1475は「TOPIXに広く乗るための低コストETF」として見られがちだが、分配金の受け取り方まで理解していないと、利回りの数字だけを見て判断を誤る。この記事では、1475の決算日、権利付き最終日、支払予定日、税引後の手取り、TTMの読み方まで、実際に自分で計算できる形に落として整理する。
1475は年2回決算で、分配金をもらうには権利付き最終日までに買う必要がある。見るべきなのは「前回いくら出たか」だけではなく、「その合計を今の価格や自分の買値でどう読むか」と「税引後でいくら残るか」の2点である。
分配スケジュール|いつ・何回もらえるか
1475の交付目論見書では決算頻度は年2回とされている。ブラックロックの2026年分配スケジュールでは、1475の分配関連日程は2月と8月に設定されている。つまり、毎月もらえるETFではない。半年ごとに権利確定の山が来るタイプだと理解しておけばいい。
| 回 | 決算日 | 権利付き最終日 | 権利落ち日 | 支払予定日 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 2026/2/9 | 2026/2/5 | 2026/2/6 | 2026/3/19 |
| 2026年8月期 | 2026/8/9 | 2026/8/5 | 2026/8/6 | 2026/9/17 |
ここで初心者が一番ミスるのが、「決算日までに買えばいい」と思い込むことだ。違う。必要なのは権利付き最終日までに買って保有していることである。たとえば2026年2月期なら、2月6日はすでに権利落ち日なので、この日に買ってもその回の分配金はもらえない。もらいたいなら、遅くとも2026年2月5日までに買っておく必要がある。8月期も同じで、8月6日に買ってもその回は対象外だ。
1475の場合、分配金狙いで直前に飛びつく人がいるが、権利取りの前後では価格が需給でぶれやすい。だから実務では、「分配金が欲しいから買う」のではなく、「もともと1475を持つ理由があり、たまたま権利日をまたぐ」という順番で考えたほうが事故が少ない。分配金だけを取りに行って、権利落ち後の値下がりで見た目の得が消えるのはETFあるあるだ。
参照:iシェアーズ・コア TOPIX ETF(商品ページ)/iシェアーズ東証上場ETF 分配スケジュール/交付目論見書
分配金の実績と計算の仕方
まずは直近実績を押さえる。JPX開示の決算短信で確認できる1475の分配金は次の通りである。なお、2024年8月13日付で1口につき10口の口数分割が行われているため、2024年2月期と2024年8月期以降は、そのまま横並びで見ないほうがいい。比較するときは口数基準をそろえる必要がある。
| 決算期 | 分配金 | 備考 |
|---|---|---|
| 2024年2月期 | 25円 / 1口 | 分割前基準 |
| 2024年8月期 | 350円 / 10口 | 分割後表示 |
| 2025年2月期 | 30円 / 10口 | 分割後表示 |
分割後基準でそろえるなら、2024年2月期の25円/1口は250円/10口相当として見る。すると、分割後基準では「2024年2月期250円、2024年8月期350円、2025年2月期30円」という並びで読める。ここを無視すると、「急に分配金が爆増した」「急に激減した」と誤読しやすい。実際には、口数分割という表示上の段差が混じっている。
TTMはTrailing Twelve Months、つまり「過去12か月の実績合計」だ。1475のように年2回分配のETFなら、直近2回の分配金を足せばまずTTMになる。たとえば2025年2月期を最新として見るなら、分割後基準のTTM分配金は、
TTM分配金 = 2024年8月期の350円(10口) + 2025年2月期の30円(10口) = 380円(10口)
である。1口ベースなら38円相当になる。計算式自体は単純だが、重要なのは過去12か月の実績であって、次の12か月の予告ではないということだ。
では、利回りはどう出すか。基本式はこうだ。
分配利回り = 過去12か月の分配金合計 ÷ いま見る価格
たとえばブラックロック商品ページでは、2026年3月9日時点の基準価額(または一口当りの純資産総額)が366.61円と表示されている。ここで1口ベースTTM38円を機械的に割れば、
38円 ÷ 366.61円 ≒ 10.37%
となる。だが、この数字をそのまま「1475は年10%も配るETFだ」と読むのは雑すぎる。理由は3つある。
1つ目は、TTMは過去実績であり、次回以降の分配水準を保証しないこと。
2つ目は、分配が大きかった期が1回混じるだけで見た目の利回りが跳ねること。
3つ目は、分母に使う価格がいまの価格なのか自分の買値なのかで、体感利回りが変わることだ。
1475の場合にやるべき読み方は単純で、まず「直近2回の実績を足す」、次に「分割の有無で口数基準をそろえる」、そのうえで「いまの価格で見た参考利回り」と「自分の買値で見た実感利回り」を分けて考えることだ。ここを混ぜると、数字だけ立派で中身がない記事になる。
参照:2025年2月期 決算短信/2024年2月期 決算短信/iシェアーズ・コア TOPIX ETF(商品ページ)
税引後の手取りはいくらか
国内ETFである1475を特定口座で持つ場合、分配金には原則として**20.315%**の税金がかかる。計算式はそのままで、
税引後手取り = 税引前分配金 × 0.79685
で求められる。これは覚えておいたほうがいい。毎回20%強引かれるので、額面だけ見ていると手取り感覚が狂う。
1475で数値例を出す。直近の2025年2月期の分配金は30円/10口である。
