【2026年版】1542と1673の違い|銀ETFをNISA・信託報酬・為替リスクで比較

1542(純銀上場信託 現物国内保管型)と1673(WisdomTree 銀上場投資信託)は、どちらも銀価格に連動することを目指す東証上場の商品です。ただし、選び分けの軸は「銀そのもの」よりも、「NISA成長投資枠で使うか」「国内現物型を重視するか」「外国籍ETCを受け入れるか」の3点にあります。

先に押さえておきたい結論

  • 1542と1673はどちらも銀価格に連動する商品。ただし「器(仕組み)」がまったく違う
  • 1542はNISA成長投資枠の対象、1673は対象外。NISAで使う前提なら1542が現実的
  • 信託報酬だけで決めない。1542が0.55%、1673が0.49%だが、スプレッド・乖離・為替で簡単に逆転する
  • 為替リスクと流動性も見る。どちらも円建て売買だが、銀価格はドル建てで形成されるため、為替の影響は受ける
  • 銀ETFは主力ではなく、コモディティ枠として考える。資産の中心ではなく、株式偏重を和らげる補助役の位置づけ

銀以外も含めて東証のコモディティETF全体から見直したいなら、先に東証上場のコモディティETF一覧を整理した記事から入ってもよい。金ETFと並べて役割を整理したい場合は、【2026年版】1540 純金上場信託|信託報酬0.44%・NISA成長投資枠対象もあわせて読むと、銀ETFのポジションが立ち上がってくる。

1542と1673の違いはどこにある?比較表で5つの論点

1542と1673は、表面だけ見ると「どちらも銀ETF」で終わりやすい。だが、実務で差が出るのは、何に連動するか、何円コストがかかるか、NISAで使えるか、為替をどう受けるか、そしてどの市場のどんな法的な器で持つかである。先に比較軸を並べてしまった方が、後の判断で迷わない。

論点1542 純銀上場信託(現物国内保管型)1673 WisdomTree 銀上場投資信託読み方
連動する指数大阪取引所の銀先物価格を元に算定した、銀地金の理論価格。表示は「グラム・円」ベースLBMA規格の現物銀スポット価格に連動する物理裏付け型ETC同じ銀でも、価格の作り方が少し違う
信託報酬年0.55%(税込)。参考総経費率は0.57%管理費用0.49%見た目は1673が低いが、ここだけで決めるのは危険
分配頻度・分配設計原則分配なし分配なしどちらもインカム目的の商品ではない
NISA対応状況成長投資枠の対象成長投資枠の対象外NISAを使う時点で1542が優勢
為替リスクの有無円建て売買だが、銀価格形成に国際価格の影響を受ける円建て売買だが、商品自体のベース通貨はUSDで、為替リスクが明示されるどちらも「円預金のような無為替」ではない
上場市場と法的な器東証上場、円建て、日本時間で売買東証上場、円建て、日本時間で売買。ただし中身はジャージー籍の外国籍ETCどちらも東証で買えるが、中身の器は同じではない

この表でいちばん大事なのは、信託報酬の差よりも、NISA可否と商品の器である。銀の値動きを取りにいくという目的は同じでも、1542は国内の現物信託、1673は外国籍の物理裏付けETCであり、投資家が日々付き合うルールが違う。ここを無視して「0.49%だから1673」「銀の現物国内保管型だから1542」と短絡すると、後で不便が出る。

参照:東証の1542銘柄概要 東証の1673銘柄概要 三菱UFJ信託の1542商品ページ

1542と1673はNISAで使える?器の違いと制度上の対応

この比較の核心はここである。1542は名前どおり「現物国内保管型」で、三菱UFJ信託銀行の商品ページでも、国内保管の銀地金を裏付けとする商品として案内されている。さらに、一定口数以上なら現物への大口転換請求が可能である。つまり、1542は日本の投資家が、日本の市場で、日本の信託の器を使って銀を持つ感覚に近い。

一方の1673は、東証で円建て売買できる点だけ見ると身近だが、中身はかなり違う。JPXの一覧では外国籍ETFのカテゴリーに置かれ、外国証券取引口座の開設が必要と案内されている。また、WisdomTreeの公式ページでは、ジャージー籍、法的形態は debt security、法的構造は ETC とされ、LBMA基準の現物銀を裏付けにした商品で、ベース通貨はUSD、為替ヘッジはなしと明記されている。つまり、1673は「東証で買える海外の物理裏付けETC」であって、1542と同じ器ではない。

