【安定重視の米国高配当ETF】VYMを解説|特徴・構造・リスクを初心者向けに整理

高配当ETFって聞くと、どうしても利回りの数字に目が行きがち。
でも、落ち着いて全体を見ると、VYMは安定派の代表格としてよくできている。

約500銘柄に分散されていて、増配の実績もあり、値動きも比較的おだやか。
それでいてコストはかなり低い。
SPYDやHDVと並んで「三強」と呼ばれるのも納得だ。

その中でもVYMは、特に揺れが小さい。
高利回り一本勝負じゃなく、増配と値上がりの両立を狙う設計だからな。
派手さはないが、ジェットコースターより観覧車。そんなタイプ。

じゃあ、なぜそこまで安定しているのか。

スポンサーリンク

VYMとは?(基本情報)

VYMは、バンガードが提供する米国の高配当ETF。設定日は2006年11月10日で、すでに20年近い運用歴がある。純資産総額は 約660億ドル(約10兆円規模)。この規模は、やっぱり安心材料になる。

さらに、信託報酬は 0.06% と非常に低い。長期で持っても財布の負担はほとんど感じない。分配金は年4回。つまり3カ月ごとに受け取れるため、安定したインカムを欲しい人には向いている。

VYMが連動するのは FTSE High Dividend Yield Index。この指数に合わせてパッシブ運用しているので、「米国の高配当株にまとめて乗せてもらえるETF」と考えると分かりやすい。

連動指数:FTSE High Dividend Yield Index の特徴

この指数に入るのは、予想配当利回りが市場平均以上 と判断される企業だ。一方で、REITは除外される。理由は税制の扱いが違い、VYMが狙う“通常配当の優遇”と相性が良くないためだ。

ただ、利回りだけを追う仕組みではない。財務が不安定で配当だけ高い“罠銘柄”は入りにくい。そのため、持続的に配当を出せる企業が中心 になる。

また、指数は年1回リバランスされる。とはいえ急な入替えを避けるため、バッファールールも使われ、長期でも安定した高配当ポートフォリオを保ちやすい。

構成銘柄とセクター比率

VYMの組入銘柄は 約564銘柄。まずここが圧倒的に多い。SPYDやHDVが80銘柄前後なので、この差は大きい。分散という意味では頼もしさがある。

上位にはブロードコム、JPモルガン、エクソンモービルが並ぶ。比率はブロードコム約4.9%、JPモルガン約4.0%、エクソンモービル約2.7%。ただし、1銘柄は最大でも5%ほどに抑えられていて、偏りすぎない。

セクターを見ると、まず金融が約22.9%で最大。続いて産業(11.9%)、ヘルスケア(11.5%)。生活必需品やエネルギーも8〜10%で安定している。一方で、ITセクターは10〜15%と控えめ。配当が低い企業が多いので自然とそうなる。

とはいえ、全体で見ればかなり広く分散されている。特定セクターが不調でもポートフォリオ全体が大きく揺れにくい。結局は“偏らないこと”が長期投資の地味な強みなんだよな。

分配金と増配傾向(過去データのみ)

VYMの魅力のひとつは、やっぱり分配金の安定感。まず全体を見ると、長期では右肩上がりが続いている。2011年以降は 14年連続の増配。さらに2020年のコロナ禍でも減配しなかった。この“踏ん張り”は高配当ETFとしてかなり強い。

一方で、同時期にHDVやSPYDは減配を経験した。そのため、VYMのブレにくさがより際立つ形になったわけだ。直近の利回りは2%台後半と控えめだが、5年平均増配率は 4〜6% 程度。つまり、配当がじわっと増え続けるイメージだな。家賃収入が少しずつ上がっていくような感覚に近い。

また、VYMは極端に高利回りの銘柄が少ない。そのため、分配金が大きく減るリスクも比較的小さい。リーマン直後には一時的に減配したが、その後は増配に戻り、今まで堅調だ。

一方でSPYDは利回りこそ高いが、分配の変動が大きい。2020年には −20%超の減配 が出た。HDVも銘柄数が少ないため、一部企業の減配が全体に響きやすい。

その点、VYMは銘柄数が多い。だから、一部の減配を他が吸収しやすく、結果として 配当が安定して増えやすい構造 が生まれている。

総じて、VYMの分配金は “高すぎず、崩れにくい家賃収入” のような位置づけだ。長期で持てば、取得価格に対する利回り(YOC)は上がりやすい。インカム重視の人には、ありがたい性格だと思う。

値動き・リスク(一般論)

