1306は「TOPIXに広く乗るためのETF」でありながら、分配金の見方を雑にすると判断を誤りやすい銘柄でもある。年1回分配なので、見かけの利回りだけを見ると高くも低くも見えやすいからだ。この記事では、1306の実際の分配スケジュール、過去実績、税引後の手取り、そして利回りの読み方を、計算式まで落として整理する。
1306は毎年7月10日が分配金支払い基準日で、年1回分配である。2025年の分配金は100口あたり6,950円だった。利回りを見るときは「過去12か月の合計分配金 ÷ 今の基準価額」で計算されている点を先に押さえるべきだ。
分配スケジュール|いつ・何回もらえるか
1306の分配金支払い基準日は毎年7月10日で、年間分配回数は1回である。野村アセットの公式ページでも、分配金支払い基準日は「毎年7月10日(年1回)」と明記されている。
| 項目 | 1306の内容 |
|---|---|
| 年間分配回数 | 年1回 |
| 決算日・分配金支払い基準日 | 毎年7月10日 |
| 2025年の権利付き最終日 | 2025/7/8(火) |
| 2025年の権利落ち日 | 2025/7/9(水) |
| 2025年の支払予定日 | 2025/8/18(月) |
ここで大事なのは、「決算日に持っていればよい」ではなく、「権利付き最終日までに買って保有しておく必要がある」という点だ。2025年の1306なら、7月10日が決算日でも、分配金を受け取るには7月8日までに買っておく必要があった。7月9日に買った人は、値段が権利落ち後になっていても、その年の分配金は受け取れない。ここを取り違える人がかなり多い。
さらに1306は売買単位が10口なので、最小単位で買う場合は10口保有が基本になる。2026年3月9日時点の取引所価格終値は3,754円、最低取引金額は約3万7,540円である。つまり「分配金をもらうには何口必要か」ではなく、「最低10口を権利付き最終日までに持っているか」で考えるのが実務的だ。
参照:NEXT FUNDS 1306 商品ページ/ETF決算・分配金スケジュール(2025年7月10日決算分)
分配金の実績と計算の仕方
1306の分配金は100口あたりで公表される。直近実績は以下の通りだ。
| 決算日 | 分配金実績(税引前、100口あたり) |
|---|---|
| 2025年7月10日 | 6,950円 |
| 2024年7月10日 | 5,790円 |
| 2023年7月10日 | 5,210円 |
1306は年1回分配なので、TTM(Trailing Twelve Months、過去12か月分の合計分配金)はかなり単純である。2026年3月9日時点では、過去12か月に支払われた分配金は2025年7月10日の6,950円だけなので、TTMは6,950円となる。計算式は「TTM分配金=過去12か月に支払われた分配金の合計」であり、1306のような年1回型では、直近1回分がそのままTTMになる時期が長い。
NEXT FUNDSの公式サイトでは、2026年3月9日時点の基準価額(100口あたり)は375,459円、分配金利回りは1.85%と表示されている。これはおおむね「6,950円 ÷ 375,459円」で計算できる。つまり、今見えている1.85%は“今の基準価額に対して、過去12か月の分配金が何%か”を示している数字であって、自分が買った時の利回りではない。
ここでズレが起きる。たとえば、あなたがもっと安い価格で1306を買っていれば、あなた個人の購入価格ベース利回りは1.85%より高くなる。逆に高いところで買っていれば低くなる。だから、画面に出ている利回りをそのまま「自分が受け取る利回り」と思うのは雑すぎる。1306のようなコアETFは、分配金の水準そのものより、指数の性格と保有コストと継続保有のしやすさまで含めて見るべきだ。
参照:野村アセット 分配金実績/NEXT FUNDS 1306 商品ページ
税引後の手取りはいくらか
国内ETFの分配金は、通常20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%+住民税5%)が課税される。したがって、税引後の手取りは「税引前 × 0.79685」で計算できる。これは国税庁ベースで確認できる基本ルールだ。
1306で具体化すると、2025年の分配金は100口あたり6,950円だったので、特定口座など課税口座での税引後手取りは、おおむね6,950円 × 0.79685 = 5,538円となる。1口換算なら69.5円、最小売買単位の10口なら695円が税引前で、税引後は約554円である。
NISA口座なら、この分配金は非課税で受け取れる。1306はNEXT FUNDSの公式ページでNISA(成長投資枠)対象と表示されているため、同じ100口でもNISAなら6,950円そのまま、課税口座なら約5,538円になる。差額は約1,412円だ。分配金狙いで長く持つなら、この差は地味に効く。
ただし、NISAだから何でも正義ではない。1306はTOPIX全体に乗るためのコアETFなので、分配金を非課税で受け取る設計は相性がよい一方、NISA枠を使う以上は「分配を受け取るために枠を使うのか」「値上がり益込みで長く保有するのか」を先に決めた方がよい。ここを曖昧にすると、ただ枠を消費しただけで終わる。
参照:国税庁 配当課税の説明/NEXT FUNDS 1306 商品ページ/NEXT FUNDS NISAとETF
利回りの数字に惑わされないための読み方
まず押さえるべきなのは、分配利回りには「基準価額ベース」と「自分の購入価格ベース」の2種類の見方があることだ。NEXT FUNDSの表示利回りは、基準日時点の基準価額を使った公式表示である。これは銘柄比較には便利だが、自分の実際の投資成果とは一致しない。
次に、「利回りが高い=良い銘柄」とは限らない。一般の投資信託では、元本の払い戻しに近い特別分配や、いわゆるタコ足分配が見かけ上の高利回りを作ることがある。一方で、1306の目論見書とNEXT FUNDSの解説では、分配金は信託財産から生ずる配当等収益から経費控除後に全額分配することを原則とし、売買益は分配原資にしないとしている。つまり1306は、毎月分配型の投信を同じ感覚で見る銘柄ではない。
分配金目的で1306を見るなら、確認すべき数字は3つだけでよい。
「今の受取額を知りたい」なら、直近分配金額と保有口数を見る。1306なら2025年実績は100口あたり6,950円だ。
「見かけの利回りを比較したい」なら、TTM分配金と基準価額を見る。2026年3月9日時点では6,950円 ÷ 375,459円で約1.85%になる。
「本当に持ち続けやすいかを知りたい」なら、分配金だけでなく、信託報酬率0.0543%やTOPIX(配当込み)という指数の性格まで見る。ここを見ずに利回りだけ追うのは、入口で転ぶやり方だ。
参照:NEXT FUNDS 1306 商品ページ/交付目論見書/ETFの分配金のしくみと利回り
よくある誤解
「分配利回りが高いETFほど得だ」というのは、かなり雑な誤解である。理由は単純で、利回りは“過去の分配金 ÷ ある時点の価格”で見せている数字にすぎず、自分の購入単価や今後の分配金を保証しないからだ。実際、1306の公式表示1.85%も、2026年3月9日時点の基準価額を使った過去データである。将来も同じ金額が出ると決まっているわけではない。さらに、一般の投信では特別分配で見かけの利回りが高く見えることもある。では何をするか。1306を見るときは、表示利回りだけで飛びつかず、「直近分配金」「TTM」「自分の購入価格ベース利回り」の3つを分けて確認する。これで判断のズレはかなり減る。
まとめ
1306は年1回分配なので、分配金の仕組み自体はシンプルだ。ただし、権利付き最終日までに買う必要があること、利回り表示は過去データであること、NISAと課税口座で手取りが変わることは、必ず分けて理解したい。分配金だけで判断せず、次は比較記事で1308・1348などとの違い、または継続条件の記事で「持ち続ける前提が壊れていないか」を確認したい。



