2631の中身を一言でいえば、米国の超大型グロース株に強く寄ったETFである。しかも単に「ITが多い」で終わらない。半導体、ソフトウェア、メディア、巨大消費関連にどれだけ偏っているかを見ると、このETFがS&P500の代用品ではなく、もっと尖った性格の商品だと分かる。
非金融の大型ナスダック銘柄に寄せたETF。上位10銘柄で45.5%を占め、業種も半導体・ソフトウェア・メディアに偏る。広く持つETFではなく、米大型グロースを強めるETFとして読むのが正しい。
データの取得日と一次情報の確認場所
本記事の断面データは2026年2月時点。上位銘柄と業種は三菱UFJアセットマネジメントの月報ベース、指数ルールはNasdaqのMethodology、商品の基本情報は東証資料と目論見書で確認した。2631は、目論見書上、NASDAQ100指数(円換算ベース)への連動をめざし、主として対象指数に採用されている銘柄の株式等に投資するファミリーファンド方式のETFである。つまり、この記事で見るべきなのは「いま何を多く持っているか」と「その顔ぶれがどう決まるか」の2点である。
最新データを追うときは、見る場所を分けると迷わない。組入上位銘柄と業種は運用会社の月報、売買単位や信託報酬、NISA対象かどうかは東証のページ、なぜその銘柄が入るのか・いつ入れ替わるのかは指数プロバイダーのMethodologyで確認するのが最短である。商品ページだけを見ても入替ルールまでは分からないし、指数ページだけを見ても日本の上場ETFとしての取引条件までは分からない。ここを分けて見るのがコツである。
参照:MAXISナスダック100上場投信(公式商品ページ) / 東証の銘柄詳細ページ / Nasdaq-100 Methodology
上位10銘柄と集中度
月報ベースの上位10銘柄は次の通り。組入銘柄数は101銘柄で、上位10銘柄合計は**45.5%**である。ほぼ半分が上位10社に集まっているので、分散はされているが、かなり上位集中の強いETFだと読める。
| 順位 | 銘柄 | 業種 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 1 | NVIDIA CORP. | 半導体・半導体製造装置 | 8.4% |
| 2 | APPLE INC. | テクノロジ・ハードウェア・機器 | 7.6% |
| 3 | MICROSOFT CORP. | ソフトウェア・サービス | 5.6% |
| 4 | AMAZON.COM INC. | 一般消費財・サービス流通・小売り | 4.2% |
| 5 | TESLA INC. | 自動車・自動車部品 | 3.8% |
| 6 | META PLATFORMS INC-CLASS A | メディア・娯楽 | 3.6% |
| 7 | ALPHABET INC-CL A | メディア・娯楽 | 3.3% |
| 8 | WALMART INC. | 生活必需品流通・小売り | 3.1% |
| 9 | ALPHABET INC-CL C | メディア・娯楽 | 3.1% |
| 10 | BROADCOM INC. | 半導体・半導体製造装置 | 2.8% |
この顔ぶれになる理由は単純で、NASDAQ-100はナスダック上場の大型非金融企業を対象にし、修正時価総額加重で比率を決めるからである。大きい会社ほど比率が上がりやすく、しかも金融は入らない。そのため、巨大テック、半導体、ネット広告、ECの比率が自然に高くなる。さらに、指数は「100社」だが、実際の構成証券数は101である。これはAlphabetのように複数の株式クラスが別々に入るためで、数字だけ見て「100社なのにおかしい」と考える必要はない。
判断の補助としてはこう見る。すでに全世界株やS&P500をコアで持っている人にとって、2631は「分散の追加」ではなく、米大型グロースへの上乗せである。逆に、AI・半導体・プラットフォーム企業への比重を強めたい人には分かりやすい。しかし、1本で米国株全体を持った気になるのは誤りである。上位10社で45.5%という数字は、「広く薄く」ではなく、「強い会社に厚く乗る」ETFだと教えている。
参照:最新月報(2026年2月) / Nasdaq-100 Fact Sheet
セクター(業種・分野)比率と偏りの読み方
月報で見る上位10業種は、次の通り。上位10業種合計は85.1%、しかも上位4業種だけで61.7%を占める。要するに、2631は「米国成長株全般」ではなく、かなりはっきりしたテーマ性を持つETFである。
| 順位 | 業種 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | 半導体・半導体製造装置 | 25.3% |
| 2 | ソフトウェア・サービス | 13.4% |
| 3 | メディア・娯楽 | 12.9% |
| 4 | テクノロジ・ハードウェア・機器 | 10.1% |
| 5 | 一般消費財・サービス流通・小売り | 5.7% |
| 6 | 生活必需品流通・小売り | 5.4% |
| 7 | 自動車・自動車部品 | 3.8% |
