金価格が9.2%上がった1か月で、1540は5.7%しか上がらなかった

itcareer40.jp1540金価格との差の分解

金価格が上がると、1540のような金のETFも同じだけ上がると思いがちである。実際にはずれる。2026年8月3日から9月8日までを測ると、こうなった。

1540は、東京証券取引所で買える金のETFである。ロンドンの金価格は、世界で使われている金の値段のひとつで、ドルで表す。変化率は、期間の初めから終わりまでに何%動いたかを指す。

測ったもの8月3日9月8日変化率
ロンドンの金価格(ドル建て)4,028.15 ドル4,399.10 ドル+9.21%
1540の終値19,19020,275+5.65%
-3.56pt

差は3.6ポイントある。ポイントは、%どうしを引き算した差を表す単位である。この記事は、その差が何でできているかを分解する。

差の3.6ポイント4つに分かれる

内訳はこうなった。表の「その他」は要因ではなく、計算上の重なりである。

差3.56ポイントの内訳。為替が1.91ポイントで最も大きく、手数料などが0.04ポイントで最も小さい 横棒グラフ。1540の終値がロンドンの金価格に届かなかった3.56ポイントの内訳。為替が1.91ポイント。いつ・どこの値段かが0.77ポイント。人気のズレが0.57ポイント。その他が0.27ポイント。手数料などが0.04ポイント。為替は2番目の2倍以上ある 差3.56ポイントの内訳(すべて1540を押し下げる向き) 為替 1.91 いつ・どこの値段か 0.77 人気のズレ 0.57 その他(計算上の重なり) 0.27 手数料など 0.04 単位はポイント。2026年8月3日から9月8日
理由今回の効き方
為替(円とドル)-1.91pt
いつ・どこの値段を比べているか-0.77pt
人気のズレ-0.57pt
手数料など(基準価額と指標価格のズレ)-0.04pt
その他(計算上の重なり)-0.27pt
合計-3.56pt

いちばん大きいのは為替で、2番目の2倍以上ある。手数料を含む項目はいちばん小さい。

この4つは細かい要因を束ねたものである。「人気のズレ」には、売買のしやすさや注文の偏りが入っている。同じ分解を過去2回の金の上昇でもやったが、為替がいちばん大きい点は3回とも同じだった。

ロンドンの金価格

+9.21%

2026年8月3日から9月8日

1540の終値

+5.65%

同じ期間

-3.56pt

この記事で4つに分解する

まず3つの言葉だけ覚える

ロンドンの金価格とは、ロンドン市場で決められる金の値段のこと。この記事では午後に決まる値を使う。この値段はドルで表し、1オンスという重さの単位あたり何ドルか、という形になる。

1540とは、東京証券取引所で買える金のETFのこと。金の値段に合わせて動くように作られている。商品そのものの中身は1540(純金上場信託)とはで整理している。

基準価額と市場価格は別物である。基準価額は中身から計算した「本来の値段」、市場価格は「いま売り買いされている値段」である。たとえるなら、基準価額が定価で、市場価格が店頭価格である。

円高が、差のいちばん大きい部分をつくった

ドル円とは、1ドルを何円と交換できるかを表す数字のこと。ドル円は156.75円から153.75円になった。1ドルで買える円が減った状態を円高という。

変化率はマイナス1.9%である。ロンドンの金価格はドルで決まるが、日本で買う1540は円で値段が付く。金がドルで9.2%上がっても、そのドルが1.9%安くなれば、円で見た上がり方は小さくなる。

1540は為替の影響を打ち消す仕組みを持っていない。この仕組みを為替ヘッジといい、選び方は為替ヘッジあり・なしどちらを選ぶ?にまとめている。

目論見書とは、運用会社が出す商品の説明書のこと。そこに「本信託は、為替ヘッジを行いません」とあり、本信託とは1540のことである。だから為替の動きはそのまま届く。

参照:1540 目論見書/日本銀行 外国為替市況

1540が見ている金の値段はロンドンのものではない

効き方はマイナス0.8ポイントで、為替の次に大きい。1540は大阪取引所の金の先物価格をもとに、自分の「指標価格」を計算している。

先物とは、将来のある日に受け渡す約束で今つける値段のこと。指標価格とは、1540が基準価額を計算するときに使う金の値段である。目論見書にはこう書いてある。

本信託の指標価格は、大阪取引所の採用先物価格を基に算出する現物価格であり、日本における金地金の店頭小売・買取価格や海外で公表される取引価格とは異なります。

かみくだくと、1540が使う金の値段は、大阪の先物から計算した日本国内の値段である。金地金とは、延べ棒などの形をした金そのもののこと。採用先物価格とは、大阪取引所の先物のうち1540が選んだ1本の値段を指す。

