冒頭の結論(まず知っておきたいこと)
リスキリングを始めたい社会人にとって、活用できる公的支援は大きく分けて3種類あります。
✅ 教育訓練給付制度(国の制度):受講費用の一部を払い戻し
✅ 助成金(厚労省など企業向け):会社が社員の研修をするときに補助
✅ 自治体独自の制度:地域ごとに補助金や奨励金を支給
制度をうまく使えば、受講料を数万〜数十万円節約できます。では、どんな仕組みなのかを詳しく見ていきましょう。
なぜリスキリングに支援制度があるのか(背景)
デジタル化や働き方の変化により、社会人に求められるスキルは年々変化しています。
そのため、国や自治体は「学び直し=リスキリング」を後押しするために、費用を補助する制度を用意しています。
特に20〜40代の会社員や転職希望者にとって、これらの制度を知っているかどうかで学習コストが大きく変わります。
教育訓練給付制度(国の制度)
概要
教育訓練給付制度は、雇用保険に加入している人が対象です。厚生労働大臣が指定する講座を修了すると、受講費用の一部が戻ってきます。
対象となるのは、簿記やFP、TOEICなどの語学、プログラミング、介護や保育関連の資格など。逆に、趣味的な講座は対象外です。
3つの区分(表で整理)
制度 | 支給率 | 上限額 | 特徴 |
---|---|---|---|
一般教育訓練給付金 | 20% | 10万円 | 語学、簿記など広く利用可能 |
特定一般教育訓練給付金 | 40% | 20万円 | 専門性が高い資格が対象 |
専門実践教育訓練給付金 | 50%(最大70%) | 年40万円 | 看護・保育・高度ITなど長期講座 |
対象者と条件
- 雇用保険の加入歴が 原則3年以上(初回利用は1年以上)
- 離職中でも1年以内なら利用可能
- 前回の受給から3年以上経過していること
申請の流れ
- 受講する講座が対象かを事前に確認
- 講座修了後、1か月以内にハローワークで申請
- 修了証や領収書を提出 → 給付金が支給
ポイント
- 厚労省の「教育訓練講座検索システム」で対象講座を調べられます
- 申請を忘れると支給されないため、修了後すぐに行動しましょう
助成金(厚労省の制度)
個人ではなく企業が申請する制度です。代表例は「人材開発支援助成金」。
会社が社員に研修を受けさせるとき、研修費用の45〜70%や研修中の賃金の一部を補助してもらえます。
中小企業ほど補助率が高く、IT研修や資格取得研修でも活用されています。
会社員の方は「うちの会社も使える?」と総務や人事に確認してみるとよいでしょう。
自治体の支援例
地域ごとに独自の補助があります。代表的なものを紹介します。
- 東京都:「DXリスキリング助成金」で研修費用の約60〜70%を補助。さらに「キャリアデザイン応援事業」では、専門家派遣+最大40万円の奨励金あり。
- 大阪府:「スキルアップ支援金」で、デジタル・建設分野の講座なら受講料の75%を補助。それ以外でも50%(上限20万円)まで補助。
- 金沢市:「大学連携リスキリング促進助成金」で、市民や市内企業の従業員が大学講座を受講する際に補助。
→ 自治体によって金額も対象も大きく異なります。必ず公式サイトで確認しましょう。
よくある疑問と注意点
- 対象講座はどう探す? → 厚労省の検索システムか、ハローワークで確認できます。
- 申請の期限は? → 修了後1か月以内。これを過ぎると給付なし。
- 併用できる? → 同時に複数講座は不可。前回利用から3年以上空ける必要があります。
- 失敗したら? → 講座を途中でやめたり試験に不合格だと給付されません。
- 企業の助成金との違いは? → 給付金は個人に「あと払い」で支給。助成金は企業がまとめて申請。
まとめ|リスキリング制度を使いこなす3つのポイント
- 教育訓練給付制度は個人で利用可能。講座費用の2〜5割が戻る。
- 助成金は企業向け。勤務先が導入しているか確認しよう。
- 自治体の制度もチェック。地域によってはさらに補助が受けられる。
学び直しは自己投資ですが、制度を知っていれば大幅にコストを減らせます。
これからリスキリングを始める方は、まず「どの制度が使えるか」を調べてみてください。
コメント