VYMの値動きは、全体的にマイルドだ。高配当株は、もともとグロース株よりボラティリティが低い。VYMもその流れをしっかり引き継いでいる。実際、下落局面ではS&P500より下げ幅が抑えられる場面があった。ある時期では、VYMが −8〜10% の下落に対し、SPYDは −15〜18%。分散が効くと、この“踏ん張り”が出てくる。

とはいえ、もちろんリスクはある。まず金融やエネルギーの比率が高いので、景気後退では影響を受けやすい。金融危機や原油急落が起きれば、VYMも引っ張られる。

さらに、銀行株は金利にも敏感だ。金利が下がる局面では、収益懸念で株価が伸びにくい。こうした“外部要因の揺れ”はどうしても避けられない。

また、ハイテク比率が低いことは、別の意味でリスクになる。たとえば、GAFAM主導の相場では、VYMはS&P500より伸びが鈍くなりやすい。実際、最近のハイテクラリーではやや劣後した時期もあった。

とはいえ、その代わり下落局面では強い。急騰は苦手だけど、急落には強い──そんな性格だな。安定性と引き換えに、一部のリターンを手放しているだけの話だ。

SPYD・HDVとの“性格の違い”比較(推奨なし)

御三家のSPYD・HDV・VYMには、それぞれ違った性格がある。ここでは良し悪しではなく、その“性格差”だけを軽く整理しておく。

SPYD:利回り最重視型

SPYDはS&P500の中から 配当利回り上位80銘柄 を均等に集めるETF。そのため利回りは高いが、銘柄数が少なく、REITや景気敏感株が多くなる。好況時は強いが、不況時は値下がりも減配も大きくなりやすい。

HDV:鉄板銘柄で固めた堅実型

HDVは財務が健全と判断された 75銘柄 に投資する。生活必需品などディフェンシブ色が強く、守りの硬さが特徴だ。ただし集中度が高く、上位10銘柄で50%以上。どこかに問題が出れば、影響も大きくなる。

VYM:分散・安定・低コストのバランス型

VYMは500銘柄以上に分散しつつ、配当も増配も堅実。利回りは控えめだが、長期のトータルリターンは安定しやすい。さらに経費率 0.06% は強みそのものだ。“派手さより、着実さ”を求める人にはちょうどいい性格だな。

NISAでの利用(一般的視点)

まずは、NISAでVYMを使うときの全体像からいこう。

NISAでの非課税メリット

NISAを使うと、VYMのような米国ETFからの配当が、日本では一定枠まで非課税になる。2024年から始まった新NISAでは「成長投資枠」で海外ETFが買えるようになり、VYMを長期保有する個人投資家も増えた。

成長投資枠では、

  • 年間240万円まで
  • 生涯1,200万円まで

この範囲で海外ETFに投資でき、配当や売却益が非課税になる。

ドル建て配当と為替まわり

注意したいのは、配当が ドル建てで入る こと。ドルのまま再投資するのか、円に戻すのか、自分で判断する必要がある。

さらに、米国源泉税10%はNISAでも引かれる。日本の税金はゼロだが、米国の10%は戻らない点は押さえておきたい。

加えて、米国ETFはすべて為替リスクを抱える。

  • 円高 → 円換算での評価額が減る
  • 円安 → 円換算での評価額が増える

こうした動きとの付き合い方も、人によって考え方が分かれるところだ。

NISAでよくある運用スタイル

一般論として、VYMのような高配当ETFは “長期のインカム狙い” でNISA活用されることが多い。配当を非課税で再投資し、ゆっくり雪だるまを大きくするイメージ。

ただし、

  • 米国源泉税10%は避けられない
  • 為替リスクはずっとついてくる

この2点は、事前に腹に落としておきたい。

どんな投資家が選ぶ“傾向”があるか

ここでは、あくまで傾向としての「VYMを選びやすい人」を整理していく。

暴落は避けたい。でも配当は欲しい。そんな“安定志向”には相性がいい。

高利回りのジェットコースターから、一歩落ち着いたETFに移りたい人。VYMは観覧車くらいの穏やかさだ。

20年・30年スパンの再投資戦略で、増配の複利を生かしたい人。派手さより継続を大事にするタイプに合う。

S&P500のIT偏りに不安を感じる人。VYMはオールドエコノミー寄りで、そこが安心になる場合もある。


派手な高利回りより、ゆっくり安定したインカム を積み上げたい人に向いたETF。観覧車みたいにゆったりと付き合える一本、といったところだな。

Sho
Sho

システム開発歴15年/PMP

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

Shoをフォローする
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
米国ETF高配当
スポンサーリンク