特定口座なら、
30円 × 0.79685 = 23.9055円
なので、概算の手取りは約23.9円/10口だ。100口持っていれば約239円、1,000口なら約2,390円になる。額面よりかなり減る。
一方、NISA口座で1475を保有していれば、国内上場株式等の配当・分配金は非課税扱いになるため、同じ30円/10口でも原則30円そのまま受け取れる。つまり、
- 特定口座:30円 → 約23.9円
- NISA口座:30円 → 30円
となる。1475のような国内ETFを分配目的で持つなら、NISAで受け取る意味は普通に大きい。税金を引かれないだけで、手取りの見え方が変わるからだ。
ただし、1475をNISAで持つかどうかは「分配金が欲しいから」だけで決める話ではない。分配金を受け取ると、その分だけ自動では再投資されない。再投資したいなら、自分で再購入する必要がある。しかも再投資時点の価格が高ければ、同じ分配金でも買える口数は減る。NISAは税金面では有利だが、再投資が自動で回る投信とは勝手が違う。ここを雑に考えると、NISAだから何でも正解、みたいな雑な結論になる。
参照:交付目論見書/iシェアーズ・コア TOPIX ETF(商品ページ)/2025年2月期 決算短信
利回りの数字に惑わされないための読み方
利回りには少なくとも2つの見方がある。
ひとつは基準価額ベース、つまり「いま見ている価格に対してどれくらい分配したか」。比較記事や商品一覧でよく使うのはこっちだ。
もうひとつは購入価格ベース、つまり「自分がいくらで買ったかに対してどれくらい受け取ったか」。自分の家計にとって意味があるのは、むしろこっちである。
1475の場合でいえば、いま366.61円で見ればTTM利回りの見え方は大きくなるが、自分が300円で買っていた人、380円で買っていた人では受け取り感覚が当然違う。だから「1475の利回りは何%ですか」という問いには、本当は計算時点と価格の前提を書かないと不十分だ。数字だけ抜いて終わる記事は、だいたいこの前提が抜けている。
また、「利回りが高い = 良い銘柄」とも限らない。一般論として、分配金は元本を切り崩しているように見えるケースや、特別な要因で一時的に大きくなるケースがある。投資信託の世界では、元本払戻金や特別分配のように、見た目の分配が高くても中身が美しくないことがある。1475の判断でも、利回りだけで飛びつくのは雑だ。TOPIXに広く投資するという役割、コスト、純資産、売買のしやすさ、そして分配の安定性をセットで見るべきだ。
分配金目当てで1475を見るなら、確認すべき数字は次の3つで十分である。
① 直近12か月の分配金合計(TTM)
過去実績の把握用。まずはここ。
② いまの価格に対する利回り
他銘柄比較用。市場でどう見えるかを確認する。
③ 自分の買値に対する利回りと税引後手取り
家計管理用。実際に懐に入る額を見る。
条件分岐で言うなら、
- 他のETFと比較したい人は ①+② を見る。
- 生活費やキャッシュフローを重視する人は ①+③ を見る。
- 長期の資産形成が主目的の人は、分配利回りよりもコスト・指数・保有継続条件を優先する。
この順番を崩すと、利回りランキングに振り回される。1475は「高配当を取りにいくETF」というより、「TOPIXに連動しつつ、その過程で発生した分配をどう受け取るかを設計するETF」と見たほうがズレにくい。
参照:iシェアーズ・コア TOPIX ETF(商品ページ)/交付目論見書/JPX ETF銘柄一覧
NISAでの受け取りと再投資の考え方
1475はブラックロックの商品ページ上でもNISA成長投資枠の対象として案内されている。だから、分配金を非課税で受け取りたい人にとっては相性が悪くない。だが、ここでも雑な理解は危険だ。NISAで持てば税金は抑えられるが、分配金を受け取るたびに現金化されるので、再投資を続けるには自分で買い直す手間が出る。
1475をNISAで持つのが向くのは、
「分配金を受け取りながら国内株コアも持ちたい人」
である。逆に、
「受け取らずに内部で淡々と再投資してほしい人」
は、ETFより投資信託のほうが扱いやすい場合もある。NISAだからETF一択、というのは浅い。1475をどう使うかは、非課税メリットよりも、受け取る設計なのか、再投資を重視する設計なのかで決めたほうがいい。
参照:iシェアーズ・コア TOPIX ETF(商品ページ)/交付目論見書
よくある誤解
「分配利回りが高いETFほど得だ」というのは、かなり雑な誤解である。理由は単純で、利回りは過去の分配実績 ÷ ある時点の価格にすぎず、将来の受取額を保証しないからだ。1475でも、直近の分配実績を機械的に足して今の価格で割れば高く見える場面がある。しかし、それは過去に大きめの分配が含まれている、あるいは価格が下がって分母が小さくなっているだけかもしれない。実際には、分配金だけでなく価格変動も含めて見ないと、得かどうかは判断できない。では何をするか。まずTTMを確認し、その次に自分の買値ベースの手取りを出し、最後にそのETFを持つ役割が自分の資産形成に合っているかを点検する。この順番で見れば、利回りの見た目に振り回されにくい。
まとめ
1475の分配金を見るときは、年2回のスケジュール、権利付き最終日、口数分割後の比較、TTM、そして税引後手取りまでセットで確認する必要がある。見るべきは「何%に見えるか」だけではない。「自分はいくら受け取れるのか」「その数字は今後も続きそうか」まで落として初めて使える数字になる。次は1475と1306・2524などの違いを整理する比較(VS)、または1475を持ち続ける前提を点検する継続条件・見直しにつなげたい。



