2513 vs 536A vs 1657|同じ「先進国株」でも、見るべき差は指数名より“設計と実務”である

2513・536A・1657は、どれも「日本を除く先進国株」に乗るETFである。だから雑に見ると、信託報酬の安いものを選べば終わりに見える。だが実際はそう単純ではない。指数の表記、ファンドの作り方、上場からの実績、売買のしやすさまで含めて見ると、向いている人は分かれる。今回はそのズレを、選択基準ごとに整理する。

どれを選ぶかは、「最安コストを取りにいくか」「実績ある既存ETFを使うか」「新設の低コスト商品を待てるか」次第である。 3本とも先進国株という大枠は近いが、実務では同じ扱いにしてはいけない。

まず論点を整理する|何で比べるか

最初に見るべきは、「先進国株に投資できるか」ではない。3本ともそこはほぼ満たしている。見るべきなのは、どの指数表記に連動するか、どんな器で持つか、今すぐ売買できるか、実務コストが読めるかである。特に536Aは新規上場前なので、2513や1657と同じ土俵で「過去の売買しやすさ」を比べることはできない。

以下の表は、2026年3月13日時点で比較判断に必要な最低限の論点を並べたもの。数値と制度表示は各運用会社・JPXの公表資料ベースで整理している。

論点2513536A1657
連動する指数MSCI-KOKUSAI指数(円換算)MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、当社円換算ベース)MSCIコクサイ指数(税引後配当込み、国内投信用、円建て)
信託報酬年0.187%(税込)年0.165%以内(税込)年0.209%程度(税込)
分配頻度・分配設計年2回(3月7日・9月7日)年2回(4月15日・10月15日。初回は変則)年2回(2月9日・8月9日)
NISA対応状況商品ページで成長投資枠ラベルあり新規上場銘柄のため証券会社側の取扱反映を要確認商品ページで成長投資枠表示あり
為替リスクあり(ヘッジなし)あり(ヘッジなし)あり(ヘッジなし)
東証上場か米国上場か東証上場・円売買東証上場予定・円売買東証上場・円売買

この表から分かるのは、為替ヘッジの有無や上場市場では差がつかないということだ。3本とも日本時間に円で売買でき、買付時に米ドル転をする必要はない。一方で、値動き自体は外貨建て株式と円相場の両方の影響を受ける。つまり、今回の比較は「ドルで買うのが嫌だからどれ」という話ではなく、同じ円建て上場ETFの中で何を優先するかの話である。

参照:2513 商品ページ536A ETF一覧1657 商品ページ

指数設計の違いを読む

最重要論点はここである。3本ともベースはMSCIコクサイ系なので、カバー範囲そのものはかなり近い。MSCIコクサイは日本を除く先進国の大・中型株を対象とし、22か国・市場時価総額の約85%をカバーする代表指数である。だから「米国中心の先進国株を広く持つ」という目的だけなら、3本は大枠で同じ箱に入る。

だが、連動のさせ方は同一ではない。2513はMSCI-KOKUSAI指数を日本円換算して追う設計で、536AもMSCIコクサイを農林中金全共連アセットマネジメントが円換算したベースを使う。これに対し1657は「税引後配当込み・国内投信用・円建て」の指数を採用している。つまり、名前は似ていても、配当の扱い方や円換算の立てつけが完全一致ではない。ここを無視して「同じ指数だから同じ」と言うのは雑である。

さらに器の違いもある。2513と536Aは、マザーファンドや指数採用銘柄の株式への投資で指数連動を目指す。一方1657は、直近資料上で保有銘柄数が4で、実際にはiShares Core S&P 500 ETFや欧州・カナダ・パシフィック除く日本のETFを組み合わせて先進国株全体を作っている。1657の「保有銘柄数4」は分散不足という意味ではなく、中身が株そのものではなく、外国籍ETFの束であることを示している。

したがって、選び方はこうなる。できるだけ素直にMSCIコクサイ系へ乗りたいなら2513や536Aが候補になる。逆に、ブラックロックの既存インフラとETFラッパー型の運用で問題ないなら1657も十分候補である。ここで「どっちが正しいか」はない。指数名の近さより、設計の違いを許容できるかで決めるべきである。

参照:MSCIコクサイの概要を含む1657商品ページ2513のJPX銘柄概要PDF536AのJPX銘柄概要PDF

コストの実態|信託報酬だけで判断しない

表面コストだけを見ると、536Aの年0.165%以内が最も低く、次が2513の0.187%、1657が0.209%程度である。ここだけ切り取れば536A有利に見える。だが、これはまだ半分しか見ていない。

ETFの実務コストは、信託報酬だけでは決まらない。売買時にはスプレッド、つまり買値と売値の差がある。さらに市場価格が基準価額からどれだけずれるか、つまり乖離もある。2513は2026年3月12日時点で純資産総額789.5億円、1657は約454.6億円まで積み上がっている。一方536Aは2026年3月19日上場予定で、まだ売買履歴が薄い。つまり、見えている信託報酬は536Aが低くても、見えていない売買コストの読みやすさは2513・1657の方が上である。新設ETFに飛びつくときは、ここを無視してはいけない。

