itcareer40.jp銘柄を知る314A
金のETFを買うと、金の地金をそのまま保有すると思っていませんか。iシェアーズ ゴールド ETFの資料に保有として載っているのは、金現物を主な投資対象とする海外の上場投資信託証券(ETC)です。そのETCが、金価格の変動に概ね連動することを目標にしています。
2026年9月30日のファクトシート(運用会社がファンドの概要をまとめた資料)では、このETCの保有割合は99.90%です。ETCの費用も含めた実質的な運用管理費用(運用・管理にかかる費用)は年0.220%程度で、分配金はこれまで支払われていません。
費用の数字は1つだと思っていましたが、314Aの資料には、実質の目安、314A自身の上限、期間の実績と、似た数字がいくつも出てきます。どの数字が何を指すのかを確かめてから比べたいと思いました。
ETCの保有割合(2026年9月30日のファクトシート)
99.90%
実質的な運用管理費用の目安(ETCの費用を含む)
年0.220%程度
総経費率(2025年8月10日〜2026年2月9日・年率換算の参考値)
0.23%
年0.220%とは別の数字で、足し合わせるものではありません
314Aと、投資先のETCの仕組み
iシェアーズ ゴールド ETF(銘柄コード314A)は、ブラックロック・ジャパンが運用するETFです。運用会社とは、ETFの運用を担う会社を指します。連動を目指す対象は、LBMA金価格(円換算ベース)です。
LBMA金価格は、ICE Benchmark Administration Limitedがロンドン時間の午後に公表する金現物価格です。円換算ベースの価格は、運用会社がこの価格に為替を掛けて算出します。
また、314Aは外貨建資産について、原則として為替ヘッジを行いません。為替ヘッジとは為替変動の影響を抑える対応のことで、314Aの運用成果には為替レートの変動も影響します。
基本情報は次のとおりです。
- 設定日(運用を始めた日):2025年1月14日
- 売買単位:10口。東京証券取引所(東証)では10口単位で売買します
- 決算日:毎年2月9日と8月9日(年2回)
- NISA:成長投資枠の対象
NISAは、少額投資非課税制度のことです。
保有銘柄数は1銘柄です。2026年9月30日時点のファクトシートでは、ISHARES PHYSICAL GOLD ETCの組入比率(314Aの資産に占める割合)が99.90%でした。ほかに円と米ドルの現金も記載されています。
JPX(日本取引所グループ)が公表した2026年2月27日の銘柄詳細資料では、同じETCの組入比率は97.77%でした。
投資先の正式名称はiShares Physical Gold ETCです。請求目論見書に記載された投資目的は、『金価格の変動に概ね連動することを目標とします。』です。
上場取引所は、ロンドン証券取引所などです。請求目論見書の2026年1月末の運用状況では、投資先の国・地域はアイルランドと記載されています。これは保有する投資信託受益証券(ETC)の国・地域の分類で、金の保管場所の記載ではありません。交付目論見書によると、投資先のETCとその概要は、今後変更となる場合があります。
2026年9月30日のファクトシートでは、314Aが保有するのは金の地金ではなく、金現物を主な投資対象とするETCです。
参照:ブラックロック・ジャパン「314A iシェアーズ ゴールド ETF」ファクトシート(2026年9月30日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」交付目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」請求目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、JPX 銘柄詳細資料「314A」(2026年2月27日・2026年10月14日取得)、JPX「銘柄一覧(ETF)」全銘柄(2026年10月9日更新・2026年10月14日取得)
実質的な費用の0.22%に、ETCの費用は入っているのか
信託報酬とは、ETFの運用・管理にかかる費用です。314Aの交付目論見書では、実質的な運用管理費用を年0.220%(税抜0.200%)程度としています。
この実質的な費用は、314A自身の信託報酬と、投資先ETCの報酬等を合計したものです。年0.220%は、ETCの費用も含めた目安です。314A自身の信託報酬には、これとは別に、年0.220%(税抜0.200%)以内という上限があります。
請求目論見書によると、314A自身の信託報酬率は「0.200%-ETF運営経費率×前月末のETF投資割合」で計算します。
ETF運営経費率は、投資している上場投資信託の目論見書などに記載された運営経費率で、ここでは投資先のETCの経費率を指します。前月末のETF投資割合は、前月の最終営業日に、314Aの資産のうち投資先の上場投資信託証券が占める割合です。
314A自身の信託報酬率は、投資先ETCの運営経費率と前月末の投資割合を使い、毎月決まる仕組みです。ETCの費用に相当する分を差し引く形になっています。
ただし、前月末のETF投資割合が5%以内の場合、この計算式は適用されません。その場合の信託報酬率は0.200%です。
