結論:VTは「全世界株を1本で持つ」米国上場ETFの代表格。ただし中身を見ると米国比率が高く、VTI/VOOとの役割も整理しないと選びにくい。この記事では、国別比率と分散の実態、経費率と配当、税金、日本からの買い方までをまとめて、結局VTが向く人を結論で示す。

VTの国別比率(上位10)※2025/12/31時点
| 国 | 比率 |
|---|---|
| 米国 | 62.5% |
| 日本 | 5.6% |
| 英国 | 3.4% |
| 中国 | 3.3% |
| カナダ | 3.1% |
| 台湾 | 2.3% |
| フランス | 2.0% |
| ドイツ | 2.0% |
| スイス | 2.0% |
| インド | 2.0% |
| その他 | 11.8% |
VTI / VOO / VT の使い分け
- VT:全世界を1本でOK。国際分散を最小工数でやりたい人向け(ただし米国比率は高め)。
- VTI:米国を市場まるごと(大型〜小型)で持ちたい人向け。
- VOO:米国大型株(S&P500)に絞って、低コストでシンプルに積み上げたい人向け。
VTとは?(基本情報)
まずVT(Vanguard Total World Stock ETF)は、世界最大級の資産運用会社であるバンガード社が提供するETF。
そして、全世界の株式市場の動きに連動することを目的としている。
名前の通り、VT1本で先進国から新興国まで、世界中の株式に投資できる。
つまり、米国や日本といった主要国だけでなく、新興国も含む約50か国が投資対象になる。
さらに言えば、大型株・中型株だけでなく小型株まで含まれ、銘柄数は約1万に及ぶ。
要するに、「地球まるごと」の株式ポートフォリオを、このETFひとつで作れるわけだ。
VTの主なスペック
VTはNYSE Arca(ニューヨーク証券取引所)に上場しており、米ドル建てで取引される。
設定日は2008年6月で、経費率は0.06%と低水準だ。
また、組入銘柄数は約1万と非常に多く、ETFとしての規模も大きい。
加えて、分配金は年4回(3月・6月・9月・12月)支払われている。
配当利回りは時期によって変動するものの、概ね年率2%前後で推移することが多い。
こうした点を踏まえると、VTは長期の国際分散投資の中心に置きやすい商品だと言える。
連動指数「FTSE Global All Cap Index」の特徴
次に、VTが連動を目指している指数を見てみよう。
VTのベンチマークは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスだ。
この指数は、世界約50か国の株式市場をカバーし、大型株・中型株・小型株までを含んでいる。
そこで、特徴を3つに分けて整理してみる。
ほぼ投資できる世界株を取り込む
まず、構成銘柄数は約8,000〜10,000銘柄。
その結果、投資可能な株式時価総額の約98%をカバーするとされている。
言い換えれば、「ほぼ世界市場全体」を映し出す指数だ。
先進国+新興国がセット
次に、米国・日本・欧州諸国といった先進国に加え、中国・インド・ブラジルなどの新興国市場も含まれる。
つまり、先進国だけに偏らない構成になっている。
対象国は合計で47〜50か国程度だ。
小型株まで含むオールキャップ
一般的なMSCI ACWIは大型株・中型株が中心だ。
一方で、FTSEオールキャップ指数は小型株まで含める点が異なる。
そのため、より広い分散効果が期待できる。
VTはこの指数に連動するよう設計され、基本はインデックス運用(パッシブ運用)だ。
また、運用手法は時価総額加重型で、国や企業の規模に応じて比率が決まる。
その結果、経済規模の大きい国や巨大企業の比率が高くなる。
ただし、これは意図的な偏りというより、世界の現実をそのまま反映した結果と考えるほうが自然だろう。
国別・地域別構成比率
VTは全世界に分散投資できるETF。
