399A 上場から1年|純資産・分配・銘柄入替はどう変わったか

399Aは2025年7月24日に上場した。上場から1年を迎えた時点で、公表済みのレポートから確定している事実は3つある。純資産総額が20億円から581億円になったこと、分配が2回行われたこと、指数の定期見直しの実施時期を1回はさんだことである。以下で比較するのは、初回レポート(基準日2025年8月29日)と直近レポート(基準日2026年6月30日)の2時点である。

この記事は、1年間で何が変わったかを時系列で確認し、上場から1年の銘柄をどう再評価するかの軸を示すページである。組入データの詳細、利回りの読み方、金額の早見、受け取り時期、他銘柄との比較は、それぞれ専用の記事で扱う。

1年で何が確定したか

初回のマンスリーレポート(基準日2025年8月29日)と、直近のマンスリーレポート(基準日2026年6月30日)を並べる。

項目2025年8月29日2026年6月30日
純資産総額20億円581億円
基準価額(100口当たり)166,030円209,972円
組入銘柄数50銘柄50銘柄
資産構成(株式/現金・その他)99.79%/0.21%99.58%/0.42%
設定来騰落率(基準価額/ベンチマーク)+6.78%/+6.71%+35.04%/+34.09%
組入上位1位の業種輸送用機器 10.09%輸送用機器 16.68%
分配実績なし2回(26円00銭・29円00銭)

設定日は2025年7月23日、上場日は2025年7月24日。売買単位は1口、決算日は毎年4月4日と10月4日の年2回である。信託報酬は純資産総額に対し年率0.165%(税抜0.15%)以内。この条件は両レポートで同一である。

純資産はどう推移したか

純資産総額は、この2基準日の間で20億円から581億円になった。倍率でいえば約29倍である。ただし比較の起点は、上場から約1か月後にあたる2025年8月29日時点の20億円であり、小さい起点からの増加は倍率が大きく出る。本サイトでは、倍率ではなく金額そのものと、前の基準日と比べて増えているか減っているかを確認項目としている。

純資産総額は繰上償還の条件にも関わる。運用会社の商品案内には、2028年10月5日以降にファンドの純資産総額が10億円を下回ることとなった場合などには繰上償還することがある、と記載がある。2026年6月30日時点の純資産総額は581億円で、条件に記載された10億円との差は571億円である。本サイトでは、条件に該当するかを見るときは、基準日と純資産総額の2つを確認することにしている。

分配は2回でどこまで分かるか

分配実績は2回である。運用会社の「ETFの収益分配のお知らせ」で確定額が公表されている。

決算日計算期間分配金(1口当たり)公表された支払開始予定日
2025年10月4日2025年7月23日〜2025年10月4日26円00銭2025年11月12日
2026年4月4日2025年10月5日〜2026年4月4日29円00銭2026年5月13日

2回目は29円00銭で、初回より3円多い。運用会社の商品ページは、信託財産から生ずる配当等収益などから諸経費などを控除後、全額分配することを原則とするとしたうえで、将来の分配金の支払いおよびその金額について保証するものではないと明記している。本サイトでは、2回の差をもって傾向を述べることはしない。

なお初回の計算期間は2025年7月23日から10月4日までで、通常の半年より短い。2回の金額を単純に並べるときは、この点も踏まえたい。

支払開始予定日は、いずれも決算日の39日後に設定されていた。商品案内には、収益分配金は原則として毎計算期間終了後40日以内の、委託会社が指定する日に支払われると記載がある。

指数への追随はどう見るか

設定来の騰落率は、基準価額が+35.04%、ベンチマークが+34.09%である(2026年6月30日時点)。初回レポート時点では基準価額+6.78%、ベンチマーク+6.71%だった。

運用会社は、基準価額の変動率を日経平均高配当株50指数の変動率に一致させることを「めざして運用を行なう」としており、一致を約束するものではない。商品案内は、指数と基準価額の主なカイ離要因として次の4点を挙げている。①日経平均高配当株50指数の採用銘柄以外の銘柄に投資をする場合があること、採用銘柄の変更や資本異動などによってポートフォリオの調整が行なわれる場合に個別銘柄の売買などでマーケット・インパクトを受ける可能性があること、また信託報酬・売買委託手数料・監査費用などの費用をファンドが負担すること。②分配原資となる組入銘柄の配当金受け取りと、分配金支払いのタイミングや金額が完全には一致しないこと。③先物取引等のデリバティブ取引を利用した場合、当該取引の値動きと採用銘柄の値動きが一致しないこと。④組入銘柄の配当金や有価証券の貸付による品貸料が発生すること。

見るのは水準ではなく差である。基準価額とベンチマークの騰落率をレポートで並べて確認する。

初回の定期入替をはさんだ2時点で業種構成はどう違うか

日経平均高配当株50指数の定期見直しは、算出要領によれば基準日が5月最終証券営業日、実施が6月最終証券営業日である。399Aは2026年6月末にこの実施時期を初めてはさんだ。以下の2時点はこの前後にあたるが、一次情報からは、業種比率の差を定期入替によるものと株価変動などによるものに分解できない

