2559 vs 537A vs 1657|全世界で一本化するか、日本と新興国を外して組むか

2559、537A、1657は、どれも「海外株に広く乗るETF」に見えやすい。だが、実際の違いはかなり大きい。2559と537Aは全世界株に近い土台を1本で持つ発想で、1657は日本を外した先進国だけを切り出す発想である。比べるべきなのは、人気や名前ではなく、自分が日本株と新興国をポートフォリオに入れるのかどうかだ。

1本で世界株を持ちたいなら2559か537A、すでに日本株を別で持っていて新興国も外したいなら1657、という見方が出発点になる。逆に、為替をあまり取りたくない人は、この3本の中から選ぶ時点で少しズレている。

まず論点を整理する|何で比べるか

この3本は、表面上はどれも「海外株の広い分散」に見える。しかし、比較の軸を先に揃えないと判断がぶれる。特に大事なのは、どの指数に連動していて、どこまでの国を含むかである。ここが違うと、信託報酬の差より先に、そもそも持っている中身が変わる。なお、上場市場という論点は今回あまり差が出ない。3本とも東証で円建て売買ができ、日本時間で取引するETFだからだ。

下の表で、まず比較の土台を揃える。

論点2559537A1657
連動する指数MSCI All Country World Index の円換算値MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、当社円換算ベース)MSCIコクサイ指数(税引後配当込み、国内投信用、円建て)
信託報酬年0.0858%(税込)年0.0858%(税込)以内年0.209%(税込)
分配頻度・分配設計年2回(6月・12月)年2回(4月・10月)年2回(2月・8月)
NISA対応状況成長投資枠対象2026年3月12日時点では上場前のため、買付可否は各社確認成長投資枠対象
為替リスクの有無原則ヘッジなし為替ヘッジなし原則ヘッジなし
東証上場か米国上場か東証上場・円売買東証上場予定・円売買東証上場・円売買

この表から見えてくるのは、2559と537Aは「全世界株を1本で持つ」側、1657は「日本を外した先進国だけを持つ」側だということだ。つまり、2559と537Aの比較はかなり近い勝負だが、1657はそもそも用途が少し違う。ここを混同すると、安い方を選んだつもりで、欲しかった中身を外す。

参照:MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 / NZAM 上場投信 全世界株式(MSCI ACWI)(為替ヘッジなし) / iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF

カバー範囲の違いを読む

比較の核心はここである。2559と537Aが見るのは、MSCI ACWI系の「全世界」で、日本を含む先進国と新興国の大型・中型株を広く拾う発想だ。一方で1657のMSCIコクサイは、日本を除く先進国の大型・中型株であり、新興国も入らない。つまり、1657は“全世界”ではない。ここを曖昧にすると、あとで「思っていたより日本株が入っていない」「新興国がなかった」となる。

では、どちらが自分に向くのか。日本株も新興国も含めて、まず1本で世界株の土台を作りたいなら2559か537Aが自然である。逆に、すでに日本株を別のETFや投信で持っている、あるいは新興国は別建てで管理したいなら、1657のほうが役割がはっきりする。1657は「全部入り」ではなく、「先進国株ブロック」として使うと意味が通る。

もう一つ大事なのは、2559と537Aはカバー範囲がかなり近い一方で、指数表記が完全一致ではない点だ。2559はMSCI ACWIの円換算値、537Aは配当込み・当社円換算ベースである。したがって、この2本は「方向性は近いが、まったく同じもの」と雑に言い切らない方がよい。比較の主戦場は中身そのものより、実際の売買しやすさや上場後の使い勝手になる。

参照:MSCI ACWI指数の概要 / NZAM 上場投信 全世界株式(MSCI ACWI)(為替ヘッジなし) / iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF

コストの実態|信託報酬だけで判断しない

信託報酬だけを見ると、2559は年0.0858%、537Aも年0.0858%以内でかなり近く、1657は年0.209%で一段高い。数字だけ見れば2559か537Aが有利に見える。だが、ETFは買う瞬間にもコストがある。代表的なのがスプレッド、つまり買値と売値の差である。さらに、市場価格が中身の価値からどれだけずれるかという乖離も無視できない。

ここで効いてくるのが流動性だ。JPXの一覧では、2559は追加的な流動性供給の対象である「★」、1657と537Aは通常のマーケットメイク対象である「●」になっている。JPXは★を、通常より強い気配提示義務とインセンティブを持つ対象だと説明している。つまり、少なくとも制度面では2559のほうが執行コストを読みやすい土台がある。1657も通常のマーケットメイク対象だが、537Aは2026年3月19日上場予定で、2026年3月12日時点ではまだ実際の板やスプレッドの履歴を確認できない。

為替コストの観点もある。2559は原則ヘッジなし、537Aも名称どおり為替ヘッジなし、1657も公式資料で原則として外貨建資産に為替ヘッジを行わないとされている。したがって、「円で買える東証ETFだから為替は気にしなくてよい」は誤りだ。円建てで売買していても、中身が外貨資産なら円高・円安の影響は受ける。為替リスクを本気で抑えたいなら、この3本の中で優劣をつけるより、そもそもヘッジあり商品を別に探すほうが筋がよい。