とはいえ、国別比率が均等なわけではない。
なぜなら、比率は各国の時価総額に基づいて決まるからだ。
2025/12/31時点の公式資料だとおおむね以下のようになる。
- 北米 65.5%
- 欧州 14.3%
- 太平洋 9.6%
- 新興国 10.1%
- 中東 0.2%
ここで注目すべきなのは、米国株が6割強を占めている点だ。
そのため、VTの値動きは米国市場の影響を受けやすい。
一方で、残りの約4割は欧州、日本、新興国に分散されている。
特に新興国は値動きが大きい反面、成長余地もある。
そして重要なのは、将来もし勢力図が変われば、VTの比率も自動的に変わるという点だ。
つまり、投資家が国別配分を細かく調整しなくても、その時々の世界平均を自然に取り込める。
長期投資でVTが評価されやすい理由は、だいたいこの仕組みにある。
構成銘柄と業種バランス
最後に、VTの中身をもう少し見ておこう。
ここでは、上位銘柄と業種(セクター)の分散に注目する。
組入銘柄トップ10の傾向
VTは約1万銘柄を保有している。
ただし、上位を見ていくと、世界的な大型企業が中心になる。
上位10社の合計比率は約17%程度だ。
つまり、残り80%以上はその他数千社で構成されている。
そのため、個別企業が不調でも、VT全体への影響は限定的になりやすい。
これが分散投資の強みだ。
業種(セクター)別の構成比率
業種面でも、VTは幅広く分散されている。
最も比率が高いのはテクノロジーだが、金融やヘルスケアも大きな割合を占める。
そのため、ひとつの業種だけに極端に依存しにくい構造になっている。
たとえば、ハイテクが不調でも、他のセクターが支える局面がある。
結果として、値動きのブレはやや抑えられる。
セクター比率も市場環境に合わせて自然に変わる。
投資家が頻繁に動かなくていいのは、正直ありがたい。
基本スペックまとめ
ここまでの話を踏まえて、いったんVTの基本情報を整理しておく。
結局のところ、全体像が見えてると迷いにくいからな。
- 正式名称:Vanguard Total World Stock ETF(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)
- ティッカー:VT
- 運用会社:The Vanguard Group, Inc.(バンガード社)
- ベンチマーク:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
- 上場市場:NYSE Arca(米国)
- 設定日(運用開始):2008年6月24日
- 純資産総額:約55,000百万ドル(2025年9月時点)
- 経費率(信託報酬):年率0.06%(2025年現在)
- 組入銘柄数:約9,900銘柄
- 分配金(決算):年4回(3月・6月・9月・12月)
- 直近配当利回り:約2.0%前後(市場価格により変動)
このように、VTは超低コストかつ超分散のETF、って整理になる。
とくに経費率0.06%は業界でもかなり低い水準で、たとえば100万円を運用しても手数料は年600円程度が目安になる。
さらに、約1万銘柄に分散することで、特定の国や企業に引っ張られにくい構造だ。
そして、2008年の設定以来、リーマンショックやコロナ禍など大きな局面を経ながらも純資産を積み上げてきた。だからこそ、長期投資家に選ばれやすいETFと言えるだろう。
分配金と利回りの考え方
VTの魅力は、株価の値上がり(キャピタルゲイン)だけじゃない。
むしろ、分配金(配当)を定期的に受け取れる点も、地味に効いてくる。
VTは世界中の企業から集まる配当をまとめて、年4回(3月・6月・9月・12月)に分配する。
そのため、四半期ごとに配当が入ると「続ける気力がちょっと湧く」って人がいるのも分かる。投資って、そういう小さなご褒美が案外大事だからな。
配当利回りはどう決まる?