業種(TSE33)2025年8月29日2026年6月30日
輸送用機器10.09%16.68%
銀行業8.59%6.29%
海運業7.57%6.56%
鉄鋼7.47%7.15%
卸売業7.40%上位10業種外
医薬品7.19%7.36%
証券、商品先物取引業5.77%5.10%
化学5.33%4.97%
機械5.22%上位10業種外
電気機器5.11%3.93%
保険業上位10業種外9.43%
建設業上位10業種外7.44%
上位10業種以外(レポート表記「上記以外」)30.25%25.08%

輸送用機器は10.09%から16.68%に、銀行業は8.59%から6.29%になった。初回レポートで上位10業種に入っていた卸売業と機械は直近では外れ、代わりに保険業と建設業が入っている。上位10銘柄の顔ぶれにも差がある。

本サイトの確認手順として付け加えると、組入銘柄数は両時点とも50銘柄である。ただし算出要領には、臨時除外があっても45銘柄を下回らない限り期中は補充しないルールがある。期中の基準日では50を下回った状態で推移することがあり、実際に2026年5月29日基準のレポートでは47銘柄だった。銘柄数だけでは中身の差を確認できない。

上場1年の銘柄を再評価する4つの軸

ここからは本サイトの編集方針として示す判断の型である。上場から1年が経った銘柄を見直すとき、次の4点を順に確認する。399A以外の銘柄でも使える。

① 純資産の推移

金額の絶対値より、前の基準日と比べて増えているか減っているかを見る。レポートは基準日ごとに出るので、2〜3時点を並べれば方向が分かる。

② 分配の実績と、何回そろったか

年2回型なら2回、年4回型なら4回そろって初めて1年分の形になる。回数がそろっていない段階で年間水準を推定すると、季節性と単年変動を区別できない。各回の確定額は運用会社の収益分配のお知らせで確認する。

③ 指数への追随

基準価額とベンチマークの騰落率の差を見る。差が開いたときは、運用会社が挙げるカイ離要因のどれに当たるかを資料で確認する。

④ 入替で中身がどう変わったか

定期入替の実施時期をはさむ2時点で、業種構成と上位銘柄を比べる。買ったときの想定と実際の中身がずれていないかを見る。なお指数の構成変更とファンドの追随状況は分けて確認する。指数のルールどおりの変更であっても、ファンドが指数にどれだけ追随できているかは、基準価額とベンチマークの騰落率の差で別途確認する。

あわせて、繰上償還の条件も確認しておく。399Aは前述のとおり「2028年10月5日以降に純資産総額が10億円を下回った場合」などが条件で、現在の581億円とは開きがある。ただし規模の小さい銘柄では、この条件と現在の純資産総額の距離が実際の判断材料になる。条件は銘柄ごとに異なるため、交付目論見書か商品案内で個別に確認する。

この1年で確認できなかったこと

本記事で参照した商品案内とマンスリーレポートには、実質コストの実績値は掲載されていない。なお399Aは、投資信託及び投資法人に関する法律により運用報告書の作成・交付を行わないと商品案内に明記されている。これらの資料で確認できるのは、信託報酬が年率0.165%(税抜0.15%)以内、諸費用がファンドの日々の純資産総額に対して年率0.1%を乗じた額の信託期間を通じた合計を上限、という上限の枠組みまでである。売買委託手数料などは別途その都度かかり、運用会社は費用の合計額を事前に表示できないとしている。

分配の傾向も、2回では読み取れない。4月と10月のどちらが厚くなりやすいのか、その差が季節性なのか単年の変動なのかを区別する材料がない。2026年10月期、2027年4月期と積み上がってから読む。

まとめ

上場から1年の時点で確定しているのは、2つの基準日の間で純資産総額が20億円から581億円になったこと、分配が26円00銭と29円00銭の2回行われたこと、定期入替の実施時期をはさんで業種構成に差が出たことである。分配の傾向と、実質コストの実績値は、本記事で参照した資料からは読み取れない。本サイトでは、上場から1年の銘柄について、純資産の推移・分配の回数・指数への追随・入替をはさんだ中身の差の4点を確認項目としている。

データの出典

本記事の数値・名称は以下の一次情報に基づく。初期データの基準日は2025年8月29日、直近データの基準日は2026年6月30日、分配金額と支払開始予定日は各回の収益分配のお知らせによる。

なお、本記事のうち一次情報に基づくのは、上記の出典で確認できる数値・名称・ルールの記述である。上場から1年の銘柄を4つの軸で見直すという整理は、一次情報に書かれている事実ではなく、本サイトの編集方針として示している判断の型である。数値は各基準日時点のものであり、以後の株価変動と定期入替によって変わる。

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Sho
Sho

システム開発歴15年/PMP

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

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