315Aは、銀行株に的を絞りつつ、配当実績の高い銘柄を15社にしぼって組み入れるETF。
何となく銀行を集めました、という商品ではない。
銘柄の選定や比率は、あらかじめ決められた指数ルールで機械的に決まる仕組み。
ここが一番のポイントだと思っている。
だからこそ、買う前に中身とルールを一度整理しておくと、
あとで値動きを見たときに「なぜそうなったか」が追いやすくなる。
今日はまず、その前提の話から。

- 結論|315Aは金利上昇期の「銀行×高配当」を濃縮したETF
- 315Aとは|連動指数と投資対象を3分で理解
- 指数ルール|銘柄はどう選ばれるのか
- 指数ルール|組入比率はどう決まるのか:35%上限の意味
- 定期見直しはいつ起きるのか
- 組入上位10銘柄|2026年版で何を見ればよいか
- なぜメガバンク比率が高いのか|初心者向けに超シンプル解説
- ゆうちょ銀行と地銀が入る意味
- 比較|TOPIX銀行業指数や他の高配当ETFとの違い
- 金利が上がると銀行株はなぜ動くのか|用語を使わずに説明
- リスク管理|セクター集中で起きることと備え方
- 40代が組み入れる比率の決め方|3つのチェックリスト
- 一次情報|この記事で必ず確認したい公式資料
- まとめ
結論|315Aは金利上昇期の「銀行×高配当」を濃縮したETF
このETFが狙っているのは、
金利が動く局面で起きやすい銀行の収益改善と、高配当の受け取りを同時に取りにいくこと。
日本の長期金利が2.2%台まで上がる場面が見られ、
金融政策の正常化が話題になりやすい環境では、どうしても銀行セクターに視線が集まりやすくなる。
一方で、315Aは銀行セクター一本。
良い時は分かりやすいが、景気後退や信用コスト増といった逆風も、そのまま受けやすい商品でもある。
後半では、そのあたりをどう考えるか。
リスク管理の整理もしていく。
315Aとは|連動指数と投資対象を3分で理解
315Aは、配当込みTOPIX銀行業高配当指数の値動きに連動することを目指すETF。
投資対象は、東証の業種別株価指数で「銀行業」に分類される銘柄のうち、配当実績が高い15銘柄にしぼられている。
ここで、初心者がつまずきやすい点を先に2つだけ整理しておく。
1つ目。
「高配当」とはいっても、予想配当ではなく過去の配当実績を重視して選ぶルールが中心。
このあたりは、次の章で詳しく見る。
2つ目。
組入比率は、単純な人気投票ではない。
時価総額をベースにしつつ、上限35%を設けて、特定の銘柄に寄りすぎない仕組みになっている。
まずは、この前提を押さえておけば十分。
指数ルール|銘柄はどう選ばれるのか
母集団はシンプルで、銀行業に分類される銘柄群。
そこから配当実績が高い15銘柄に絞る、という流れになる。
ここで押さえておきたいのは、
配当実績の見方が1本化されていない点。
指数の算出要領では、ざっくり次の考え方を組み合わせて15銘柄を作っている。
- 一部は「実績配当金総額」を重視する枠
配当金総額が大きい銘柄を一定数選ぶ考え方。
一時的に利回りが跳ねただけの銘柄より、規模のある配当実績を残している銘柄が入りやすくなる。 - 残りは「実績配当利回り」を重視する枠
実績配当利回りが高い銘柄を上位から選ぶ。
利回りは、実績配当金総額 ÷ 基準日の時価総額で計算される。 - 規模が小さすぎる銘柄は除外されやすい
実績配当利回りで選ぶ枠には、指数用の上場時価総額が500億円以上という条件が入っている。
小型株が無条件に入る設計ではない。
このルールのおかげで、
銀行業の中でも「配当実績が確認できる」「一定の規模と流動性がある」銘柄に寄りやすくなる。
何となく高配当を集めた、というより、
かなり割り切った選び方。
指数ルール|組入比率はどう決まるのか:35%上限の意味
組入比率の基本は、浮動株時価総額加重。
市場で実際に流通している株式の規模が大きいほど、ウエイトも大きくなる仕組みだ。
ただし、銀行業はメガバンクの規模が圧倒的。
そのままにしておくと、どうしても数社に偏りやすくなる。
そこで設けられているのが、1銘柄あたり35%のウエイト上限。
この上限があることで、次のような状態になる。
- 指数の中心は、引き続きメガバンク
- ただし、比率が膨らみすぎるのは抑えられる
- 結果として、ゆうちょ銀行や有力な地銀にも、一定の比率が回りやすくなる
なお、このウエイト調整は、毎年7月の最終営業日を適用日として行われるルール。
完全に分散するわけではない。
だが、偏りすぎもしない。
定期見直しはいつ起きるのか
指数の定期入替は年1回。
