、76.2%がギャップを実感
  • 仕事経験を「良かった」と感じる人は79.5%と多数派
  • 62.3%が「子に継がせたい」、65.1%が「仕事を次世代に残したい」と回答
  • AI・物価高などの変化が、複線的キャリア思考を促進している

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