| 8 | 医薬品・バイオテクノ・ライフ | 3.4% |
| 9 | 食品・飲料・タバコ | 2.6% |
| 10 | 消費者サービス | 2.5% |
まず読むべきは、半導体25.3%である。ここが2631の一番の特徴だ。AI向け設備投資やデータセンター投資が強ければ追い風になりやすいが、逆に設備投資が鈍る局面では下に振れやすい。次にソフトウェア・サービス13.4%、メディア・娯楽12.9%が続く。ここにはクラウド、広告、プラットフォーム、デジタルサービスの色が濃い。景気そのものだけでなく、企業のIT投資、広告市況、長期金利の動きにも影響を受けやすい。だから2631は、単純な「米国株」ではなく、成長期待に値段が乗りやすい分野を厚く持つETFと理解した方がズレない。
もうひとつ重要なのは、「何が入っていないか」である。Nasdaqの公式Fact Sheetでは、ICB分類ベースでTechnology 63.34%、Consumer Discretionary 17.91%が大半を占め、Financialsは0.00%である。銀行や保険を通じた景気敏感株の厚みはない。つまり、S&P500のような幅広い米国大型株とは性格が違う。自分のPFにすでにオルカンやS&P500があるなら、2631を足す意味は「米国大型グロースの比重をさらに上げること」になる。逆に、これをコアにすると、想像以上に偏る。
判断の補助を一言でまとめるならこうである。コア資産の代わりに持つか、コア資産の上に載せるかで評価が変わる。前者なら偏りが強すぎる。後者、つまりサテライトとして使うなら、どの偏りを自分で取りにいくのかが明確で使いやすい。
参照:最新月報(2026年2月) / Nasdaq-100 Fact Sheet
入替ルールと構成が変わるタイミング
2631の中身がどう変わるかを知るには、指数のカレンダーと採用条件を押さえる必要がある。Nasdaq-100は年1回の定期入替と四半期ごとの比率調整で動く。年次のリコンスティテューションは、11月末の基準日で候補を見て、12月第2金曜の引け後に公表、12月第3金曜の次の取引日寄り付きで反映される。四半期のリバランスは、2月・5月・8月・11月末を基準に、3月・6月・9月・12月の第3金曜後の次営業日に効く。
採用条件も見ておく。指数は、ナスダック上場の非金融企業を対象とし、流動性では3カ月平均売買代金500万ドル以上、平均出来高20万株以上、さらに浮動株比率10%以上などの条件がある。定期入替では、まず時価総額上位75社が入る。そのうえで既存採用銘柄のうち上位100位以内のものを残し、必要なら101〜125位の既存銘柄を優先して穴埋めし、それでも足りなければ新規銘柄を入れる。完全な総入替ではなく、ある程度の継続性を持たせた仕組みである。
さらに、比率の暴れすぎを防ぐ仕組みもある。四半期調整では、1社24%超は禁止、4.5%超の銘柄群の合計は48%以下という上限があり、これを超えると特別調整が入りうる。だから、巨大銘柄が強すぎる相場でも「青天井で1社に偏る」設計ではない。ただし、上限があるからといって分散型ETFになるわけではない。上限付きの大型グロース集中ETF、と理解した方が正確である。
構成が大きく変わったときの見方も簡単である。一時的な順位入替なら過剰反応は不要である。見るべきは、「半導体・ソフトウェア・巨大プラットフォーム中心」という土台が崩れたかどうかである。もし非AI分野や景気敏感分野の比重が大きく増え、2631の役割が「米大型グロースの上乗せ」から別物に変わるなら、そのとき初めて保有理由を点検すればよい。
参照:Nasdaq-100 Methodology / MAXISナスダック100上場投信(公式商品ページ)
よくある誤解
「記事に最新の全銘柄一覧がずらっと載っていないから、この手の記事は古い」と思う人がいる。これは半分正しく、半分ズレている。たしかに断面データは動く。だが、この記事の価値は、今日の数値を1回見せることではなく、2631がどういう仕組みでその顔ぶれになるのかを理解できることにある。そこが分かれば、来月の月報を見たときにも自分で読める。見る順番は、まず運用会社の月報で上位銘柄と業種、次に東証ページで商品条件、最後にNasdaqのMethodologyで入替ルールである。この3点を押さえれば、「数字が動いた」だけなのか、「商品の性格が変わった」のかを切り分けられる。投げっぱなしで「最新を確認してください」で終えるのではなく、どこで・何を・どう見るかまでセットで持っておくべきである。
確認先を再掲すると、組入と業種は最新月報(2026年2月)、商品条件は東証の銘柄詳細ページ、入替ルールはNasdaq-100 Methodologyで見るのが最短である。
まとめ
2631の中身は、米国の超大型グロース株、それも半導体・ソフトウェア・メディアにかなり寄った構成である。2026年2月時点では上位10銘柄で45.5%、上位4業種で61.7%に達し、「広く持つETF」ではなく「成長分野を厚く持つETF」と読むべき商品だ。商品の全体像から整理したいなら、次は概要記事へ進むのが順番である。