つまり、ロンドンの値段と一致しないことは最初から想定されている。実際の数字も近い。

大阪取引所の金先物は、1グラムあたり8月3日20,960円9月8日22,277円だった。1540の指標価格は、同じ2日20,706円22,010円である。

変化率はそれぞれ+6.28%+6.30%で、ほぼ同じ動きをしている。ロンドンの+9.2%とは別の数字である。

時間のずれもここに入る。ロンドンと大阪は別の市場である。期末とは測る期間の終わりの日、営業日とは市場が開いている日のこと。

期末を1営業日前にずらすと、ロンドンの変化率は+9.21%から+9.29%になった。今回のぶれは0.1ポイントに届かない。

ただし、ぶれ方は時期による。2025年12月からの期間で同じ計算をすると、1営業日1.1ポイント動いた。

参照:1540 目論見書/三菱UFJ信託銀行「金の果実」ヒストリカルデータ

期末の終値は、基準価額を1.32%下回っていた

乖離率とは、本来の値段とのズレのこと。市場価格を基準価額で割り、1を引いて出す。1540の乖離率は、期間の初めと終わりでこうなった。

日付終値基準価額乖離率
2026年8月3日19,19019,336.00-0.76%
2026年9月8日20,27520,545.50-1.32%

ズレはマイナス0.76%からマイナス1.32%に広がった。差し引き0.6ポイントぶん、上がり方が削られたことになる。

なぜそうなるか。基準価額は中身から計算されるが、市場価格は買いたい人と売りたい人の数で決まる。売りたい人が多ければ、本来の値段より安いところで取引が成立する。

マイナスの乖離率は、基準価額より安い値段で取引されたことを表す。このズレがなぜ生まれるかはiNAV(iIV)とは何かで扱っている。

参照:三菱UFJ信託銀行「金の果実」ヒストリカルデータ

総経費率を36日ぶんに直すと0.05%になる

信託報酬とは、ETFを持っている間ずっと差し引かれる費用のこと。先ほどの表の「手数料など(基準価額と指標価格のズレ)」には、この費用が含まれる。

目論見書には、実際にかかった費用の割合が書いてある。これを総経費率といい、2025年1月21日から2026年1月20日までで0.46%である。

内訳は運用管理費用0.45%とその他費用0.01%である。前者は運用会社などが受け取る分、後者は監査などにかかる分である。

これは1年分の割合で、今回測った期間は36日だった。36日分に直すと0.05%である。差の3.6ポイントに対して、費用から計算できるのは0.05%ぶんである。

実際に基準価額が指標価格から離れた分は0.04ポイントだった。この0.04ポイントは手数料だけの数字ではなく、基準価額と指標価格のズレ全体を表している。計算上の手数料0.05%とは別の数字で、ここまでのデータでは差の理由までは分けられない。

参照:1540 目論見書

為替の影響の向きは、別のETF2本でも確かめられる

為替が原因なら、為替の影響を抑えたETFと抑えていないETFで差が出る。為替ヘッジとは、為替の影響を抑える仕組みのこと。同じ運用会社が、中身が同じで為替ヘッジの有無だけが違う2本を出している。

424Aと425Aは、金のETFに付けられた番号である。2本の違いは424A vs 425Aで比べている。

銘柄為替ヘッジ8月3日9月8日変化率
424Aあり31,21933,415+7.03%
425Aなし33,97036,058+6.15%
-0.88pt

為替ヘッジなしのほうが0.9ポイント低い。円高のときに為替の影響を受けた側が負ける、という向きは合っている。

ただし、この0.9ポイントの内訳をここまでの数字で分けることはできない。424Aは、ドルを売って円を買う取引を続けている。運用会社の商品ページにそう書いてある。

向きの確認には使えるが、金額の確認には使えない

参照:Global X Japan 424A・425A 商品ページ

過去2回も、いちばん大きいのは為替だった

金がドル建てで上がった期間を3つ選び、局面A・B・Cと呼ぶ。同じ分解を3回ともやった。

項目局面A局面B局面C
期間2020年7月1日9月15日76日2025年12月15日2026年2月13日60日2026年8月3日9月8日36日
ロンドン金+10.07%+15.74%+9.21%
1540終値+6.61%+13.42%+5.65%
-3.46pt-2.31pt-3.56pt
為替-1.85pt-1.15pt-1.91pt
いつ・どこの値段か+0.09pt-0.50pt-0.77pt
人気のズレ-1.32pt-0.29pt-0.57pt
手数料など(基準価額と指標価格のズレ)-0.08pt-0.07pt-0.04pt
その他(計算上の重なり)-0.29pt-0.30pt-0.27pt

