AIチップの再輸出許可は、レアアースと引き換えの“政治取引”だった。
「どうせまた規制されるんでしょ?」と半信半疑だった現地パートナーが、急に発注をかけてきた──。そんな現場あるあるの背後で、NVIDIAのGPU「H20」が中国市場に帰ってきます。背景には、AI覇権と希少資源を巡る米中の“静かな交渉”が。
🧠 なぜ今、中国向け再輸出が動き出した?
NVIDIAは2025年7月、AI向けGPU「H20」の中国向け販売再開に向け、米商務省へライセンス申請を行いました。きっかけは、レアアース(希土類)を巡る米中交渉。
✅ AIチップとレアアースを「同じ枠組み」で交渉
商務長官ハワード・ラトニック氏の発言がカギ。「磁石の取引と同じ枠組みに盛り込んだ」と、まるで交渉カードのように扱われているのが分かります。
✅ トランプ大統領とNVIDIA CEOの面会直後
“ジェンスン砲”の後押しもあってか、同発表直後にNVIDIA株は4%上昇。AMDもMI308チップの許可取得を狙い、業界全体が活気づいています。
⚖️ 安全保障か?経済優先か?揺れる米政界
ところがこの動き、ワシントンでは賛否両論。
✅ 規制強化派:「矛盾してる」と猛反発
「危険なほど対中方針と矛盾している」──民主党のクリシュナムルティ議員の言葉に、共和党のムーレナール議員も詳細説明を求める構え。
✅ 現場の声:「輸出停止で150億ドルの売上損」
NVIDIAにとって、中国市場は売上全体の13%(約170億ドル)。H20の販売再開でようやく“ドーピング禁止解除”となるわけです。
🧩 「制限付きH20」にも広がるニーズ
再出荷されるH20は“性能制限版”ですが、自社ソフトと完全互換という強みは健在。テンセントやバイトダンスなど中国IT大手も発注検討中とのこと。
ちょうど、「制限はあるけど、ちゃんと動く」という点では、1歳娘のイヤイヤ期対応と同じ。100%思い通りにはならないけど、折り合いをつけて動かすのが今の現場です。
まとめ:AIとレアアース、静かなる“資源戦争”の現在地
NVIDIAのH20再出荷は、AI時代の「資源外交」そのもの。
米中対立のなかで、技術と資源は切っても切れない関係に。読者の皆さんも、自社の取引先や仕入れ先が“政治の風向き”にどう影響されるか、一度棚卸ししてみるのがよさそうです。
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