全世界株ETFと先進国株ETFは、見た目はかなり似ている。どちらも海外株にまとめて投資できるし、長期のコア資産として使われることも多い。だが、中身は同じではない。いちばん大きな違いは、新興国を含むかどうかである。MSCI ACWIは先進国と新興国を含む一方、MSCIコクサイは日本を除く先進国のみを対象にした指数だ。ここを曖昧にしたまま銘柄比較に入ると、判断がずれる。
全世界株ETFと先進国株ETFの違いは、細かいコスト差より先に、投資対象の広さで見るべきである。
ACWIは「先進国+新興国」、MSCIコクサイは「日本を除く先進国」である。まずこの違いを押さえ、そのあとで個別の銘柄比較に進むのが正しい順番だ。
全世界株ETFと先進国株ETFは、何が違うのか
結論から言うと、違いは「国の範囲」である。
MSCI ACWIは、MSCIの公式説明で、先進国と新興国を含む大型株・中型株の指数とされている。世界全体の株式市場をひとまとめに見たいときの代表指数だ。対してMSCIコクサイは、日本を除く先進国の大型株・中型株を対象にした指数である。名前だけ見ると分かりにくいが、要するに「全世界」か「先進国のみ」かの違いだ。
この差は、ただのラベル違いではない。新興国を含むかどうかで、組入国も値動きの性格も変わる。ACWIには米国や欧州だけでなく、新興国も入る。MSCIコクサイは新興国を入れない。したがって、読者が考えるべき最初の問いは「どのETFが優秀か」ではなく、自分は新興国までまとめて持ちたいのか、それとも先進国に絞りたいのかである。
ACWIとは何か
ACWIは「All Country World Index」の略で、MSCIの公式ページでは、先進国と新興国にまたがる大型株・中型株をカバーする指数と説明されている。おおざっぱに言えば、「世界株の代表格」である。グローバル分散を1本で取りたい人が見るべき土台の指数だ。
東証ETFでこの土俵にいるのが、たとえば2559 MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信と、**537A NZAM 上場投信 全世界株式(MSCI ACWI)(為替ヘッジなし)**である。2559のJPX資料では「日本を含む世界の先進国と新興国の株式市場のパフォーマンスを総合的にはかる指数」であるMSCI All Country World Indexの円換算値との連動を目指すETFとされている。537Aの公式ページでも、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動を目指すETFと明記されている。
つまり、2559と537Aは「全世界株ETF」という同じ棚に置くべき銘柄である。ここを先進国株ETFと混ぜて語ると、比較軸が崩れる。
MSCIコクサイとは何か
MSCIコクサイは、MSCIの公式説明で、日本を除く先進国の大型株・中型株をカバーする指数である。別名として「MSCI World ex Japan Index」とも案内されている。日本を外して先進国株をまとめて持ちたい人向けの代表指数だ。
東証ETFでこのグループに入るのが、1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF、2513 NEXT FUNDS 外国株式MSCIコクサイ、536A NZAM 上場投信 先進国株式(MSCI-KOKUSAI)である。1657のブラックロック公式ページでは、MSCIコクサイ指数への連動を目指すETFであり、この指数は日本を除く先進国の株価動向を示す代表的な指数と説明されている。MSCIの指数ページでも、MSCIコクサイは日本除く先進国を対象とする指数として案内されている。さらにMSCIの指数連動ETF一覧には、2513がMSCI Kokusai Index連動ETFとして掲載されている。
要するに、1657・2513・536Aは「先進国株ETF」という同じ棚で比較すべき銘柄である。
読者が最初に決めるべきなのは「世界株」か「先進国株」か
このラグーンで最初に決めるべきことは明快だ。
全世界で持つのか、先進国に絞るのか。
先にここを決める。
全世界株ETFを選ぶということは、新興国も含めて世界全体をまとめて持つということだ。国の分散は広がる。一方で先進国株ETFを選ぶということは、新興国を外し、先進国中心で持つということだ。どちらが絶対に正しいという話ではない。だが、ここを決めないまま「2559と1657どっちがいいか」と聞くのは、SUVとセダンを一緒くたに比べるようなものだ。そもそも用途が少し違う。
この入口記事の役割は、そこで読者を止めることにある。
「ちょっと待て。その比較、まだ早い」と言う記事でないと意味がない。
東証で見ると、銘柄はこの2グループに分かれる
このラグーンにある銘柄を整理すると、構造はかなりシンプルになる。
全世界株ETF
先進国株ETF
2559と537Aは、公式資料上どちらもMSCI ACWI系である。1657と2513と536Aは、MSCIコクサイ系として整理できる。したがって、ラグーン記事の設計としては、まず「全世界株ETFと先進国株ETFの違い」を置き、その次に2559 vs 537A vs 1657、さらに1657 vs 2513 vs 536Aへ送る流れが自然である。
ここで雑に「海外株ETFまとめ」にすると弱い。
理由は単純で、読者が知りたいのは「海外株」ではなく、自分が持つべき範囲の違いだからだ。
なぜ2559 vs 537A vs 1657という比較が成り立つのか
一見すると、この3本は並べ方が変に見える。
2559と537Aは全世界株ETFなのに、1657は先進国株ETFだからだ。
だが、この比較には意味がある。読者は実際には、「全世界にするか、先進国にするか」をまだ決め切れていない段階で検索してくる。だから、2559と537Aだけを並べても半分しか答えにならない。そこに1657を入れることで、全世界株と先進国株の境目まで比較できる。つまりこの比較記事は、同一指数内の細かい違いを見る記事ではなく、役割の違いまで含めて選択基準を整理する記事として使うべきである。
逆に、1657・2513・536Aの比較は話が違う。こちらは同じMSCIコクサイ系なので、読者の論点は「先進国株ETFにすることは決めた。その上でどれにするか」である。ここではコスト、売買しやすさ、運用会社、今後の定着可能性といった商品差が主役になる。
このラグーン記事で言い切るべきこと
この入口記事では、変に中立ぶって曖昧にする必要はない。
言い切るべきことは3つだけだ。
1つ目。
ACWIとMSCIコクサイは同じではない。
ACWIは先進国+新興国、MSCIコクサイは日本除く先進国である。
2つ目。
2559・537Aは全世界株ETF、1657・2513・536Aは先進国株ETFである。
比較の土台をここで分ける。
3つ目。
銘柄比較の前に、投資範囲を決めるべきである。
新興国まで含めたいのか、先進国に絞りたいのか。ここを決めないままコスト比較に入っても、判断はブレる。これはこのラグーン全体の前提になる。
まとめ
全世界株ETFと先進国株ETFの違いは、新興国を含むかどうかである。
MSCI ACWIは先進国と新興国を含む。MSCIコクサイは日本を除く先進国に絞る。2559と537Aは全世界株ETF、1657・2513・536Aは先進国株ETFとして整理するのが正しい。
やるべきことは、いきなり「どの銘柄がいいか」を決めることではない。
まず、世界株で持つのか、先進国株で持つのかを決める。
そのあとで、各比較記事に進めばよい。順番を間違えると、比較記事をいくら読んでも判断が固まらない。