もう一つ大事なのは為替である。3本とも東証上場の円売買なので、米国ETFのように自分でドル転する手間や明示的な為替手数料は原則ない。だが、保有資産は外貨建てであり、パフォーマンスは円相場の影響を受ける。つまり「円で買える=為替リスクがない」ではない。ここを取り違えると、買った後に想定と違う動きに見える。

結論として、長く持つ前提で見えるコストを最小化したいなら536Aは魅力がある。だが、実際の売買まで含めた総コストを読みたいなら、実績のある2513と1657の方が判断しやすい。 コストの低さだけで飛びつくのは、ETFでは雑だ。

参照:2513 商品ページNZAM ETF一覧1657 商品ページ

536Aはどこで使うか

3銘柄比較では、536Aを単に「一番新しくて一番安い候補」とだけ見ると失敗する。正しくは、これから流動性が育つ前提で、低コストの先進国株ETFを待てる人向けの候補である。上場予定日は2026年3月19日で、決算は年2回、初回計算期間は2026年3月18日から10月15日までの変則で始まる。つまり、今すぐ比較対象として眺めることはできても、2513や1657のように「過去の売買のしやすさ」まではまだ評価できない。

だから536Aが向くのは、売買回数が少なく、最初から大きく出入りせず、運用開始後の出来高や板、乖離を確認しながら入れる人である。逆に、すぐにまとまった金額を入れたい人、取り崩しも視野に入っていて売却時の執行を重視する人には、現時点では既存2本の方が扱いやすい。 ここは新品か中古かの話ではなく、流動性実績の有無の話である。

参照:NZAMの新ETFプレスリリース536AのJPX銘柄概要PDF

目的別の使い分け

コアとして長期保有するなら、まずは2513か1657が本線である。理由は単純で、すでに純資産や売買実績があり、使い勝手を読みやすいからだ。コスト重視なら2513寄り、ブラックロックの既存商品群との整合やETFラッパー型でも問題ないなら1657でもよい。536Aは候補に入るが、上場直後の実務データ確認が前提になる。

分配金を受け取りたいなら、3本とも年2回で大差はない。ただし決算月が違う。2513は3月・9月、536Aは4月・10月、1657は2月・8月である。受取時期を他のETFとずらしたい人には、このズレが実務上は効く。分配頻度だけで差は小さいが、家計の入金タイミングを整えたいなら無視しない方がよい。

NISAの成長投資枠で使うなら、2513と1657は商品ページ上で成長投資枠表示が確認できる。536Aは新規上場銘柄なので、証券会社側の買付画面反映を確認してから動くのが安全である。制度上の一般論で突っ走るより、実際にその証券会社で注文できるかを見るべきだ。

為替リスクを抑えたいなら、答えはこの3本の中にはない。3本とも為替ヘッジなしである。だから「先進国株は欲しいが円高が怖い」という人は、この比較対象自体を見直す必要がある。ここで無理に3本から選ぶのは筋が悪い。

取り崩し期に入っているなら、現時点では2513か1657が優先である。理由は、売却時は買うとき以上に流動性と執行の読みやすさが大事だからだ。新規上場直後の536Aは、長期積立の入口候補にはなっても、取り崩し期の主力候補としてはまだ早い。

参照:2513 商品ページ1657 商品ページNZAM新ETFプレスリリース

どれを選ぶかの判断フロー

判断を一文で片づける。今すぐ実績ある先進国株ETFを選びたいなら2513か1657、低コストの新設商品を待てるなら536Aである。ここが大枠だ。

もう少し分ける。できるだけシンプルな指数連動感と既存の厚みを重視するなら2513ブラックロックの商品設計や既存iシェアーズ群との整合を重視するなら1657信託報酬の低さを優先し、上場後の板や乖離を見ながら入るなら536Aである。

そして正直に言うと、「日本を除く先進国株に長く乗れればよく、細かい指数表記差や器の違いはそこまで気にしない」なら、2513と1657はどちらでも大きく外しにくい。 逆に、536Aはまだ“買った後どう回るか”の実地データがこれからである。だから現時点では、2513・1657は完成品の比較、536Aは予約候補の比較と考えるのが正確である。

参照:2513のJPX銘柄概要PDF1657 商品ページ536AのJPX銘柄概要PDF

よくある誤解

「信託報酬が低い方が絶対に得だ」は誤解である。 理由は、ETFでは保有中の年率コストだけでなく、買うとき・売るときのスプレッド、板の厚さ、乖離の出方が効くからだ。実際、536Aは信託報酬が低いが、2026年3月13日時点ではまだ上場前で、売買実績の確認ができない。反対に2513や1657は、コスト表だけ見れば少し高くても、すでに純資産や運用実績があり、売買の読みやすさがある。では何をするか。まず信託報酬で候補を絞り、その後に上場時期・純資産・売買実績まで見て最終判断する。 これがETFの正しい順番である。

まとめ

2513・536A・1657は、どれも「先進国株ETF」ではある。だが、選ぶ基準は同じではない。今すぐ使うなら2513か1657、低コストの新設商品を待てるなら536Aという整理が基本線である。大事なのは、名前の似方ではなく、指数設計・器・売買実績まで見て決めることだ。保有を続ける前提が崩れていないかは、各銘柄の継続条件記事で別途点検してほしい。

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