東証で買える米国テック系ETFは、名前が似ていても中身はかなり違う。NASDAQ100にそのまま連動する王道タイプもあれば、FANG+のように銘柄集中を強めたタイプ、米国テック20銘柄に絞ったタイプ、毎月分配を狙うカバードコール型、さらにFANG+にゴールドを組み合わせた変化型もある。ここを一緒くたにすると、比較の軸がすぐ壊れる。まずは種類を分け、そのあとで比較記事や個別記事へ進むのが正しい順番だ。
NASDAQ100本体を探しているのか、もっと濃い成長株に寄せたいのか、分配や値動きの違いまで含めて選びたいのかを整理し、次に読むべき比較記事をはっきりさせる。
NASDAQ100 ETFとは
NASDAQ100は、米国NASDAQ上場銘柄のうち、時価総額の大きい非金融100銘柄を対象に算出される指数である。つまり、日本株のTOPIXのように市場全体を広く持つ指数ではなく、米国の大型グロース株やテック寄り銘柄の比重が大きい指数だ。日本の投資家が東証でこの指数に投資したいなら、東証上場ETFを使うのがわかりやすい入口になる。
ただし、ここで気をつけるべきなのは、NASDAQ100の名前が入っていれば全部同じではないという点である。NASDAQ100そのものに連動するETFもあれば、NASDAQ100を材料にしながら別の戦略を使うETFもある。だから、NASDAQ100本体を買いたいのか、NASDAQ100周辺の派生商品まで含めて検討したいのかを最初に切り分ける必要がある。
東証で買えるNASDAQ・米国テックETFざっくり一覧表
下の表は、東証にあるものを全部並べたものではない。NASDAQ100指数そのものに連動するETFは、表に出てくる2631・2632・534Aのほかに1545・2568・2569・2840・2841・2845・2087・587Aが東証に上場している。ここでは、タイプの違いが出るものを選んで並べる。
| 銘柄コード | ETF名 | タイプ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 2631 | MAXISナスダック100上場投信(ヘッジなし) | NASDAQ100本体 | ヘッジなしの王道 |
| 2632 | MAXISナスダック100上場投信(為替ヘッジあり) | NASDAQ100本体 | 為替ヘッジあり |
| 534A | NZAM 上場投信 NASDAQ100(為替ヘッジなし) | NASDAQ100本体 | 新しいヘッジなし候補 |
| 2244 | グローバルX US テック・トップ20 | テック集中 | 米国テック20銘柄に集中 |
| 316A | iFreeETF FANG+ | FANG+ | 米国ビッグテック10銘柄に集中 |
| 2865 | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール | 分配重視型 | 毎月分配を重視した派生型 |
| 521A | iFreeETF FANG+ゴールド | 変化型 | FANG+とゴールドを組み合わせた型 |
東証の米国テックETFは3タイプで見る
まず1つ目は、NASDAQ100本体である。ここは、上に挙げたコードが並ぶ棚である。この記事ではそのうち2631・2632・534Aを取り上げる。主な論点は為替ヘッジの有無と新規上場銘柄をどう見るかに絞られる。役割が比較的わかりやすいので、初心者が最初に見るべき棚はここだ。
2つ目は、より濃い成長株である。2244は米国テック20銘柄、316AはFANG+10銘柄という構成で、NASDAQ100より銘柄数が少なく、集中度が高い。うまくいく局面では強く見えやすい一方で、値動きも濃くなりやすい。NASDAQ100の上位互換ではなく、別の性格を持つ商品だと見たほうがよい。
3つ目は、分配重視・変化型である。2865はカバードコール戦略を使う毎月分配型、521AはFANG+にゴールドを足した複合型で、どちらもNASDAQ100本体やFANG+本体とは別物である。名前だけ見て同じ棚に置くと失敗しやすい。さらに2865と521Aは、JPXの銘柄一覧でNISA対象銘柄の欄に印が無い。2865の銘柄詳細資料は「NISA制度成長投資枠」を「対象外」と書いているので、成長投資枠では買えない。521Aの銘柄詳細資料は新規上場の書式でNISAの欄そのものが無いため、ここでは対象外とは断定しない。
NASDAQ100本体を探している人へ
NASDAQ100をそのまま持ちたいなら、まずこの記事が取り上げる2631・2632・534Aから見るとよい。本体に連動するETFはほかにもあるので、必要なら上に挙げたコードを当たる。ここで2244や316Aや2865まで広げる必要はない。なぜなら、これらは同じ米国テック系でも、追っている指数も役割もすでに違うからだ。入口の段階で比較対象を広げすぎると、かえって判断を間違える。
2631はNASDAQ100指数の円換算ベースに連動するヘッジなし商品、2632はNASDAQ100指数の円ヘッジ・円換算ベースに連動する為替ヘッジあり商品である。つまり、この2本の違いはかなり明快で、円安も含めて取りにいくか、為替変動をなるべく抑えたいかの違いだ。ここが決まらないと、その先の比較は全部ぼやける。
534Aは2026年3月19日に上場した新顔で、NASDAQ100指数の配当込み・当社円換算ベースに連動するヘッジなし商品である。新しい選択肢が増えること自体は良いが、上場から日が浅い。だから現時点では、既存の2631・2632に新しい候補が加わると理解しておけば十分である。
NASDAQ100本体を探している人が最初に読むべき比較記事は、2631 vs 2632 vs 534Aである。ここでは、為替ヘッジの有無と新規上場銘柄をどう位置づけるか、この2点が主役になる。
