ETF

ETF学習講座

指数リバランス頻度で変わる回転率とコスト|パッシブの摩擦

指数連動なら機械的に同じ銘柄を持つだけ。リバランスが四半期でも年次でも、手数料が同じなら大差ない。この考え方は自然に見える。指数はルール通りで、裁量が入らない。だからコストも安定して見える。しかしここで理解が止まると危うい。指数連動でも、リバランス頻度が違うだけで売買回数は変わる。売買が増えれば摩擦コストは増える。摩擦は価格表に見えない形でリターンを削る。経費率が同じでも、売買回数が違えば最終リタ...
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指数の入替は中立じゃない:リコンスティテューションが需給で株価を動かす仕組み

指数はルールで機械的に銘柄を入れ替えるだけ。情報は事前に出る。賢い市場なら織り込み済み。だから価格への影響は限定的。この理解は自然に見える。指数は市場平均の象徴に見えるし、パッシブ運用はただ追随するだけに見えるからだ。でも現実は違う。入替の当日に出来高が跳ねたり、終値に不自然な歪みが出たりする局面がある。ここだけ押さえる。市場は情報を織り込めても、売買そのものの集中は織り込めない。入替のタイミング...
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フリーフロート調整とは何か|指数が「投資可能性」に合わせて姿を変える理由

指数は時価総額が大きい企業ほど重みが大きい。だから指数は市場の実態をそのまま写す、という発想だ。この理解は自然に見える。株価×発行株式数で企業の大きさが出る。大きい企業ほど市場への影響が大きい。なら指数の比率も大きくなるはず、という考え方になる。だが実務ではここが破綻する。指数は市場の全株を理論的に足し上げた平均ではない。実際に運用できる形に整形したルールブックに近い。市場に存在する株式のうち、市...
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ファクター指数(バリュー/クオリティ)とは何か|スマートベータの「狙い」と「副作用」を因果で分解する

ファクター指数は、株を選ぶための採点ルールだと思っていい。指数(ルールで作った成績表)って聞くと、日経平均みたいなものを想像するかもしれない。あれは市場全体の成績表。一方でファクター指数は、市場全体じゃなく、特定の特徴を持つ株だけを集めて作った成績表になる。その特定の特徴がファクター。たとえば、こんな感じ。バリュー:割安っぽい株(値段のわりに中身が大きいと見なされる株)クオリティ:財務が強い・稼ぐ...
ETF学習講座

時価総額加重と均等加重の違い|「指数ルール」がリターンを決める仕組み

同じ市場や同じテーマの指数なら、パフォーマンスはだいたい同じになるはず、という発想。指数は市場平均を表す中立な物差し。運用の違いはせいぜい手数料や誤差の問題。そう考えるのは自然だ。指数という言葉が平均を連想させるから。しかし、その理解は実務では通用しない。指数は平均ではない。ルールブックだ。何を採用するか。どう重みづけするか。いつ入れ替えるか。この設計が、リターンとリスクの形を決める。特に時価総額...
ETFの基礎構造

ETFの基礎構造から理解する価格形成──iNAV(推定NAV)はなぜズレるのか

iNAVがあれば「適正価格」は分かる、という誤解ETFにはiNAV(またはiIV)という数値が表示される。これは推定純資産価値と呼ばれる。リアルタイムで計算される目安価格のこと。多くの初心者はこう考える。iNAVが基準なら、そこからズレれば割高か割安かは簡単に分かるはず。発想としては自然。ただ、構造を半分しか見ていない。iNAVは真実の価格ではない。あくまで計算上の推定値。しかも条件によっては、制...
ETFの基礎構造

ETFスプレッドの正体を構造で解く:流動性・在庫リスク・ヘッジコストが広げる「見えない手数料」

初心者が踏み抜きやすいのが、スプレッドの扱い。買値(Ask)と売値(Bid)の間が広いとき、こう解釈しがちになる。人気がないから広い。たまたま板が薄いだけ。気にせず成行で入ればいい。この理解だと、取引コストの本体を見誤る。スプレッドは板が薄い現象というより、金融システムが抱えるリスクとコストが値段に翻訳された結果。つまりスプレッドは、明細に出ない見えないコスト。それだけじゃなく、市場がいま機能して...
ETFの基礎構造

ETFを支える2つの仕組み:Creation Unit(設定単位)とin-kind(現物出し入れ)

ETFは、取引所の売買とは別に、口数そのものを増やしたり減らしたりできる。ETFには、発行口数を増減させる裏側のルートがある。ここが株式と決定的に違う。その裏側を動かす鍵が、Creation Unit(設定単位)とin-kind(現物出し入れ)になる。これが分かると、プレミアム/ディスカウントがなぜ生まれ、なぜ多くの場合はNAVに近づき、どんな局面で近づきにくくなるのかを、因果で説明できるようにな...
ETFの基礎構造

ETF一次市場(Creation/Redemption)とは何か|口数が増減する設定・解約の仕組みを構造で理解する

ETFは株と同じように取引所で売買できる。だから株と同じ構造だと思われがち。ここが最初の落とし穴。株式の売買は、基本的に「すでに発行されている株」を投資家同士が交換しているだけ。その日の売買で株数が突然増えたり減ったりはしない。一方ETFは、見た目は株でも、裏側で発行口数が増減する。この増減が起きる場所が一次市場、いわゆるCreation/Redemption、設定と解約だ。本記事の目的は、なぜこ...
ETFの基礎構造

ETFの一次市場と二次市場の違いを理解する|価格の裏側で何が動いているのか

ETFは「株と同じ」だという誤解ETFは株と同じように、取引所でリアルタイムに売買できる。だから構造も株と同じ、と考えられがち。でも、この理解は決定的に足りない。株式は、企業が発行した株数が基本的に固定される。投資家同士が、その限られた株を売り買いしているだけ。一方ETFは、発行済の口数そのものが日々増減する。見た目は株でも、中身はまったく別物。本記事の目的は、この二重構造を論理的にほどくこと。読...
心理・意思決定

ETF資金フローは何を映すのか――学術研究が示す「強み」と「落とし穴」

はじめに:フローを見るという発想は、学術的にも検証されているETFの資金フロー(お金の出入り)を見よう、という考え方は、個人投資家の思いつきだけじゃない。学術研究でも、ETFの設定・解約で起きる資金の出入りが、価格の動き方に影響するかもしれない、と検証されている。代表例が、Brown・Davies・Ringgenbergの研究(Review of Finance, 2021)。題名を日本語にすると...
投資戦略

価格より需給を見る ― セクター資金フロー観測の考え方

なぜ価格だけでは足りないのか2025-2026年の相場は、金利、景気循環、AIテーマ、エネルギー、インフレ観測。複数の材料が同時に動く、かなり複雑な局面にある。たとえば S&P 500 が上昇していても、指数の中身まで同じ方向とは限らない。資金がどのセクターに流れているかは、また別の話になる。価格は市場参加者全体の結果だ。だから、値動きだけを見ると「何が起きているか」ではなく「何が起きたか」しか分...