1348はTOPIXに連動する国内株ETFで、分配は年2回である。見るべきなのは「いくら出たか」だけではない。いつ権利が確定し、いまの株価に対して何%なのか、税引後に実際いくら残るのかまで分けて読むと、分配金の見え方はかなり変わる。この記事では1348の実績を使って、計算の仕方まで具体的に整理する。
1348の分配は年2回、基準日は毎年1月16日と7月16日。直近12か月の分配実績は1口あたり73.3円。だが、利回りは「いつの価格で割るか」で変わる。分配金額、TTM、税引後手取りを分けて見ないと判断を誤る。
分配スケジュール|いつ・何回もらえるか
1348の分配金支払基準日は毎年1月16日と7月16日、つまり年2回である。交付目論見書でも「年2回の決算時に分配」とされ、分配金は原則として毎決算後40日以内の指定日に支払われる。実際、2025年1月期の支払開始予定日は2025年2月21日、2025年7月期は2025年8月22日、2026年1月期は2026年2月24日だった。
| 決算日・基準日 | 年間回数 | 権利付き最終日の考え方 | 権利落ち日 | 支払開始予定日の例 |
|---|---|---|---|---|
| 1月16日 | 年2回 | 基準日の2営業日前までに買う | その翌営業日 | 2025/2/21、2026/2/24 |
| 7月16日 | 年2回 | 基準日の2営業日前までに買う | その翌営業日 | 2025/8/22 |
仕組みは単純で、「基準日に持っている」ではなく「基準日の2営業日前の権利付き最終日までに買っておく」が正解である。たとえば2026年1月16日が基準日なら、権利付き最終日は2026年1月14日、権利落ち日は1月15日になる。1月15日に買っても、その回の分配金はもらえない。ここを勘違いする人が多い。
1348の場合に言い換えると、「1月分が欲しいなら1月14日まで」「7月分が欲しいならその年の7月16日の2営業日前まで」が基本になる。決算日が土日祝に重なる年は扱いがずれることがあるので、最終確認は証券会社の権利日カレンダーかJPXの配当落・権利落情報で確認した方がいい。
参照:JPXのETF銘柄情報(1348)/MAXIS トピックス上場投信の商品ページ/JPXの配当落・権利落等情報
分配金の実績と計算の仕方
1348の直近実績は次のとおりである。運用会社の実績表示は100口あたり表記なので、1口あたりも併記しておく。
| 基準日 | 税引前分配金(100口あたり) | 1口あたり |
|---|---|---|
| 2026/1/16 | 3,500円 | 35.0円 |
| 2025/7/16 | 3,830円 | 38.3円 |
| 2025/1/16 | 3,080円 | 30.8円 |
| 2024/7/16 | 3,250円 | 32.5円 |
TTMは「Trailing Twelve Months」、過去12か月分の実績分配金合計を指す。1348の足元で見るなら、2025年7月16日分の38.3円と2026年1月16日分の35.0円を足して、TTMは73.3円になる。計算式は、TTM分配金=直近12か月の分配金合計である。1348は年2回なので、実務上は直近2回分を足せばよい。
次に利回りである。よくある表示は、分配利回り=TTM分配金 ÷ 現在の市場価格で計算される。たとえば足元の市場価格が3,822円なら、73.3円 ÷ 3,822円 = 約1.92%になる。一方、JPX資料では2025年6月30日時点の終値2,987円と直近12か月分配63.3円を使って約2.12%と表示されていた。数字が違うのは、分配金が変わったというより、分母に使う価格の時点が違うからである。
ここが重要だ。証券会社や情報サイトの「利回り」は、いま買う人の目線では便利だが、すでに持っている人の受取感覚とは一致しない。たとえば3,000円で買った人なら、同じTTM73.3円でも買値ベースの利回りは約2.44%になる。つまり、表示利回りは一つでも、投資家が感じる利回りは購入単価で変わる。画面の数字をそのまま信じるとズレる理由はここにある。
参照:MAXIS トピックス上場投信の商品ページ/JPXのETF銘柄情報(1348)/東証マネ部!の1348ページ
税引後の手取りはいくらか