もっと濃い成長株に寄せたい人へ
NASDAQ100では少し物足りない、もっと強く米国大型テックへ寄せたいなら、2244と316Aのゾーンを見る価値がある。ここはNASDAQ100の延長線ではあるが、同じではない。銘柄数が減り、特定テーマや大型テックへの集中度が高くなるぶん、うまくいくときは強いが、逆風では値動きも荒くなりやすい。
2244はグローバルXの説明では、FactSet US Tech Top 20 Indexの円換算への連動を目指すETFで、米国テクノロジー関連大型株20銘柄に投資する商品である。NASDAQ100のように広く持つというより、米国テックの代表選手を濃く持つ発想に近い。
316Aは大和アセットの説明では、次世代テクノロジーをベースに高い知名度を有する米国上場企業10社で構成される指数に連動するETFである。その指数は10社に等金額投資したポートフォリオで構成されており、四半期ごとに等金額へ戻すリバランスを行う。ここが重要で、非金融業株式100銘柄で構成されるNASDAQ100とはかなり見え方が違う。巨大テックの比重をさらに強く取りにいきたい人にはわかりやすいが、そのぶん偏りも大きくなる。
このゾーンで最初に読むべき比較記事は、2244 vs 316A vs 521Aである。テック20にするのか、FANG+10銘柄にするのか、さらにゴールドまで加えるのか。この順で整理すると迷いにくい。
分配重視・変化型を探している人へ
2865は、名前にNASDAQ100が入っているからといって、本体連動ETFの代わりとして見てはいけない。2865の連動対象はCboe NASDAQ-100 BuyWrite V2 Indexの円換算であり、NASDAQ100を使ったカバードコール戦略の成果を取りにいく商品である。つまり、値上がりを最大限追いかけるETFではない。
カバードコール型の意味は単純で、上昇を全部取りにいく代わりに、オプションのプレミアム収入を狙う設計である。Global Xの特設ページでも、コール売りは利益機会を制限しうる一方で、収入獲得の考え方を持つ戦略として説明されている。毎月分配に目が行きやすいが、その代わりに強い上昇局面の取りこぼしが起こりやすい点は先に理解しておくべきだ。
521Aも変化型として見るべき商品である。大和アセットの商品ページは、NYSE FANG+指数(配当込み、円ベース)の変動率と、ゴールドの指数(ICE BofA Commodity Index eXtra (Gold) Excess Return Index)の変動率の和となるように計算された指数への連動をめざす、と書いている。銘柄詳細資料はこれを「日々の変動率」の和と書いており、ゴールド側は金現物ではなく、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物の値動きを追う指数である。さらに特設ページは、先物取引を活用することで純資産に対して200%相当額の投資をめざすと書いている。レバレッジ効果のため基準価額変動リスクの大きいETFであり、東京証券取引所の定義するレバレッジ・インバース型商品には該当しないものの、先物取引等を利用して純資産規模を上回る投資を行う高リスク商品である、と運用会社自身が明記している。つまり、同じ資金で2つの値動きを重ねて取りにいく設計である。これは単純な米国テックETFではなく、成長株に金という別の値動きを足した商品だ。
ただし、ゴールドが入っているから安全と考えるのも雑である。値動きの要因が増えるぶん、商品理解のハードルはむしろ上がる。最初の1本として万人向けとは言いにくく、グロース一本では不安だが、別の値動きもまとめて持ちたい人向けの候補と考えるほうが現実的だ。
迷ったらこの順番で読めばいい
NASDAQ100を素直に持ちたいなら、まずこの記事が取り上げる2631・2632・534Aの比較から入る。ここで為替ヘッジを決めれば、候補はかなり絞れる。テック集中やFANG+まで最初から手を広げる必要はない。
もっと強い成長期待を取りたいなら、次は2244と316Aを見る。20銘柄のテック集中か、10銘柄のFANG+か。この違いは想像以上に大きい。NASDAQ100と似た仲間に見えても、持っている中身の濃さが違うからだ。
分配を重視したいなら2865、グロース一本足が不安なら521Aが候補に入る。ただし、この2本は本体連動ETFの代わりではない。ここを履き違えると、欲しかった値動きとまったく違うものを買うことになる。
個別記事から詳しく確認する
個別記事は、気になる銘柄をいきなり読むより、自分に近いタイプが見えたあとで読むほうが効率がいい。この記事が取り上げるNASDAQ100本体として2631・2632・534A、濃い成長株の候補として2244・316A、分配重視・変化型として2865・521A、という並びで見ると整理しやすい。
同じ米国テック系に見えても、追っている指数も、分配の考え方も、値動きの出方も違う。だからこそ、最初から銘柄名だけで選ばず、まず役割で分ける。これがこのカテゴリの入口記事でいちばん大事な考え方である。
NASDAQ100本体
・2631 MAXISナスダック100上場投信(ヘッジなし)
・2632 MAXISナスダック100上場投信(為替ヘッジあり)
・534A NZAM 上場投信 NASDAQ100(為替ヘッジなし)
テック集中
・2244 グローバルX USテックトップ20
・316A iFreeETF FANG+
分配・変化型
・2865 グローバルX NASDAQ100カバードコール
・521A iFreeETF FANG+ゴールド
データの出典