3回とも差はマイナスで、2.3から3.6ポイントの間に収まった。為替は3回ともマイナスに効き、手数料などの項目は3回とも0.1ポイント未満だった。

各局面の内訳を足すと、その局面の「差」とほぼ一致する。小数第3位を丸めているため、0.01ポイントずれる場合がある。

「いつ・どこの値段か」は局面Aだけプラスで、0.09ポイントぶん上がり方を押し上げている。この項目は向きが変わり、大阪の先物とロンドンの金価格はいつも同じ方向にずれるわけではない。

違ったのは人気のズレである。局面Aでは1.32ポイントで、3回のうちいちばん大きい。期首とは測る期間の初めの日のことで、局面Aの期首は乖離率がプラス2.14%だった。

本来の値段より高く買われていた状態から、プラス0.78%まで戻った。局面Cは逆で、期首からマイナスだった。同じ「人気のズレ」でも、始まりの位置が違う。

東証に上場している金のETFは1540だけではない。一覧は東証の金ETF8本を仕様で並べるにある。

なお424Aと425Aは2025年9月24日に設定された。設定日とは、ファンドができた日のこと。局面Aでは、前の章の確かめ方が使えない。

参照:LBMA(ロンドン貴金属市場協会)/三菱UFJ信託銀行「金の果実」ヒストリカルデータ/Global X Japan 基準価額

この記事で言えないこと

  • COMEX金先物の日次決済価格は取得できていない。CME Group が自動取得を規約で禁じているため、ロンドンの金価格を代わりに使っている。
  • 1540の日次の出来高は使っていない。この記事では日次の出来高を取得も検証もしていないためである。
  • 424Aと425Aの設定は2025年9月24日であるため、2020年の局面では確かめられない。

自分で確かめる方法

同じ計算は自分でもできる。次の文章をChatGPTやClaudeにそのまま貼ればよい。文中の一次情報とは、運用会社や取引所などが自分で出している元の資料のことである。

次の資料から 2026-08-03 と 2026-09-08 の値を取り、
それぞれの変化率と、その差の内訳を出してください。

1. ロンドンの金価格(午後・1オンスあたりのドル)
   https://prices.lbma.org.uk/json/gold_pm.json
2. 三菱UFJ信託「金の果実」1540 ヒストリカルデータ
   http://kikinzoku.tr.mufg.jp/ja/data_report/historicaldata.html
   gold.zip の gold.csv。日付・東証終値・指標価格・大取先物・為替・一口NAV を使う
3. 日本銀行 外国為替市況(ドル円)
   https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/index.htm

内訳は 為替/指標価格とロンドン金のズレ/
終値と基準価額のズレの変化/信託報酬 の4つに分けてください。
計算に使った日付を明記してください。
元データに無い数値は書かず、取れなかった項目はそう書いてください。

AIの答えは必ず基準価額の元ページで確認する。数字が合わない場合は、元ページの値が正しい。

数値の基準日

ロンドンの金価格の変化率(+9.21%
2026年8月3日から9月8日
1540の終値の変化率(+5.65%
2026年8月3日から9月8日
測定期間
2026年8月3日から9月8日
データの確認日
2026年9月9日
金価格
LBMA
1540の総経費率(0.46%
2025年1月21日から2026年1月20日

データの出典

この記事の数値は、すべて2026年9月9日に取得した。為替の変化率は、1540が基準価額を計算するときに使った為替レートで出している。

日本銀行が公表する為替レートは、参考として突き合わせた。2026年9月8日の値は、確認日の時点でまだ公表されていなかった。

金の値段は2026年1月29日5,405.00ドルを付けている。この記事で扱った9月8日4,399.10ドルは、その81.4%の水準である。

Sho
Sho

業務系SEとして長年

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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