多くの人は「全世界株式(オルカン)」や「米国株式(S&P500)」という言葉自体は知っている。
でも一方で、ETFと投資信託の違いを自分の判断軸で整理できている人は少ない。
しかも厄介なのが、商品が似て見えることだ。
2559もeMAXIS Slim S&P500も、どちらも低コストのインデックス商品。
運用会社も同じ
三菱UFJアセットマネジメントだから、
「違うようで、実はあまり違わない」と感じるのも無理はない。
ただ、本当の分かれ道は指数そのものより、
上場しているETFなのか、投資信託として積み立てるのかという点にある。
ここから、売買の仕方や分配の扱い、税金まで話が分かれていく。
SNSや動画では「どっちが有利か」ばかりが強調されるけど、
そのせいで仕組みの違いが後回しになる。

商品の基本情報(事実整理)
まずは事実を落ち着いて並べよう。
ここでは一次情報ベースで整理する。数字を眺めるだけじゃなく、その数字が何を意味するのかも一緒に確認だ。
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信(2559)
2559は、先進国から新興国まで含む世界の株式市場全体に投資するETFだ。
MSCIオール・カントリーワールドインデックス(円換算)に連動し、日本を含めて幅広く分散する設計になっている。
運用は三菱UFJアセットマネジメント。
信託報酬は年0.0858%と低く、100万円あたりの年間コストは800円台。
実質的な費用は、信託報酬と売買時のスプレッドくらいだ。
分配金は原則年2回で、直近1年は合計324円/口(利回り約1.2%)。
ただし、年によっては無分配になる可能性がある。
東証上場ETFなので、株と同じようにリアルタイムで売買でき、1口から購入可能。
新NISAでは成長投資枠のみ対応で、つみたて投資枠では使えない。
世界に広く分散し、低コストでシンプルに持つ。
2559は、その役割に特化したETFって理解でちょうどいい。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
この商品は、米国を代表する株価指数であるS&P500(配当込み・円換算)に連動する投資信託だ。
米国の大型株500社に分散投資する設計で、成長力の高い米国市場そのものを取りにいくイメージになる。
配当は外に出さず、ファンドの中で自動的に再投資される。
そのため分配金は出ないが、運用益はすべて基準価額に反映され、複利で積み上がっていく仕組みだ。
なお、為替ヘッジは行っていないので、円高・円安といった為替変動の影響はそのまま受ける。
運用しているのは、2559と同じ三菱UFJアセットマネジメント。
インデックス投資に強い国内大手で、この分野では実績も豊富だ。
コスト面も非常に低い。
実質年率は0.0814%(税込)で、100万円あたりの年間コストは800円前後。
投資信託の中でも、ほぼ最低水準と言っていい。
分配方針は、設定来ずっと無分配の「累積型」。
定期的な現金収入はない代わりに、運用益をすべて成長に回す設計になっている。
売買は投資信託なので、ETFのようなリアルタイム取引はできない。
1日1回算出される基準価額で売買される。
100円から購入でき、買付手数料や解約手数料は無料。
多くのネット証券で、毎月や毎日の自動積立にも対応している。
NISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも利用可能。
積立との相性もよく、非課税制度を使った長期運用にはかなり向いた商品だ。
ETFと投資信託の「設計思想」の違い
同じインデックスでも、作りの思想が違うと、使い勝手も変わる。
ここでは実務上の違いを、3つの観点で整理しておく。
売買とコストの考え方
ETFはリアルタイムで売買できる。
その反面、必ずスプレッドが発生する。
一方、投資信託は基準価額で取引されるから、スプレッドはない。
売買のたびに価格を気にしなくていいのは、地味に大きいメリット。
分配金の扱い
投資信託(累積型)は、利益をファンド内に留保する。
つまり、分配しないことで複利効果(増え方が加速しやすい性質)を最大化する設計だ。
一方、ETFは決算時に分配金として現金を受け取る。
再投資するなら、自分で買い直す必要がある。
積立前提か、裁量前提か
投資信託は「自動積立」を前提に設計されてる。
一度設定しちゃえば、手間はほとんどかからない。
ETFは、自分で売買タイミングや価格を決められる。
その分、注文管理の手間は増える。
税・手取り・運用実務の違い
税金ってのは派手じゃないけど、長期ではちゃんと効いてくる。
ETFの分配金は、課税口座(通常の口座)だと約20%の税金が差し引かれる。
NISA口座(非課税の口座)なら非課税だ。
一方、eMAXIS Slim S&P500は分配を出さない。
だから、課税・非課税にかかわらず、受取時点の税金は発生しない。
長期運用では、
- 分配金を受け取るETF
- 複利で増やす投資信託
この違いが、じわじわ効いてくる。
どんな人にどちらが向いているか
判断基準は、年齢や年収じゃない。
結局は「どう続けたいか」、ここに尽きる。
毎月コツコツ積み立てたい人には、eMAXIS Slim S&P500が向いてる。
価格を指定して売買したい人や、分配金を受け取りたい人には2559が向く。
迷いを止める最終チェック
迷ったら、最後はここを確認すればいい。
自動積立を重視するなら、投資信託。
分配金を受け取りたいなら、ETF。
少額でコツコツ、高い頻度で積み立てたいなら投資信託が向いているし、
ある程度まとまった資金を、自分のタイミングで動かしたいならETFが扱いやすい。
結局のところ、正解は一つじゃない。
自分が無理なく続けられる形かどうか、それがいちばん大事。