制度面で言えば、1542は新NISAの成長投資枠の対象、1673は対象外だ。NISA口座の非課税メリットを使いたい時点で、1542が現実的な候補に残る。一方、課税口座で銀価格への値動きをそのまま取りに行くつもりで、外国籍ETCの仕組みも理解できているなら、1673も選択肢に入る。「銀価格を取りたい」という目的が同じでも、何を面倒と感じるかで選択は変わる。

ここまで読んで1542寄りだと感じたなら、次は1542の保有継続条件を整理した記事で、国内現物信託として持ち続ける前提が何かを確認すると判断を固めやすい。反対に、外国籍ETCという器を理解したうえで1673を候補に残すなら、1673の保有継続条件を整理した記事で、商品性・役割・生活条件の変化まで含めて見直し軸を確認しておきたい。

参照:JPXの商品一覧(外国籍商品) WisdomTree Physical Silver 三菱UFJ信託の1542商品ページ

信託報酬と実質コストの違い

数字だけ見れば、1542の年0.55%に対して1673は0.49%で、1673の方が低い。差は0.06ポイントである。だが、ここで思考停止すると失敗する。ETFやETCの実際のコストは、保有コストだけではなく、売買時のスプレッド、基準価額との乖離、そして為替の影響まで含めて見る必要がある。

その典型が乖離である。1542については、三菱UFJ信託銀行が市場価格と基準価額の乖離について注意喚起を出したことがあり、2024年4月にも、2025年9月末時点でも、市場価格が基準価額を大きく上回る状況が公表されている。信託報酬の差0.06ポイントなど、一時的なプレミアムで簡単に吹き飛ぶ、ということだ。

1673も安全圏ではない。WisdomTreeの公式ページは、証券が常に取引所で売買できる保証はなく、取引価格が現物銀価格を常に正確に反映する保証もないと明記している。しかも、銀価格は通常USDで表示され、他通貨で保有価値を考える投資家は為替変動の影響を受けるとも書かれている。つまり、1673は管理費用が少し低くても、約定コストや為替要因を無視してよい商品ではない。

さらに、東証の概要資料では1542も1673もマーケットメイク制度の対象外とされている。だから、「いつ買っても板が厚いだろう」と決めつけるのは危ない。注文前には、板の厚さ、売値と買値の差、基準価額やiNAVとのズレを必ず見たい。コストの比較は、年率の数字を見る作業ではなく、実際にいくらで入れて、いくらで出られるかを見る作業である。

参照:東証の1542銘柄概要 東証の1673銘柄概要 WisdomTree Physical Silver

目的別の使い分け

コアとして長期保有するなら、まずNISAの有無で分けるべきである。成長投資枠を使う前提なら1542である。1673は対象外なので、ここは比較というより条件で決まる。NISAを使わず課税口座で持つなら、国内の現物信託として理解しやすい1542を選ぶ道もあれば、外国籍ETCの器を理解したうえで1673を使う道もある。

そもそも銀に固定せず、金・銀・原油なども含めて東証のコモディティETF全体から役割を見直したいなら、東証上場のコモディティETF一覧を整理した記事を先に見て、何に連動する商品を探しているのかを切り分けたほうがよい。

分配金を受け取りたいなら、答えは厳しいが「どちらも違う」である。1542は原則として分配金の支払いがなく、1673も分配なしである。銀価格の値上がり取りが主目的の商品であり、毎月や毎年のキャッシュフローを期待して買う商品ではない。インカムが欲しいのに銀ETFを選ぶのは、道具の選び方がずれている。

NISAの成長投資枠で使うなら1542である。ここははっきりしている。1673は対象外で、しかもJPXの一覧上は外国籍商品の扱いである。NISA枠を前提にしているのに1673を候補に残すのは、最初の条件整理が甘い。

為替リスクを抑えたいなら、どちらも「完全に抑えられる商品」ではない。1542は円建て・グラム円で把握しやすいが、銀価格自体は国際価格の影響から自由ではない。1673はWisdomTreeがベース通貨USD、ヘッジなし、為替リスクありと明示している。したがって、為替要因をなるべく意識したくないなら1542の方が扱いやすいが、為替を切った銀投資だと誤解してはいけない。

