東証で買える債券ETFの選び方|年限・為替・信用リスクの違いを整理

債券ETFは、株式ETFより値動きが穏やかそうに見えるため、ひとまとめに「守りの資産」として扱われがちだ。だが実際には、何に投資しているかで役割はかなり違う。東証で買える主な債券ETFにも、米国の超短期国債に連動するもの、7-10年の米国債に連動するもの、20年超の長期国債に連動するもの、米ドル建ての総合債券に広く投資するもの、国内債券に連動するもの、投資適格社債やハイイールド社債に連動するものがある。まずは商品名より先に、何のリスクを持つ商品なのかを見分けることが大切である。

債券ETFを見るときは、最初から利回り順で並べない方がよい。先に見るべきなのは、年限、為替、信用リスクの3つ。年限を伸ばすほど値動きの性質は変わり、米ドル建て資産を持つなら為替の影響も受ける。さらに、国債から社債、投資適格からハイイールドへ進むほど、見ているのは金利だけではなく企業の信用力になる。債券ETFの選び方は、結局この3軸をどう受け入れるかで決まる。

債券ETFはまず3つの軸で分ける

債券ETFを整理するとき、最初に見るべき軸は3つしかない。
1つ目は年限。米国債ETFでも、2012は3カ月未満、1656は7年以上10年未満、2255は20年以上と、見ている金利の帯がまったく違う。だから同じ「米国債ETF」でも、待機資金に近い感覚で見る商品と、金利低下局面の値動きまで取りにいく商品は別物になる。

2つ目は為替。2256は米ドル建ての国債、政府関連債、社債、資産担保債などを含む米国総合債券に投資する。一方、2510は国内で発行された公募利付債券の市場全体を表すNOMURA-BPI総合への連動を目指し、実質的な主要投資対象も日本の公社債である。どちらも「債券を広く持つ」ように見えるが、片方は米ドル建て資産、もう片方は国内債券であり、見るべき前提が違う。

3つ目は信用リスク。2257は米ドル建ての投資適格社債、2258は米ドル建てのハイイールド社債に連動する。どちらも企業が発行する債券だが、前者は財務基盤が比較的強い発行体、後者はより高い利回りと引き換えに信用リスクを引き受ける設計である。分配金の大きさだけで並べると、ここを見落としやすい。

年限で選ぶなら米国債ETFを見る

米国債ETFを選ぶときは、まず「何年先までの金利を見にいくのか」を決めた方が早い。2012は米国の国債のうち3カ月未満、1656は7-10年、2255は20年超に連動する。つまり、3本は優劣ではなく役割が違う。

2012は、債券で値幅を取りにいくというより、米ドル金利環境を意識しながら短期資金の置き場として見る方が自然である。価格変動よりも、現金に近い感覚で持ちたい人に向く。金利が上下しても、大きな値動きを期待する商品ではない。

1656は、その中間である。現金置き場ほど短くはないが、超長期債ほど一方向に大きく振れやすいわけでもない。債券をポートフォリオの中に組み入れたいが、20年超の長い年限までは取りたくないという人にとって、基準にしやすい帯である。

2255は、長期金利の変化を強く受けやすい帯である。米国債だから安全という見方だけで入ると、値動きの大きさに驚きやすい。反対に、長期金利の低下を取りにいく、あるいは株式とは違う値動きの源泉を持たせたいという考えなら、2012や1656とは別の使い方になる。

年限で迷ったときは、まず「2012 / 1656 / 2255 の違い」を見た方がよい。ここが債券ETF全体の地図になる。

為替を持つかどうかで総合債券ETFは見え方が変わる

総合債券ETFは、一見すると「幅広く分散された無難な債券ETF」に見えやすい。だが、2256と2510は似ているようでかなり違う。2256は米ドル建ての国債、政府関連債、社債、資産担保債などを対象にする米国総合債券ETFであるのに対し、2510は国内で発行された公募利付債券全体の動向を表すNOMURA-BPI総合への連動を目指す国内債券ETFである。

ここで見るべきは、どちらが広く分散されているかではない。債券部分の分散だけでなく、為替を引き受けるのかどうかである。2256を持つなら、米国の金利や債券市場だけでなく、円とドルの関係も見ていくことになる。一方で2510は、少なくとも「円での守り枠」として考えやすい。債券を持ちたいのか、円建てでの値動きの安定感を重視したいのかで、入り口から分かれる。

