高配当ETFは「配当利回りの高い銘柄」にまとめて投資できるため、株初心者からも人気。
ただ、「実際いつ配当がもらえるの?」「1口だけ持っていたら年間いくら入るの?」といった疑問を持つ人も多いはず。
そこで本記事では、主要な日本の高配当ETFについて 配当金の支払い月と受取金額がひと目でわかる早見表 を作成しました。
・年間で配当は何回あるのか
・1口、10口、そして満額NISA(360万円分)を投資した場合に、税引後で手取りいくらになるのか
初心者でもイメージしやすいように、わかりやすく整理して解説します。
保存版の決定版として、配当スケジュールをひと目で確認できる表やシミュレーションを掲載しています。配当金生活に興味がある方は、ぜひブックマークして参考にしてください。

高配当ETFとは?
配当利回りの高い株式を集めた株式指数に連動するETF(上場投資信託)です。
例えば「日経平均高配当株50指数」は、日経平均採用銘柄のうち予想配当利回りが上位50銘柄で構成されています。この指数に連動するETFとして有名なのが、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50 ETF(1489)です。
ほかにも、
- 野村日本株高配当70指数(予想利回り上位70銘柄で構成)に連動するETF
- MSCIジャパン高配当利回り指数に連動するETF
など、さまざまな高配当株指数に投資できる商品が存在します。
魅力とポイントを整理すると
このETFを買うことで、少額からでも複数の高配当株に分散投資でき、定期的に配当(金銭の分配)を受け取れます。
ただし、ETFごとに配当の支払い頻度や時期が異なるため、「どの月にいくら配当金がもらえるのか」を把握しておくことが重要です。
本記事では、主要ETFの配当月や利回りを整理し、実際に配当金の受取額をシミュレーションして解説していきます。
高配当ETFとは?
複数の高配当株をまとめたもの
高配当株
➡️
まとめる
高配当ETF
メリット
ETF
⬇️
少額で複数の企業に分散投資
ETF
⬇️
定期的に配当金を受け取れる
配当月と配当額の早見表(主要高配当ETF)
まずは、日本株の主要な高配当ETFについて、配当の支払い月(頻度)と1口あたりの配当金額の目安をまとめました。
この早見表を見れば、「1489の配当はいつ?」「399Aはどの月に出る?」といった疑問をすぐに解決できます。
ETFコード(名称) | 配当頻度(配当月) | 1口あたり配当金額のレンジ(直近実績) |
---|---|---|
1489(NEXT FUNDS 日経高配当50) | 年4回(1月・4月・7月・10月) | 数円〜約40円(四半期ごと。小さい回は数円、大きい回は30〜40円程度) |
1577(NEXT FUNDS 日本株高配当70) | 年4回(1月・4月・7月・10月) | 約50円〜約650円(四半期ごと。期末反映時は数百円になることも) |
399A(上場インデックス 日経高配当50) | 年2回(4月・10月) | — ※2025年7月上場の新ETF。今後は1489と同水準(利回り3%台)と予想 |
1478(iシェアーズ MSCI日本高配当) | 年2回(2月・8月) | 約40円〜50円(直近実績は38〜52円) |
2558(MAXIS 米国株式 S&P500) | 年2回(6月・12月) | 約120円〜130円(年間合計は約256円〈利回り約1.0%〉) |
※上記は執筆時点(直近数年)の実績を基にした目安です。配当金額は市況や組入銘柄の配当方針によって変動するため、将来の支払いを保証するものではありません。
配当頻度の違いに注目
ETFごとに配当の回数や支払い月は異なります。
- 1489・1577 … 年4回(1月・4月・7月・10月)
- 1478 … 年2回(2月・8月)
- 399A … 年2回(4月・10月、1489と異なる点に注意)
- 2558 … 年2回(6月・12月、米国株型)
また、配当額には回ごとの差もあります。
例えば1489は、1月や7月は数円程度ですが、4月や10月は30円台と大きめです。
1577では差がさらに顕著で、数十円の回もあれば500円を超える回もあります。これは多くの企業が3月決算で、4月や10月に期末配当が反映されるためです。
➡ ポイント
配当スケジュールを把握しておけば、
「高配当ETFはいくらもらえるのか?」
「次の配当はいつか?」
といった疑問にもすぐ答えられます。
次章では、これらのETFを実際に保有した場合の具体的な受取金額シミュレーションを紹介します。
高配当ETF 配当カレンダー
※上記は過去の実績に基づいた目安であり、将来の配当金を保証するものではありません。
1口・10口・満額NISAの受取額シミュレーション
「年間どのくらいの配当収入になるのか?」をイメージしやすいように、シミュレーションを行いました。
ここでは主要ETFについて、1口・10口・満額NISA(360万円分投資)を保有した場合の年間配当額を、税引前と税引後(20.315%課税後)で比較します。
▼主要ETFの保有口数別・年間配当受取額(税引前/税引後)
ETFコード(直近利回り) | 1口あたり | 10口 | 360万円投資 |
---|---|---|---|
1489(約3.4%) | 約88円 / 約70円 | 約880円 / 約700円 | 約12.2万円 / 約9.7万円 |
1577(約3.1%) | 約1,380円 / 約1,100円 | 約13,800円 / 約11,000円 | 約11.3万円 / 約9.0万円 |
