ETFを積み立てていると、必ず暴落の局面が来る。2020年のコロナショック、2022年の米国株下落、2024年の日本株急落――いずれも「もう終わりか」と感じるような下落だった。しかし暴落時に何をするかで、長期リターンが大きく変わる。40代が知っておくべき行動指針を整理する。
まず知っておく:暴落は「イベント」ではなく「定期的な現象」
S&P500の過去データを見ると、年間に10%以上の下落は約3年に1度、30%超の暴落は10年に1度程度起きている。これは「異常事態」ではなく、長期投資の中では折り込み済みの出来事だ。
| 主な暴落 | 最大下落幅 | 回復までの期間(目安) |
|---|---|---|
| リーマンショック(2008〜09年) | 約-55% | 約5年 |
| コロナショック(2020年) | 約-34% | 約5ヶ月 |
| 米国金利上昇局面(2022年) | 約-27% | 約1年半 |
回復期間はバラバラだが、長期で見れば株式市場は上昇してきたという事実が「持ち続ける」判断の根拠になる。
暴落時にやること(積極的行動)
1. 積立を止めない――むしろ安く買えるチャンス
毎月定額を積み立てていると、暴落時は同じ金額で多くの口数を買える。これがドルコスト平均法の本質だ。暴落のたびに「安く仕込めた」という経験を積むことで、次の暴落にも動じにくくなる。
2. 生活防衛資金を確認する
暴落中に「急にお金が必要になった」場合、ETFを損切りして売る羽目になる。暴落前に生活費6ヶ月分を現金で別に確保しておくことが、ETFを売らずに持ち続けられる最大の防衛策だ。
3. 保有ETFの「役割」を再確認する
「なぜこのETFを持っているのか」を改めて確認する。全世界株ETFなら「30年後に向けた長期成長」、高配当ETFなら「定期的な配当収入」という目的があるはずだ。目的が変わっていなければ、判断は変えなくていい。
4. 余剰資金があれば買い増しを検討する
生活防衛資金を確保した上で、さらに余剰資金があれば買い増しの検討余地がある。ただし「底を当てる」必要はない。-20%、-30%と段階的に少しずつ買い増す方が心理的な負荷が低く、合理的だ。
暴落時にやってはいけないこと
❌ 全部売って「様子を見る」
最もやってはいけない行動だ。売った後に相場が反転すると、どのタイミングで買い戻せばいいかわからなくなる。コロナショックでは最安値から1週間で15%以上戻した日もあった。売った後にその反発を取り逃がすリスクが高い。
❌ 別の「安全な資産」に乗り換える
暴落中に「金(ゴールド)に替えよう」「債券に移そう」と考えがちだが、これは損失を確定させながら、別のリスクを取る行為だ。金も債券も必ずしも株式と逆相関ではない局面がある。
❌ 積立額を増やしすぎて精神的に追い詰められる
「安いから買い増せ」と焦って積立額を無理に増やすと、続かなくなる。自分が暴落中でも平静でいられる金額を守ることが最重要だ。毎月5万円で積み立てている人が急に20万円にする必要はない。
❌ ニュースを見すぎて判断を変える
暴落中は悲観的なニュースが溢れる。「○○ショックで市場崩壊か」「専門家が全売りを推奨」といった見出しに惑わされやすい。長期投資家には「今日のニュースより5年後の事業価値」が重要で、日次のニュースは雑音と割り切る。
40代が事前に決めておくべき「判断軸」
暴落中に冷静な判断をするために、平時に判断基準を決めておくことが有効だ。
| 状況 | あらかじめ決めておく行動 |
|---|---|
| -10%程度の下落 | 何もしない。積立継続 |
| -20%程度の下落 | 余剰資金の1/3を買い増し |
| -30%超の急落 | 余剰資金の残りを段階的に追加投資 |
| 生活費が不足しそう | ETFより先に銀行預金を使う |
この表はあくまで一例だ。自分の状況(収入・生活費・他の資産)に合わせて、平時に紙に書いて保存しておくと、暴落時の感情的な判断を防げる。
まとめ:暴落は長期投資家のテスト
- 暴落は定期的に起きる。「想定外」ではなく「想定内」として扱う
- 積立を止めない。生活防衛資金を守る。余剰資金で買い増す
- 全売り・乗り換え・積立増額の焦りは禁物
- 平時に判断軸を決めておくことが、暴落時の最大の武器になる
40代は老後まで20年近くある。その間に暴落は何度か来る。1回1回の暴落で正しい行動を選んだ人が、20年後に大きな差をつける。