参照:JPX ETF銘柄一覧 / MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 / iシェアーズETF 東証上場シリーズ

537Aはどこで使うか

537Aは、2026年3月19日上場予定の新しい全世界株ETFである。指数の方向性は2559に近く、年2回分配、信託報酬も低水準で、設計上はかなり真っ向勝負になる。だからこそ、上場前の今の段階で「2559より上」「2559の完全上位互換」と決めつけるのは早い。ETFは、目論見書の数字だけでなく、実際にどれだけ気配が出るか、どれだけ売買が成立するかで使い勝手が変わるからだ。

537Aの使いどころは明快で、全世界株を東証ETFで持ちたいが、上場後の流動性や売買実績を見て比較したい人向けである。今すぐ機械的に積み上げるなら実績のある2559が候補に残りやすい。一方で、上場後のスプレッドや出来高が落ち着き、売買しやすさに問題がなければ、2559と537Aは「どちらでもよい」場面も十分ありうる。勝負どころは中身ではなく、執行のしやすさである。

参照:NZAM 上場投信 全世界株式(MSCI ACWI)(為替ヘッジなし) / 東証マネ部 537A紹介 / JPX ETF銘柄一覧

目的別の使い分け

コアとして長期保有するなら、まず「1本で世界株を持ちたいか」「日本と新興国を別管理したいか」で分けるべきだ。前者なら2559か537A、後者なら1657が候補になる。1657は信託報酬だけ見ると不利だが、日本株や新興国を自分で足し引きしたい人には、その“余計なものを入れない”性格に意味がある。

分配金を受け取りたいなら、まず前提としてこの3本はすべて年2回決算である。毎月の現金収入を作る道具ではない。その上で、受取月をどう置くかを見ると、1657は2月・8月、537Aは4月・10月、2559は6月・12月で月がずれている。受取タイミングを分散したい人にはこの違いが使えるが、分配金目当てで選ぶ商品群ではない点は押さえておきたい。

NISAの成長投資枠で使うなら、2559と1657は対象が明示されている。537Aは2026年3月12日時点ではまだ上場前なので、制度上の整理だけでなく、実際にその証券会社で買付できるかまで確認したい。ここで雑に進めると、「対象だと思っていたのに、注文できない」という実務のズレが起きる。

為替リスクを抑えたいなら、この3本の中から最適解を探すのはやめたほうがよい。3本とも実質的には為替の影響を受ける。2559と537Aは全世界株でヘッジなし、1657も公式資料で原則ヘッジなしである。ここを重視する人は、比較対象そのものを入れ替えるべきだ。

取り崩し期に入っているなら、管理のしやすさを優先するなら2559か537A、資産をブロックごとに分けて取り崩したいなら1657が考えやすい。1本で全世界にしておくとシンプルだが、日本株だけ残したい、新興国だけ縮小したいといった調整はしにくい。逆に1657は、その調整の自由度を取りに行く商品である。

参照:MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 / NZAM 上場投信 全世界株式(MSCI ACWI)(為替ヘッジなし) / iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF

どれを選ぶかの判断フロー

判断を一言でまとめるならこうなる。1本で世界株を持ちたいなら2559か537A、日本株を別で持っていて新興国も外したいなら1657である。ここが最初の分岐だ。

次に、2559と537Aで迷うなら、今すぐ買う必要があるかを見る。2026年3月12日時点では537Aはまだ上場前なので、売買のしやすさという実績は読めない。今すぐ東証ETFで全世界株を置きたいなら2559、上場後の気配や出来高を見てからでもよいなら537Aも並べて比較、という整理が現実的である。中身の方向性が近い以上、最終的にどちらでもよいケースは普通にある。

1657は、2559や537Aの代用品というより、日本株と新興国を自分で配分したい人の道具として見るとブレない。信託報酬だけで落とすと、この用途を見失う。逆に、日本株も新興国も自分では考えたくないなら、1657を選ぶ理由は薄くなる。

参照:JPX ETF銘柄一覧 / 東証マネ部 537A紹介 / iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF

よくある誤解

「信託報酬が低い方が絶対に得だ」という見方は、ETFでは半分しか合っていない。理由は、保有中の年コストだけでなく、売買するときのスプレッドや、価格と中身のずれ、つまり乖離も効くからだ。実際、2559と537Aは報酬水準がかなり近いが、537Aは2026年3月12日時点では上場前で、実際の板の厚さやスプレッドをまだ比べられない。1657は報酬だけ見れば高いが、日本と新興国を外したい人にはその中身自体に意味がある。では何をするか。まず中身の範囲を決め、そのあとで流動性と執行コストを見る。この順番を逆にしないことだ。

まとめ

2559と537Aは、全世界株を東証ETFでまとめて持ちたい人の比較である。1657は、日本を除く先進国だけを切り出したい人の比較である。つまり、この3本は「一番いい1本」を決める話ではなく、「自分が日本株と新興国をどう扱うか」を決める話だ。保有後の点検は、それぞれの継続条件記事で、前提が壊れていないかを確認してほしい。

Sho
Sho

システム開発歴15年/PMP

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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