配当利回りは、ざっくり言うと「1年間にもらえる分配金 ÷ 株価」だ。
たとえば株価が100ドルで、年間配当が合計2ドルなら、利回りは2.0%になる。
そして、VTの利回りは時期によって変わる。とはいえ、過去の実績では年率2%前後で推移することが多い。
利回りを見るときの注意点
利回りは便利な指標だが、見方を間違えると、けっこう簡単に転ぶ。
だから、次の2点は押さえておきたい。
- 株価によって利回りは変動する
株価が上がれば利回りは下がり、株価が下がれば利回りは上がる。
つまり、「利回りが高い=お得」と短絡的に判断しないほうが安全だ。 - 分配金には税金がかかる(いわゆる二重課税)
VTの分配金は、まず米国で源泉徴収が入り、そのうえで日本でも課税される。結果として、手取りは目減りしやすくなる。なお、このあたりは後述の「税金・為替・NISA」で整理する。
なお、資産形成を目的にするなら、分配金は使うよりも再投資を意識するのが基本になる。
というのも、分配金でVTを買い増せば口数が増え、次の分配金も増えやすくなる。いわゆる「複利」を活かしやすい。
過去の値動きの傾向(事実のみ)
VTの価格推移は、世界経済の浮き沈みと一緒にそれなりの波を経験してきた。
それでも、長い目で見れば上昇局面が続いた時期も多い、というのは読み取れる。
ここでは代表的な局面を振り返る。
リーマンショック前後(2008〜2009年)
VTは2008年6月に約40ドルで設定された。ところが直後に金融危機が起こり、2009年初頭には約25ドル前後まで下落した。
ただし、その後は世界経済の回復に合わせて持ち直していく。
2010年代
欧州債務危機(2011年頃)や中国ショック(2015年)など、途中で調整局面はあった。
それでも、全体としては緩やかな上昇が続き、2018〜2019年頃には80〜90ドル台で推移する場面も見られた。
コロナショック(2020年)
2020年初頭は株式市場が急落し、VTも短期間で約30%下落する局面があった。
しかし、その後は大規模な金融緩和などを背景に回復し、2020年後半〜2021年にかけては100ドルを超える水準に達した。
インフレと調整(2022年〜2023年前半)
インフレと利上げの影響で、2022年は調整が入った。VTも一時80ドル台後半まで下落し、年間でマイナスとなる年だった。
その後、2023年後半は回復基調に転じた時期もある。
このように、短期では大きく下がる局面がある。
とはいえ、歴史的には回復局面も繰り返してきた。だからこそ、VTのような全世界株は「短期の値動きに振り回されず、長期で向き合う」って考え方と相性がいい。
VT vs 2559(オルカン)の違い
VTとよく比較されるのが、国内ETFの2559:MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信だ。
どちらも「全世界株」ではあるが、性格はまったく同じじゃない。
連動する指数が違う
- VT:FTSEグローバル・オールキャップ(小型株も含む)
- 2559:MSCI ACWI(大型・中型が中心で、小型株は含まない)
つまり、より広く拾うのはVTで、構成がよりシンプルなのは2559、というイメージになる。
コストと実際の負担が少し違う
経費率はVTのほうがわずかに低い水準。
一方で、VTは米国ETFなので、買うときに為替や米国株取引のコストが関係してくる。対して、2559は円建てで国内株式のように売買できるため、この点は手軽だ。
通貨と売買のしやすさが違う
- VT:米ドル建て(米国市場)
- 2559:円建て(東京市場)
ただし、どちらも投資先は海外株式だ。したがって、最終的には為替の影響自体はどちらにもある。ここ、よく誤解されがちだな。
分配金の回数が違う
- VT:年4回
- 2559:年2回(6月・12月)
回数の違いなので、分配金の総額が必ずしも大差になるとは限らない。
だから、「こまめに受け取りたい」ならVT、「頻度は気にしない」なら2559、くらいで捉えると分かりやすい。
規模と歴史が違う
VTは2008年設定で、規模も大きいETFだ。
一方の2559は比較的新しく、規模はVTより小さめになる。とはいえ、国内ETFとしては流動性も整ってきている。
まとめると、「より包括的な分散と実績重視ならVT」、そして「円で手軽に全世界株を買いたいなら2559」という整理だ。
どちらも全世界株に投資する点は同じなので、最後は使い勝手や好みで選んで問題ない。
VT vs VOO の違い
次に、VTとVOO(S&P500連動)の違い。
ここは、発想がけっこう変わる。