タイミングは、7月最終営業日で、ここで銘柄と比率の見直しが行われる。
投資家目線で押さえておきたいのは、
この時期が近づくと、指数に入る・外れるという思惑で、個別の銀行株が動くことがある点。
ETF自体は、あくまでルール通りに淡々と入れ替えるだけ。
ただ、その周辺では材料として意識されやすい。
知っているだけでも、
値動きを見たときの納得感は変わる。
組入上位10銘柄|2026年版で何を見ればよいか
ここでは、指数のファクトシートに載っているウエイト上位10銘柄を、見どころ付きで整理する。数値は2025年12月30日時点の指数ウエイト。
なお、ETFの実際の組入は売買やキャッシュ、タイミングで多少ズレることがある。そこは前提として。
- 三井住友フィナンシャルグループ 31.65%
金利が上がると、預金と貸出の差=利ざやが改善しやすい代表格。非銀行分野の利益もあるので、銀行一本足よりは収益源が分散しやすい。ここが見どころ。 - 三菱UFJフィナンシャル・グループ 30.78%
国内最大級で、海外も含めた事業の厚みがある。金利環境の変化を受けつつ、規模の大きさが指数で効きやすい銘柄。 - みずほフィナンシャルグループ 23.10%
企業向け取引が厚いイメージを持たれやすい。メガバンク3社で指数の大部分を占めるので、この3社の動きが315Aの値動きの中心になる。 - ゆうちょ銀行 6.86%
貸出よりも有価証券運用の比重が高く、メガバンクと収益構造が少し違う。金利が上がると新しい利回りで運用し直せる余地が増える一方、急変時は保有債券の評価が話題になりやすい点も押さえたい。 - 三井住友トラストグループ 4.75%
信託系で、資産管理・不動産・年金など手数料収入が柱になりやすいタイプ。銀行の中でもモデルが違うので、指数の中で性格の違うエンジンになりやすい。 - ひろぎんホールディングス 0.63%
地銀枠の代表例。比率は小さくても、配当実績で選ばれる仕組み上、株主還元の姿勢が強い地銀が残りやすいのが特徴。 - 紀陽銀行 0.31%
地域密着型で、地元経済と住宅ローン需要の影響を受けやすい。315Aの中では、国内景気の“肌感”に近い銘柄群として見ておくと整理しやすい。 - 十六フィナンシャルグループ 0.29%
再編や効率化がテーマになりやすい地銀グループ。金利だけでなくコスト構造の改善が材料になりやすい点は、メガバンクと違う見どころ。 - 大垣共立銀行 0.28%
地域の特色が色濃いタイプ。地銀は横並びに見えても、経営施策や地域特性で差が出る。まとめて持つETFでも、地銀パートは意外と幅が出る。 - セブン銀行 0.27%
ATM手数料など非金利収益の比重が高い。銀行業に分類されつつモデルが違う銘柄が混ざることで、指数の中に少し異なる動きが入る。
結局のところ、上位はメガバンクがほぼ全部を決める。
そのうえで、ゆうちょ・信託・地銀・ネット銀行が「性格の違い」として少し混ざる。
なぜメガバンク比率が高いのか|初心者向けに超シンプル解説
銀行の利益は、だいたい次の2つで増えやすくなる。
1つ目。利ざやが広がる。
預金で集めたお金を、より高い金利で貸したり運用できると、その差が利益になりやすい。
2つ目。預金コストの上がり方がゆっくり。
特に普通預金などは、貸出金利ほど機械的に上がらないことがある。
その「ズレ」が、利益になりやすい局面が出てくる。
この仕組みを一番大きな規模で持っているのが、メガバンク。
規模が大きい分、時価総額ベースで指数の比率も自然と大きくなる。
さらに315Aでは、1銘柄35%の上限がかかっている。
偏りは抑えるが、中心であること自体は変わらない。
ゆうちょ銀行と地銀が入る意味
ゆうちょ銀行は、貸出中心の銀行というより、資金を運用して稼ぐ比重が高いタイプ。
そのため、同じ金利上昇局面でも、値動きや業績の反応はメガバンクと完全には一致しない。
指数に組み入れられることで、
銀行セクターの中にある収益構造の違いが、少しだけ混ざる形になる。
地銀が入る意味は、大きく2つ。
1つ目。配当実績で勝ち残った地銀を取り込む。
銀行業全体の指数だと小規模行も含まれるが、この指数は配当実績が高い銘柄に寄りやすい設計。
結果として、株主還元を重視する地銀が残りやすい。
2つ目。国内の地域金利の変化を拾いやすい。
住宅ローンや中小企業融資など、国内金利の動きが収益に直結しやすい領域を持つ。
住宅ローン金利は長期金利との関係が深く、金利上昇局面では注目が集まりやすくなる。
メガバンクが軸なのは変わらない。
その上で、ゆうちょと地銀が「違う動き」を少し足す。
