通知と脳のストレス反応の正体
最近、「通知が来るたびにソワソワする」「無音でもポケットが振動した気がする」…そんな感覚に心当たりはありませんか?
実はこの“軽いストレス”、無意識に私たちの脳を疲弊させています。
スマートフォンの通知は、一見便利な情報提供に思えます。しかし、脳科学の視点で見ると、その頻繁な割り込みは「注意資源」を強制的に奪うミニ攻撃です。メール、LINE、SNS、アプリ更新通知…1日に平均何回通知が来るか考えたことはありますか?ある調査によると、日本人のスマホ通知受信数は1日平均80回以上。そのたびに脳はタスクから切り替えを強いられ、「何だろう」と軽く興奮します。
このとき活性化するのが、ストレス応答に関与する交感神経です。交感神経が優位になると心拍数や血圧が上がり、脳は警戒モードに入ります。これが短時間で終わるなら問題ありませんが、1日中繰り返されることで、脳は常時「準戦闘態勢」に。慢性的な交感神経亢進状態は、不安やイライラ、集中力低下につながるのです。

実際に通知をすべてオンにしていた頃は、明らかに悪循環に陥っていました。通知を重要なものだけに絞った途端、頭がスッキリしたのを今でも覚えています😊
通知1つが心の波を立てている。
この問題を裏付けるデータもあります。Khanらの調査(2023)では、スマホ使用度が1段階上がるごとに不安・ストレス指標も比例して増加。とくに通知確認の頻度が高い層で、注意散漫と疲労感の訴えが顕著でした。こうした“断続的ストレス”は、いわば「デジタル版マイクロストレッサー」。自覚しにくい分、対処が遅れるのが厄介です。
⚠️「通知が多い=忙しい証拠」と放置すると、慢性的な神経過敏に
✅通知の見直しで、集中力と心理的余白を取り戻せる
「慢性疲労モード」に陥る仕組み
「通知による断続的なストレス」が続くと、脳と身体は“常時オン状態”になります。するとどうなるか? 私たちは気づかぬうちに「慢性疲労モード」にスライドしていくのです。
夜、ベッドに入っても手からスマホが離れない。「あと5分だけ」とリールを見始め、気づけば1時間。そんな経験、誰しもあるはず。寝る前のスマホ使用は、脳を「今は活動時間だ」と錯覚させ、睡眠の質を低下させます。ブルーライトによるメラトニン分泌の抑制、情報過多による交感神経活性化…。これらが重なって、入眠が遅れ、眠りが浅くなり、翌朝のだるさへと直結するのです。
この悪循環が慢性化すると、「疲れているのに回復しない」「集中しようとしても気が散る」といった状態に陥ります。これは心理学的に「睡眠負債」と「認知リソースの枯渇」が同時に進んでいる証拠。日中のパフォーマンスは低下し、「疲れてるから今日は頑張れない」と自己効力感まで削られていきます。

この沼ハマりました。仕事の合間に短い動画を見て気分転換のつもりが、逆に脳がオーバーヒート。午後には集中力ゼロ。ずいぶんパフォーマンスを損ねていたと反省しています😅
知らぬ間に『疲れる使い方』を学習している。
科学的にもこの状態は裏付けられています。スマホ高使用群では入眠潜時の遅延、夜間覚醒、主観的睡眠の質の低下が有意に多く報告されています。さらにSapien Labsの国際調査では、13歳未満でスマホを所有していた層が、成人期にメンタル不調を抱える確率が高かったとのこと。これは「脳が回復できない習慣」を早期に身につけてしまった結果とも言えます。
⚠️「ただの疲れ」と見過ごすと、慢性化してメンタルに波及
✅睡眠・集中・自己効力感の3軸を整えるのが回復の鍵
スマホと心の距離感を見直そう
通知や短尺動画による“デジタル刺激”が、私たちの心身をじわじわと疲弊させている――そんな実態を見てきました。
★ 通知による「断続的ストレス」は脳を常時警戒モードに
★ 睡眠不足と情報過多が慢性疲労を引き起こす
★ 高使用者ほど、不安・抑うつの指標が有意に上昇
★ 使用習慣は早期から形成され、大人になっても影響が残る
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