- VT:全世界(約50か国・約1万銘柄)
- VOO:米国の大型株中心(S&P500)
分散の考え方が違う
VTは世界全体に広げることで、一国の不調をやわらげやすい設計だ。
一方でVOOは米国に集中する分、米国株が強い局面ではリターンが出やすい。とはいえ、米国が不調なら影響をまともに受ける。
リターンの傾向は背景も含めて理解する
直近の期間では米国株が強かったため、VOOがVTを上回る場面が目立った。
ただし、それは「米国集中だからこそ」という側面もある。将来も同じ傾向が続くかは、誰にも断言できない。
要するに、世界の平均を取りにいくならVTで、米国の成長にベットするならVOO、という違いだ。
税金・為替・NISAの扱い(一般論)
ここでは、海外ETFであるVTを買うときに出てくるポイントを、ざっくり整理しておく。
なお、制度は変わることがあるので、最終確認は証券会社や専門家の情報もあわせてチェックしてほしい。
為替リスク
VTは米ドル建てなので、円換算の評価額は円高・円安の影響を受ける。
ただし、円建てで買える2559でも投資先は海外株だ。つまり、「円で買える=為替リスクがない」わけじゃない。
分配金の税金(いわゆる二重課税)
VTの分配金は、米国で源泉徴収が入り、その後に日本でも課税される。
確定申告で外国税額控除を使える場合もあるが、手続きが必要になる。
一方で、投資信託の無分配型(内部で再投資するタイプ)だと、運用中の課税タイミングが変わる点もある。だから、ここは「好み」と「管理のしやすさ」で差が出やすい。
NISAでの扱い
VTは新NISAの成長投資枠で買える場合がある。
ただし、NISAでも米国側の源泉徴収が完全になくなるわけではない点には注意したい。
米国ETFの相続まわり(一般論)
米国上場ETFを直接保有する場合、制度上の注意点として相続時の扱いが話題になることがある。
不安がある人は、国内籍の商品を使うなど、選択肢も含めて検討すると安心だろう。
メリット(一般論)
VTのメリットをまとめると、主に次の5つになる。
これ1本で究極の分散ができる
約50か国・約1万銘柄に広く分散できる。だから、個別企業や一国への偏りを抑えやすい。
世界経済の変化に合わせて中身が自然に動く
時価総額に応じて組入比率が変わるため、世界の勢力図が変化してもポートフォリオが追随しやすい仕組みだ。
低コストで長期向き
経費率が低いと、長期になったときの差が効いてくる。したがって、積み上げ型の投資ほど相性がよくなる。
規模が大きく、運用実績も長い
規模の大きさは流動性の面でも安心材料になる。さらに、運用期間が長いのも評価されやすいポイントだ。
「長期・積立・分散」をやりやすい
銘柄選びや頻繁なリバランスが不要なので、忙しい人でも続けやすい。結局、続く仕組みが一番強い。
注意点(一般論)
もちろん、VTにも注意点はある。
先に知っておくと気持ちがラクになる。
米国比率が高い
全世界とはいえ、現状は米国株の比率が大きめだ。
そのため、「思ったより米国寄り」と感じる人は、ここでギャップが出やすい。
為替の影響を受ける
円換算で見た評価額は、株価だけでなく為替でも動く。よって、短期ではブレが大きく見えることがある。
分配金の税負担・手続きが絡む
分配金は税金で目減りする。さらに、外国税額控除などを使うなら手続きも必要だ。
再投資は自分でやる前提
ETFは自動で再投資されない。だから、複利を狙うなら買い増しの手間が出る(年4回とはいえ、ゼロじゃない)。
どんな投資家と相性がよいか(特徴ベース)
VTが向きやすいのは、たとえばこんなタイプ。
- 長期で資産形成したい人:5年、10年、20年と長く続ける前提の人
- 手間をかけたくない人:銘柄選びや配分調整に時間を使いたくない人
- 国際分散を最初から取り入れたい人:日本株・米国株だけに偏りたくない人
- ポートフォリオをシンプルにしたい人:商品数を増やしすぎたくない人
逆に、特定の国やテーマに集中してリターンを狙いたい人には、VTは少し物足りなく感じるかもしれない。
というのも、VTはあくまで世界の平均点を取りにいく道具だからだ。
VTは、先進国から新興国まで、世界中の株式にまとめて投資できるETF。
約50か国・約1万銘柄に分散でき、しかも低コストで運用できる。だから、長期の土台として選ばれやすい。
値動きは短期では大きく上下する。とはいえ、長期で見れば回復局面も経験してきた。
そのため、VTは「長期・積立・分散」を続けたい人に向いた選択肢になる。
また、2559(国内ETF)やVOO(米国集中)など、似たように見える商品でも設計思想は違う。
だから結局、最後は「自分が何を重視するか」で選ぶ。