比較|TOPIX銀行業指数や他の高配当ETFとの違い
比較の軸は、大きく3つだけ。
1つ目。銘柄数の少なさ。
銀行業全体の指数と比べると、315Aは15銘柄に濃縮されている。
良い時は効きやすく、悪い時も効きやすい。かなり分かりやすい性格だ。
2つ目。選び方が配当実績寄り。
予想ではなく実績配当を重視し、そこに規模条件も入る。
これによって、銀行業の中でも色がはっきりする。
3つ目。他の高配当ETFとの役割分担がしやすい。
全業種型の高配当ETFは分散が効く一方で、銀行の比率は景気や相場テーマで上下しやすい。
315Aは、銀行の比率を自分の判断で意図的に上げたい時に使いやすいタイプ。
TOPIX銀行業指数が「銀行全体」を広く持つなら、
315Aは「銀行の中でも、配当と金利テーマに寄せる」。
金利が上がると銀行株はなぜ動くのか|用語を使わずに説明
難しい言葉を抜きにすると、
銀行は「お金を集めて、それを回す」会社。
- 集める側:預金
- 回す側:貸出や債券での運用
金利が上がると、回す側で得られる利回りは上がりやすい。
一方で、集める側のコストは、同じスピードでは上がらないことがある。
この差が、利益になりやすい。
だから金利が上がる局面では、銀行株が注目されやすくなる。
ただし、良い話だけではない。
金利が急に上がると、すでに持っている低い利回りの債券の価格が下がり、評価損が話題になりやすくなる。
リスク管理|セクター集中で起きることと備え方
315Aを検討するなら、
リスクは最初に言語化しておくほうが安全だと思う。
代表的なものは、次の3つ。
1つ目。景気後退で貸倒れ懸念が増える。
企業業績が悪化すると、貸倒引当金の増加などで利益が圧迫されやすくなる。
2つ目。金利急変で債券評価が揺れる。
とくに有価証券運用の比重が高い銀行は、金利の動き次第で評価がブレやすい。
3つ目。規制や政策の影響を受けやすい。
銀行は公共性が高く、制度変更や監督強化が、そのまま株価材料になりやすい業種。
備え方として現実的なのは、分散の軸を先に作っておくこと。
- 銀行以外の高配当ETFや、全世界株などを主役に置く
- 315Aは「味付け」に回し、比率をあらかじめ決める
- 買うタイミングを分ける。一括より数回のほうが、気持ちは楽になりやすい
セクター集中は、効く時も早い。
だからこそ、持ち方の整理まで含めて考えておくと安心だ。
40代が組み入れる比率の決め方|3つのチェックリスト
比率に「これが正解」という数字はない。
ここでは、判断の軸だけを置いておく。
投資判断は自己責任。
不安があるなら、専門家に相談するのも選択肢だ。
チェック1。生活防衛資金が確保できているか。
株式ETFは、下がる時は普通に下がる。
まずは現金の余裕が前提になる。
チェック2。すでに金融株が多くないか。
全業種型の高配当ETFや日本株指数を持っていると、
知らないうちに金融株がそれなりに入っていることがある。
重なりが大きいと、意図せず偏りやすい。
チェック3。金利テーマに乗りたい理由が言葉にできるか。
金利上昇の恩恵を取りたいのか。
分配金を重視したいのか。
それとも値上がりも狙いたいのか。
狙いが1つ決まると、
「このくらいまで」という感覚も決めやすくなる。
一次情報|この記事で必ず確認したい公式資料
数字やルールは、あとから普通に変わる。
なので最後に、一次情報の確認先だけまとめておく。
- ETFの公式ページと最新資料
目論見書や月次情報など。315Aの運用会社が出している資料で確認する。 - 指数のファクトシート
最新の構成銘柄とウエイトの確認用。
組入上位や比率をチェックするなら、まずここ。 - 指数算出要領
ルールの原文。
定期入替のタイミングや、35%上限の考え方を確認する資料。 - 長期金利の動き
市場ニュースや統計データで確認。
ETFそのものより、前提条件として押さえておきたい部分。
記事は整理の助けにはなるが、
最終的には一次情報に当たるのが一番確実。
まとめ
315Aは、銀行業の中から配当実績が高い15銘柄に絞り、
浮動株時価総額加重+35%上限を組み合わせた指数に連動するETF。
メガバンクが中心になる一方で、
ゆうちょ銀行や地銀も入り、銀行セクター内の違いもある程度は取り込む設計だ。
金利上昇局面では、分かりやすい追い風になり得る。
ただし、銀行に集中する以上、景気後退や金利急変のリスクも、そのまま出やすい。
ルールと中身を理解したうえで、全体の分散の中に適量を置く。
そのくらいの距離感が、現実的だと思う。
今日はこのくらいで。