本記事の、各銘柄の連動対象、NASDAQ100の対象銘柄の範囲、2865のカバードコール戦略と521Aの投資手法、および上場とNISA対象銘柄の欄に関する記載は、以下の一次情報に基づく。取得日は2026年9月15日。
- 日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)」 … 各銘柄の連動対象指標と、NISA対象銘柄の欄。2631が NASDAQ100指数(円換算ベース)、2632が NASDAQ100指数(円ヘッジ・円換算ベース)、534Aが NASDAQ100指数(配当込み、当社円換算ベース)、2244が FactSet US Tech Top 20 Index(配当込み、円換算ベース)、316Aが NYSE FANG+指数(配当込み、円ベース)、2865が Cboe NASDAQ-100 BuyWrite V2 Index(円換算)、521Aが NYSE FANG+ PLUS GOLD指数(配当込み、円ベース)にそれぞれ連動すること。NASDAQ100指数そのものに連動する銘柄として、このほかに 1545・2568・2569・2840・2841・2845・2087・587A が載っていること。2865 と 521A は NISA対象銘柄の欄に印が無いこと
- 日本取引所グループ 銘柄詳細資料(2631) … 「対象指標の概要」の欄。NASDAQ-100指数が、米国のナスダック市場に上場している時価総額の大きい非金融業株式100銘柄で構成される株価指数であること。ナスダック市場の全銘柄で構成されるNASDAQ総合指数とは異なる指数であること
- 日本取引所グループ 銘柄詳細資料(2244) … 「対象指標の概要」の欄。FactSet US Tech Top 20 Indexが、米国を代表するテクノロジー関連企業20社で構成される株式インデックスであること
- 日本取引所グループ 銘柄詳細資料(2865) … 「対象指標の概要」の欄。Cboe NASDAQ-100 BuyWrite V2 Indexが、NASDAQ100指数を原資産として、1ヵ月ごとに新しく期近のコール・オプションを売り建てるカバード・コール戦略を行なった場合の収益を表す指数であること。および NISA制度成長投資枠 の欄が 対象外 であること
- 日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)新規上場銘柄(年間)」 … 534Aの上場日。2026年の一覧に上場日 2026/03/19 として載っていること
- 日本取引所グループ「東証上場銘柄一覧」(data_j) … 534A が現に上場していること(日付欄が20260831の版で確認)。銘柄一覧(ETF)には上場前の銘柄も載るため、上場済みかどうかはこの一覧で確かめている
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF FANG+」(316A) … 商品概要の欄。NYSE FANG+指数が、次世代テクノロジーをベースに高い知名度を有する米国上場企業10社で構成される指数であること
- 日本取引所グループ 銘柄詳細資料(316A) … 「対象指標の概要」の欄。NYSE FANG+指数が、対象の企業に等金額投資したポートフォリオで構成されていること。当指数が、四半期ごとに等金額となるようなリバランスを行うこと
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF FANG+ゴールド」(521A) … 商品概要の欄。NYSE FANG+ PLUS GOLD指数が、NYSE FANG+指数(配当込み、円ベース)の変動率とICE BofA Commodity Index eXtra (Gold) Excess Return Indexの変動率の和となるように計算された指数であること
- 日本取引所グループ 銘柄詳細資料(521A) … 「対象指標の概要」の欄。NYSE FANG+ PLUS GOLD指数(配当込み、円ベース)が、日々の変動率が2つの指数の変動率の和となるように計算された指数であること。および ICE BofA Commodity Index eXtra (Gold) Excess Return Index が、金現物取引ではなく、ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引されている金先物取引の値動きの反映をめざす指数であること
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF FANG+ゴールド」特設ページ … 商品ページからリンクされている特設ページ。先物取引を活用することで、純資産に対して200%相当額の投資をめざすこと。レバレッジ効果のため基準価額変動リスクの大きいETFであること。東京証券取引所の定義するレバレッジ・インバース型商品には該当しないが、先物取引等を利用して純資産規模を上回る投資を行なう高リスク商品であること
- Global X Japan「グローバルX US テック・トップ20 ETF」(2244) … 米国を代表するテクノロジー関連企業20銘柄へ投資すること。NASDAQに上場するテクノロジー関連銘柄のうち、大型の20銘柄に投資すること
- Global X Japan「グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF」(2865) … カバード・コールの説明。原資産を保有しつつコールオプションを売ることで、不確実な将来の値上がり益を放棄する代わりにオプションプレミアムが得られる戦略であること