399A(予想3%台) | 約70円 / 約56円 | 約700円 / 約560円 | 約10.8万円 / 約8.6万円 |
1478(約2.5%) | 約104円 / 約83円 | 約1,040円 / 約830円 | 約8.9万円 / 約7.1万円 |
2558(約1.0%) | 約256円 / 約204円 | 約2,560円 / 約2,040円 | 約3.6万円 / 約2.9万円 |
※399Aは2025年7月に新規上場のため実績なし。表の数値は利回り3.0%と仮定した参考値です。
各ETFの具体例
- 1489(NEXT FUNDS 日経高配当50)
年間配当は1口あたり約88円(税引前)、約70円(税引後)。
10口で約700円、満額NISA(約1,391口)なら税引後で約9.7万円になります。 - 1577(NEXT FUNDS 日本株高配当70)
1口で年間約1,380円(税引前)、税引後は約1,100円。
10口で約1.1万円、満額NISA(81口程度)なら約9.0万円/年の手取り収入です。 - 399A(日経高配当50・新規ETF)
実績はまだ不明ですが、仮に利回り3%とすると満額NISAで税引後8〜9万円の配当が見込めます。
手取り水準は1489と近いイメージです。 - 1478(iシェアーズ MSCIジャパン高配当)
年間で1口あたり約104円(税引前)、約83円(税引後)。
10口で830円、満額NISA(約856口)なら年間約7.1万円です。 - 2558(MAXIS 米国株式 S&P500)
1口で年間約256円(税引前)、約204円(税引後)。
360万円投資(約140口)で手取りは約2.9万円となります。利回りは低めですが、米国大型株への安定投資として人気があります。
利回り3%前後の高配当ETFに360万円を投じると、年間の手取り配当は約9万円前後が目安になります。
NISA口座であれば、本来かかるはずの約2万円の税金がそのまま手取りに上乗せされるため、非課税メリットは非常に大きいです。
一方で課税口座では20.315%の税金が差し引かれるため、表面利回り3%でも実際の手取り利回りは約2.4%に目減りします。
➡ 次章では、この「税金による差」がどれくらい影響するかをさらに詳しく見ていきましょう。
高配当ETFの配当金シミュレーション
※上記は過去の実績に基づいた概算であり、将来の配当金を保証するものではありません。
税金の影響と配当金のリアルな手取り額
その配当金には、通常20.315%(所得税+住民税)の税金が源泉徴収されます。
課税口座で運用している場合、証券会社から支払われるのは税引後の金額です。つまり、配当は約2割減ってしまいます。
例えば1489の場合、1口あたりの配当は税引前で約88円ですが、実際の手取りは70円前後にとどまります。税金によって配当が削られる点は忘れないようにしましょう。
NISAを使えば非課税で受け取れる
一方で、NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、配当金は非課税でそのまま受け取れます。
先ほどのシミュレーションでも示したとおり、「本来払うはずの税金」がそのまま手取りに上乗せされるため、効果は大きいです。
例えば1577に360万円を投資した場合、課税口座だと年間の手取りは約9.0万円です。
しかしNISAなら税金約2.3万円がかからず、手取り約11.3万円をまるごと受け取れます。
NISAと高配当ETFの相性
新NISAの成長投資枠(年間最大360万円)では、株式ETFも非課税で運用可能です。
高配当ETFとは特に相性が良く、可能であればNISA枠での投資がおすすめです。
さらに配当を再投資して複利効果を狙う場合も、非課税メリットが効いてきます。
逆に課税口座で運用するなら、「思ったより手取りが少ない…」とならないように、税引後ベースで利回りを計算することが重要です。
国内ETFと海外ETFの税金の違い
- 日本株ETF … 国内課税20.315%のみで完結。
- 海外株式を組み入れるETF … 外国源泉徴収税が別途かかる場合あり。
例えば2558(MAXIS米国株式S&P500)は、実質的に米国株からの配当なので、米国での課税が加わるケースがあります。
その点、今回紹介したETFはいずれも国内課税のみでシンプルです。
毎月配当を受け取るには?(複数ETFの組み合わせ)
「せっかく高配当ETFを持つなら、毎月コンスタントに配当金が欲しい」と思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、日本の高配当ETFを複数組み合わせれば、“ほぼ毎月” 配当金を受け取ることが可能です。
配当月の異なるETFを組み合わせる例
以下の4つを組み合わせると、年間8回の配当を受け取れます。
- 1577(年4回:1月・4月・7月・10月)
- 1478(年2回:2月・8月)
- 1489(年4回:1月・4月・7月・10月)※1577と同じタイミング
- 2558(年2回:6月・12月)
この組み合わせでは、1月・2月・4月・6月・7月・8月・10月・12月に配当金を受け取れます。
例えば、1月は1577と1489、2月は1478、6月は2558…という具合に、年間を通じて定期的な入金が見込めます。特に奇数月は手薄になりやすいですが、この組み合わせなら1月・7月(1577/1489)、2月・8月(1478)、4月・10月(1577/1489)、6月・12月(2558)と、バランスよくカバーできます。
「完全な毎月配当」は難しい?