取り崩し期に入っているなら、1542がやや使いやすい。理由は、1542が1口単位、1673が10口単位だからである。どちらも分配は出ないため、必要資金は売却して作ることになる。そのとき、小刻みに売りやすい方が管理しやすい。もちろん、実際には板の厚さや約定価格の方が重要なので、単位だけで決めてはいけないが、取り崩しの実務では無視しにくい差である。

参照:東証の1542銘柄概要 東証の1673銘柄概要 JPXの商品一覧(外国籍商品)

銀ETFを持つ前に確認したいこと

銀ETFは、株式中心のポートフォリオの揺れを和らげる「コモディティ補助役」として位置づけるのが自然な商品です。持つ前に、最低3つの項目を自分の言葉で確認したい

①NISA成長投資枠の対象可否

1542は新NISAの成長投資枠の対象、1673は対象外である。ここはまず最初に決まる条件で、比較というより足切りに近い。NISA口座でしか取引しないつもりなら、1673は最初に候補から外れる。逆に、課税口座での銀投資を考えていて、国際的な銀価格を素直に追いたいなら1673も検討の余地がある。

②為替リスクの取り扱い

銀価格は国際的にUSDで形成されているため、円建てで売買する1542・1673のどちらも、為替の影響を受ける。1542は円建て・グラム円ベースで把握しやすいが、銀価格自体が国際価格の影響を受けるという点は変わらない。1673は公式に「ベース通貨USD・為替リスクあり」と明示されている。

すでに米国株や外貨建て資産を多く持っているなら、銀ETFを足したときに為替方向が重なりすぎていないかを確認したい。「銀そのものを買っているつもりが、円安頼みの成績になっていた」という状態は、後で気づくと修正しにくい。

③ポートフォリオでの役割

銀ETFを単独で資産の主役に据えるのは、値動きの大きさから言って難しい。一方、株式中心のポートフォリオに「コモディティ補助役」として一部入れるなら、株と違う値動きで分散の補助役になりやすい。

金ETFと比べると、銀は工業需要の影響を受けやすい分、値動きが大きくなる傾向がある。金ETFと並べて役割を整理したい場合は、【2026年版】1540 純金上場信託|信託報酬0.44%・NISA成長投資枠対象もあわせて読むと、銀ETFのポジションが立ち上がってくる。コモディティを資産配分にどう組み込むかの全体像は、金・コモディティは何のために入れるのかで整理できる。

よくある誤解

「信託報酬が低い方が絶対に得」という見方は、ETF選びでかなり危ない誤解である。理由は簡単で、投資家が実際に払うコストは、年率の管理費用だけでは終わらないからだ。1542は実際に市場価格と基準価額の乖離について注意喚起が出たことがあるし、1673も公式資料で市場価格が現物銀価格を正確に反映する保証はないと書かれている。つまり、年0.55%と0.49%の差だけ見ても、売買時のプレミアムやスプレッド、為替の動きで簡単に逆転する。実際には、「保有コストが何bp低いか」より、「いま妥当な価格で入れるか」「自分の口座と制度に合うか」を先に見るべきである。では何をするか。買う前に、NISA可否、商品の器、板の厚さ、基準価額とのズレを確認する。ここまで見て初めて、信託報酬の差が比較材料になる。

まとめ

1542と1673は、どちらも銀価格へのアクセス手段だが、選び分けの軸は銀そのものではなく、NISAを使うか、国内の現物信託を重視するか、外国籍ETCでもよいかにある。1542は国内の器とNISA適格性、1673は外国籍ETCとしての特徴を受け入れられるかで見るべきだ。コストの差は二の次で、入口の管理(NISA可否・器の選択・板や乖離の確認)の方が、年率0.06ポイントよりも効きやすい。

1542を軸に考えるなら1542の保有継続条件を整理した記事、1673を軸に考えるなら1673の保有継続条件を整理した記事へ進むとよい。銀以外も含めて東証コモディティETF全体を見渡したいなら、東証上場のコモディティETF一覧を整理した記事から比較軸を広げたい。金ETFと並べて役割を整理したい場合は【2026年版】1540 純金上場信託|信託報酬0.44%・NISA成長投資枠対象、ETFをこれから始める段階なら40代が新NISAでETFを始める前に知っておくこともあわせて確認すると、銀ETFを資産配分の中で位置づけやすい。