株式がすでに米国偏重なら、債券まで米ドル建てに寄せるのかどうかは一度立ち止まって考えたい。逆に、円資産ばかりで物足りないなら、2256のような商品が選択肢に入る。つまり2256と2510の違いは、債券そのものの違いというより、ポートフォリオ全体でどの通貨のリスクを持つかという違いでもある。

利回りを取りにいくなら信用リスクを直視する

債券ETFで分配金や利回りを気にし始めると、自然と2257や2258のような社債ETFが目に入ってくる。2257は米ドル建て投資適格社債、2258は米ドル建てハイイールド社債に連動する。ここで大事なのは、どちらも国債ではないという点である。見ているのは米国金利だけではなく、企業がきちんと返済できるかという信用の問題でもある。

2257は、社債の中でも比較的信用力の高い発行体を対象にするため、国債より一段高い利回りを狙いたいが、ハイイールドまでは踏み込みたくない人の中間地点になりやすい。2258はさらに利回りが高く見えやすい一方で、その高さは企業の信用リスクの対価でもある。景気や企業業績が悪化したとき、見直すべき論点は金利だけでは済まない。

債券ETFで「分配金が高いから」という理由だけで2258に行くのは危ない。高い受け取りを目当てにするほど、どのリスクでその果実を受け取っているのかを理解しておく必要がある。2257と2258の違いは、利回りの差ではなく、どこまで信用リスクを引き受けるかの差として見た方が判断しやすい。

目的から逆算すると選びやすい

債券ETF選びで迷う人の多くは、商品名から入ってしまう。だが実際には、目的から逆算した方が早い。

まず、現金の置き場に近い感覚で見たいなら、2012のような超短期の米国債ETFが近い。価格変動をあまり大きくしたくないときの候補である。

次に、債券をきちんとポートフォリオに組み入れたいが、長期債ほど強い値動きは避けたいなら、1656のような中間年限が見やすい。短すぎず長すぎずという意味で、基準点になりやすい。

長期金利の低下局面での値動きも取りにいきたいなら、2255のような20年超の米国債ETFが候補になる。ただし、米国債だから穏やかだろうという思い込みでは持ちにくい。年限が長い分、見方も覚悟も変わる。

円建てで守り枠を置きたいなら、2510のような国内債券ETFが入りやすい。逆に、債券部分でも米ドル建て資産を取り入れたいなら2256が選択肢に入る。ここは債券観というより通貨観の違いでもある。

分配金や利回りをもう少し取りにいきたいなら、2257や2258が見えてくる。ただし、そこでは金利ではなく信用リスクが主役になってくる。高い受け取りを狙うほど、景気や企業の信用状況を見る必要がある。

迷ったときはこの順で確認したい

債券ETFは、一覧で見ると似た商品に見えやすい。だが、実際には「年限」「為替」「信用リスク」の順で切っていけば、かなり整理しやすくなる。最初に年限を決め、それでも迷うなら為替を考え、それでも利回りを上げたいなら最後に信用リスクを見る。この順番の方が、いきなり高利回り商品へ飛ぶより失敗しにくい。

詳しく見たいときは、まず 2012 / 1656 / 2255 の違い を確認したい。年限の違いが分かると、債券ETF全体の見え方が変わる。
次に、総合債券の考え方を整理したいなら 2256と2510の違い を見るとよい。為替を持つのか、円建てで守るのかがはっきりする。
最後に、分配金や利回りを重視するなら 2257と2258の違い を確認したい。そこでは信用リスクをどこまで引き受けるかが主役になる。

債券ETFは、株式ETFより地味に見えるかもしれない。だが、だからこそ雑に選ぶと役割がぶれやすい。何を守りたいのか、何の値動きを受け入れるのか、どこまで利回りを取りにいくのか。この3つを先に言葉にできれば、債券ETF選びはかなり整理できる。東証で買える債券ETFを見るときは、まず商品名ではなく、年限・為替・信用リスクの3軸から入るのが近道である。

Sho
Sho

システム開発歴15年/PMP

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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