ただし、国内ETFだけで毎月の配当を実現するのは難しいのが現実です。
3月・5月・9月・11月は主要ETFの配当がなく、どうしても空白が生まれます。
この穴を埋めたい場合は、以下のような選択肢があります。
- J-REIT系の毎月分配型ETF
- 米国高配当株ETF(例: SPYDは3月・6月・9月・12月に分配)
例えば3月・9月に配当のある米国ETFを組み合わせれば、国内ETFの空白月を補うことができます。
豆知識:海外ETFの配当と注意点
米国ETFを新NISAの成長投資枠で保有すれば、配当も非課税で受け取れます。
ただし、米国で10%の源泉税がかかる点や、為替リスクは無視できません。
また、毎月分配型ETFの中には「原資払戻し」による擬似配当もあるため、仕組みを理解してから投資することが大切です。
複数を組み合わせれば、年間の受取回数を増やすことは可能です。
完全な毎月配当は難しいものの、2ヶ月に1回以上のペースで入金があるだけでも精神的な満足度は高まります。
さらに複数ETFを持つことで、配当スケジュールの分散とセクター分散の両方を実現できます。配当時期と保有比率を意識したポートフォリオ設計も、一つの戦略といえるでしょう。
注意点(減配リスク・価格変動など)
配当収入を目的に高配当ETFを保有する場合、知っておくべきポイントがいくつかあります。
① 減配リスク
その配当金には、組み入れ企業の業績や配当方針に大きく左右されます。
例えば1577(高配当70)はコロナ禍で配当を出せず、ゼロの期がありました。
昨年まで高水準だったからといって、今後も続くとは限りません。市況が悪化すれば減配や無配もあり得ます。過去実績をそのまま当てにしすぎないよう注意が必要です。
② 価格変動リスク
高配当銘柄は「株価が下がっているから利回りが高い」というケースもあります。
ETF自体の基準価額も市場環境によって上下します。
長期保有で配当を狙う場合でも、含み損を抱えるリスクは常に意識しておきましょう。特に2020年のようにマーケット全体が急落すると、ディフェンシブとされる高配当ETFでも基準価額は大きく下がります。
③ 銘柄集中・構成の偏り
日本株高配当指数は、銀行や商社など特定業種に偏りやすい傾向があります。景気循環の影響を受けやすく、分散効果が十分でない場合もあります。
さらにETFによっては、構成上位の数銘柄がポートフォリオの大半を占めることもあります。利回りだけに注目せず、組入銘柄の顔ぶれやセクター分散も確認することが大切です。
④ 信託報酬などコスト
ETFには運用コスト(信託報酬)がかかります。
最近上場した399Aは年0.165%と低コストですが、従来の1489は約0.30%(変更予定あり)です。
長期で保有するほど信託報酬の差は効いてくるため、同じ指数を追うETFならコストの安さも選択基準に加えましょう。
以上の点を理解したうえで投資すれば、高配当ETFは「配当を受け取りながら資産形成できる」魅力的な選択肢になります。
特に新NISAの拡充によって、大きな非課税枠を活用しやすくなりました。リスクと上手に付き合いながら、安定した配当を楽しむ投資スタイルを目指してみてください。
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