米国テック比率を上げたいとき、個別株ではなくETFでどこまで狙い撃ちできるか。XLKの中身、コスト、NISAでの扱いを押さえると「買う/買わない」の基準が作れる。
XLKは「S&P500の情報技術セクターだけ」を買うETFだ。値動きは少数の巨大企業と、指数の上限ルールに左右される。欲しいのが米国テック全部なら、設計がズレる。
Technology Select SPDRとは|基本スペックを整理する
米国テックを厚めにしたいが、個別株で当たり外れを抱えるのは面倒。そこで「セクターETF」という発想が出てくる。XLKはその代表格だ。
XLKはState Street Global Advisors(SSGA)が運用する米国上場ETFで、Technology Select Sector Indexに連動する。信託報酬(保有中にかかる年間コスト)は0.08%、分配頻度は四半期、AUM(運用資産の総額)は約891億ドル(2026-02-26時点)。規模と流動性は申し分ない。
日本から買う場合は、米ドル建てで保有することが前提になるため、為替の揺れもリターンに混ざる。これを許容できるかで採用可否が決まる。円での生活費に直結する資金なら、コアは円建て・分散優先でXLKはサテライト寄りに置く。米ドル資産を増やす目的が明確なら、「米国株の中の上乗せ枠」として機能する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連動対象 | Technology Select Sector Index |
| 運用会社 | SSGA |
| 設定日 | 1998-12-16 |
| 信託報酬 | 0.08% |
| 分配頻度 | 四半期 |
| 売買単位 | 1株 |
| 基準通貨 | USD |
| 構成銘柄数 | 71(2026-02-26時点) |
| AUM | 約891億ドル(2026-02-26時点) |
連動する指数のルール
「テクノロジー」と聞くと、生成AI銘柄からSNSまで全部入りを想像しがちだ。だが指数の定義が違えば、中身は別物になる。
Technology Select Sector Indexは、S&P500構成銘柄をGICS分類で11セクターに分け、そのうち情報技術(Information Technology)に分類された銘柄で構成される。基本は時価総額加重(規模が大きいほど多く持つ仕組み)だが、集中を抑えるための上限ルールが入る。四半期リバランスで、単一銘柄の比率や大型銘柄の合計が一定水準を超えた場合、比率を削って他に回す仕組みだ。
ここがXLKのクセになる。巨大銘柄が急騰しても「そのまま比率が上がる」わけではなく、上限ルールで一部が削られ、別銘柄に配分されることがある。短期では、この調整が値動きのノイズになることもある。
欲しいのが「S&P500のITセクターだけ」なら、XLKは設計通りに機能する。欲しいのが「通信・ネットも含む米国テック成長株」なら、ズレる可能性が高い。XLKはテックっぽい全部入りではない前提で組むこと。巨大銘柄への一点集中が怖いなら、上限ルールはメリットとして働く。
S&P Dow Jones Indices(Technology Select Sector Index)
S&P DJI FAQ(Technology Select Sector Index リバランス解説)
コストと似た銘柄との位置づけ
ETFは信託報酬だけ見て終わりにすると、売買コストで負ける。特に海外ETFは、為替コストと売買環境の差が効いてくる。
XLKの信託報酬は0.08%。Bid/Askスプレッドの30日中央値は0.01%、NAVとのプレミアム/ディスカウントも0.01%(いずれも2026-02-26時点)で、売買面のロスは小さく設計されている。一方で日本から買う場合、円→ドルの両替コストと国内証券の米国株手数料体系が実コストになる。ここは証券会社によって差が出る。
代替候補は2系統ある。同じ米国ITセクターを別ETFで持つならVGT(Vanguard Information Technology ETF)が近い。コストや分散度合いが似ており、どちらを選ぶかは指数の違いと運用会社の違いを許容できるかで決まる。国内ETFで近い値動きを作りたい場合、東証上場で米国ITセクターをそのまま再現する選択肢は限られるため、NEXT FUNDS NASDAQ100(1545)で近い値動きを取りに行く発想になる。ただしこれはセクターETFではなく、指数の性格が違う。信託報酬の水準も変わる。
NISAでの使い方と口座選び
日本在住で税制の恩恵を取りに行くなら、NISAに置く意味は大きい。ただし米国ETFは国内完結では終わらない。
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2枠で、海外ETFも証券会社の取り扱い次第で成長投資枠の対象になり得る(楽天証券は海外ETFを成長投資枠の対象として案内している)。一方で、米国ETFの分配金には米国側の源泉税が残り、NISA口座では外国税額控除が使えない(マネックス証券FAQ参照)。