国内ETFの分配金は、原則として20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収される。だから特定口座など課税口座での税引後手取りは、税引後=税引前×0.79685で計算できる。
1348で具体化すると、2026年1月16日の1口35円は税引後で約27.89円、2025年7月16日の38.3円は約30.52円、直近12か月合計73.3円は約58.41円になる。100口あたりなら、税引前7,330円に対して税引後は約5,840.91円である。
NISA口座なら話は変わる。NISAで取得した上場株式等の配当・分配金は非課税だが、非課税になるのは金融商品取引業者等を経由して交付されるもの、つまり通常は株式数比例配分方式を選んでいる場合に限られる。設定を間違えると、NISAで持っていても課税扱いになる。ここは見落としやすい。
1348で100口保有の例を出す。直近12か月の税引前分配金は7,330円である。特定口座なら手取りは約5,841円、NISAで非課税受取ができていれば7,330円そのまま残る。差は約1,489円だ。分配を重視するなら、この差は小さくない。だから「NISAで持つだけ」では不十分で、受取方式まで確認して初めて非課税の効果が完成する。
1348は国内ETFなので、ここで米国ETFの二重課税や外国税額控除を持ち出す必要はない。比較対象が国内で揃う以上、わざわざ米国ETFの税制を持ち込んで話を濁す意味は薄い。
参照:国税庁|上場株式等の配当等の税率/国税庁|NISA制度/金融庁|NISAを利用する皆さまへ
利回りの数字に惑わされないための読み方
分配利回りには少なくとも2つの見方がある。基準価額や現在の市場価格を分母にしたいま時点の利回りと、自分の購入価格を分母にした自分の利回りである。前者は比較向き、後者は家計管理向きだ。1348のようなコア型ETFでは、どちらを見ているかを混ぜると判断がブレる。
また、「利回りが高い=良い銘柄」と決めつけるのは雑すぎる。ETFや投資信託の分配は、元本の一部払い戻しに近い形になることがあり、一般の投資信託では特別分配という形で見かけ上の高利回りが出ることもある。ETFの1348はTOPIX連動の王道商品で、テーマ型のような極端な分配狙いではないが、それでも利回りだけで良し悪しを決めるのは筋が悪い。まず見るべきは、分配の裏にある指数、収益源、継続性である。
分配金を目的に1348を見るなら、確認すべき数字は3つで十分である。
いま買う前提なら、①直近12か月分配金(TTM)、②現在価格、③TTM利回り。
すでに持っているなら、①自分の取得単価、②税引後TTM、③NISAか課税口座か。
今後も持ち続けるか判断するなら、①分配金の安定性、②TOPIX連動であることの納得感、③代替候補とのコスト差。
この順番で見ると、数字に振り回されにくい。
NISAでの受け取りと再投資の考え方
1348をNISAで持つ場合、分配金を生活費に回すのか、再投資に回すのかで意味が変わる。再投資前提なら、非課税で受け取れた分配金をそのまま追加購入に回す方が複利は効きやすい。ただし1348はTOPIX連動の土台商品なので、分配を受け取ること自体より、低コストで日本株全体を継続保有できるかの方が本質である。分配金は魅力の中心ではなく、結果として受け取る現金と考えた方がブレにくい。
参照:MAXIS トピックス上場投信の商品ページ/JPXのETF銘柄情報(1348)
よくある誤解
「分配利回りが高いETFほど得だ」は誤解である。理由は簡単で、利回りは分配金の多さだけでなく、その時点の価格でも上下するからだ。価格が下がれば、分配金が同じでも利回り表示は上がる。実際は、利回りが高く見えても中身が良くなったとは限らない。1348のようなTOPIX連動ETFでも、まず見るべきはTOPIXという土台に納得しているか、TTMがいくらか、税引後でいくら残るかである。もう一つ多い誤解が「権利落ち日に買えば分配金がもらえる」だが、実際は逆で、その日はもう遅い。では何をするか。画面の利回りを眺める前に、次回基準日、権利付き最終日、税引後手取りの3点を先に確認する。これでかなりの誤判断は防げる。
まとめ
1348の分配金は年2回で、直近12か月実績は1口73.3円である。だが、大事なのは金額そのものより、権利日、TTM、税引後手取り、そして分母に使う価格を分けて考えることだ。分配金の見え方を整理した次は、「1348を他のTOPIX ETFとどう選び分けるか」を比較(VS)で確認したい。