XLKは分配利回りが高いタイプではないため、配当の取り戻しより値上がり益の非課税を狙う設計と相性がいい。分配金を主目的にすると、米国源泉税が地味に効いてくる。
成長投資枠に余裕があり長期の値上がり益狙いならNISA向き。分配金も取りに行き、外国税額控除まで含めて最終手取りを詰めたいなら特定口座向きになる。口座選びの現実として、取扱いの有無・為替手数料・米国株売買手数料・買付単位(1株/端株)の違いで、同じXLKでも体験が変わる。制度より先に、証券会社の仕様確認を済ませておきたい。
この銘柄を持つ意味と向く人・向かない人
XLKは「米国株を持つ」ではなく「米国株の中でIT比率を上げる」道具だ。コアで握るか、サテライトで使うかで事故り方が変わる。
リスクは2枚ある。ひとつはセクター集中。もうひとつはメガキャップ集中と、その調整ルールの影響だ。上がる局面では加速しやすいが、下げ局面ではドローダウン(ピークからの下落率)も深くなり得る。ここを許容できるかが本質になる。
向く人は、S&P500等をコアに置きつつ米国ITの比率を戦略的に上乗せしたい層で、為替変動も込みで握れること。向かない人は、生活防衛資金や近い将来の支出原資として運用する場合、あるいはNASDAQ100や全世界株ETFをすでに厚く持っていてさらに上乗せする根拠がない場合だ。
使い方の型はシンプルで、コア=広い株式、サテライト=XLK。比率の判断基準は「下がったら外す」ではなく、その役割が今も必要かどうかで決める。
S&P Dow Jones Indices(Technology Select Sector Index)
よく聞かれる疑問
Q. XLKは「米国テック全部」か?
違う。S&P500の情報技術セクターが対象で、GICS上で通信サービス等に分類される銘柄は別セクターに入る。
Q. NASDAQ100連動ETFで代用できるか?
値動きが近くなることはあるが、指数の設計思想が違う。「セクターを買う」のか「NASDAQ100という指数を買う」のかで、保有理由は別物になる。代用するなら、そのズレを最初から許容しておく必要がある。
S&P DJI FAQ(Technology Select Sector Indexの定義)
よくある誤解
XLKを買えば「米国の成長株・テックの勝ち組を一網打尽」だと思い込みやすい。「Technology」という名前が強く、ニュースで話題になる銘柄群=テックという雑な括りが日常語になっているからだ。
実際はS&P500の情報技術セクターに限定され、さらに上限ルールで比率が調整される。S&P500のIT部分が欲しいなら適切だが、テックっぽい全部入りを期待すると中身がズレる。
整理するなら、買付前に「欲しいテック」を定義しておくこと。①S&P500のITセクター比率を上げたい、②NASDAQ100の性格を取りたい、③個別の巨大銘柄に張りたい、のいずれか。ここが決まれば、XLKが合うかどうかは機械的に判定できる。
まとめ
XLKは米国株の中で情報技術セクターに絞るETFで、値動きはメガキャップ集中と指数の上限ルールの影響を受ける。NISAで使うなら「値上がり益の非課税」と「米国源泉税が残る」事実をセットで扱う。次のステップは上位銘柄と比率の偏りが許容範囲かを数字で点検することだ。
米国ITセクターに絞って張る
XLK 投資判断ガイド
米国テック比率を上げたいとき、個別株ではなくETFでどこまで「狙い撃ち」できるか。
XLKの中身、コスト、NISAでの扱いを正しく理解し、「買う/買わない」の明確な基準を作りましょう。
基本コンセプトとスペック
XLK(Technology Select Sector SPDR Fund)の全体像と規模感を把握します。個別株リスクを避けつつ、S&P500内の情報技術セクターに集中投資する「サテライト枠」としての道具です。
よくある誤解と指数の「クセ」
XLKは「テック全部入り」ではありません。また、巨大銘柄が上がり続ければ無限に比率が上がるわけでもありません。指数の裏側にある2つの重要なルールを視覚化します。
誤解1:「テック全部入り」ではない
XLKはGICS分類の「情報技術セクター」のみ。GoogleやMetaは「通信サービス」のため含まれません。
誤解2:上限ルール(キャップ)の存在
特定銘柄の集中を防ぐため、四半期リバランスで比率が削られ他に回されることがあります。これが独特の「クセ」になります。
NISA戦略と代替候補
実際に投資する際の口座選びの注意点と、似たような目的で検討されやすい他のETFとの比較を確認します。
NISAでの活用(成長投資枠)
- + 値上がり益は非課税。配当利回りは低いため、将来の成長益狙いと相性が良い。
- - 米国源泉税(10%)は取り戻せない。NISA口座では外国税額控除が適用されないため、分配金重視には不向き。
実質コストの考え方
信託報酬(0.08%)だけでなく以下も考慮が必要です。
XLK (本記事の主役)
S&P500内の情報技術セクターに限定。約71銘柄。
XLK 投資判断チェッカー
あなたの投資方針とXLKの相性を診断します。直感で答えてください。