総経費率は、その期間の運用・管理にかかった費用の総額を、期間中の平均純資産に相当する額で割り、年率に換算した比率です。純資産総額とは、組み入れた資産を時価で評価し、利息や配当金などの収入を加えた資産総額から、信託報酬などの必要な費用を差し引いた額です。
直近の計算期間(2025年8月10日〜2026年2月9日)の総経費率は、次のとおりです。
| 項目 | 比率 |
|---|---|
| 総経費率(①+②+③) | 0.23% |
| ① 当ファンドの運用管理費用の比率 | 0.09% |
| ② 当ファンドのその他費用の比率 | 0.02% |
| ③ 投資先ファンドの運用管理費用の比率 | 0.12% |
③の投資先ファンドとは、314Aが組み入れている投資信託証券で、ここでは投資先のETCを指します。
なお、交付目論見書では総経費率について『あくまでも参考であり、実際に発生した費用の比率と異なります。』と注記しています。また、各費用には原則として売買委託手数料と有価証券取引税は含まれず、投資先のファンドの運用管理費用以外の費用も表には含まれていません。有価証券の貸付(保有する証券を貸し出すこと)をした場合に運用の委託先などへ支払う報酬も、総経費率には含まれていません。
年0.220%は、目論見書に書かれた実質的な運用管理費用の目安です。0.23%は、この期間の費用の総額から計算した参考の値で、年0.220%とは別の数字です。
交付目論見書は、その他の費用・手数料として、上場に係る費用と対象指数の商標の使用料に、純資産総額の年0.0385%(税抜0.0350%)という上限も定めています。これは上限で、期間の費用から計算した0.23%とは性質の違う数字です。
ETCの報酬等を含めた314Aの実質的な運用管理費用は年0.220%程度で、交付目論見書に載っている計算期間の総経費率は0.23%です。
参照:ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」交付目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」請求目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月14日取得)
年2回の決算で、分配金は出るのか
分配金とは、ファンドが決算時に支払うお金です。314Aのこれまでの分配金は、すべて1口当たり0円でした。
対象となるのは、2025年8月9日、2026年2月9日、2026年8月9日の決算です。ブラックロック・ジャパンの分配スケジュールにも、『当ETFは通常は分配金が発生しません。』と記載されています。
314Aの分配対象となるのは、経費を差し引いたあとの配当等収益です。配当等収益とは、受取配当金や受取利息などを指します。
交付目論見書では、市況動向などによっては、分配を行わないこともあると定めています。
2026年8月期(2026年2月10日〜8月9日)の決算短信(決算の内容をまとめた資料)にある、分配金の計算過程は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 当期配当等収益額 | 5,294円 |
| 前の期から繰り越した分配準備積立金 | △31,653,513円 |
| 経費 | 47,027,467円 |
| 収益分配可能額 | △78,675,686円 |
| 収益分配金 | 0円 |
収益分配可能額は、当期配当等収益額に分配準備積立金を足し、経費を引いた額です。分配準備積立金がマイナスなのは、前の期までに経費を差し引ききれなかった分が、マイナスのまま次の期へ繰り越されているためです。
収益分配可能額は△78,675,686円とマイナスで、収益分配金は0円でした。
314Aは年2回の決算を行いますが、これまでの分配金はすべて0円です。
参照:ブラックロック・ジャパン「314A iシェアーズ ゴールド ETF」ファクトシート(2026年9月30日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」交付目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」請求目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF(314A)2026年8月期決算短信」(2026年9月18日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「2026年 分配スケジュール ETF 東証上場シリーズ」(2026年5月27日現在・2026年10月14日取得)
314Aの規模と、東証での売買の状況
2026年9月30日のファクトシートでは、314Aの純資産は約781億円でした。同日時点の発行済口数は252,100,000口です。
基準価額は、この純資産総額をその日の口数で割った、1口当たりの資産価値を指します。2026年8月9日の1口当たり基準価額は319.258円でした。
仮にこの基準価額で売買単位の10口分を数えると、約3,193円です。ただし、これは基準価額を使った仮の計算です。実際に東証で売買する際には、市場価格が使われます。
決算短信では、前の期末の口数に設定(新しく口数が作られること)の口数を足し、解約(口数が減ること)の口数を引いて、期末の口数を出しています。
2026年8月期は、新たに設定された口数が50,400千口、解約された口数が54,700千口でした。
期末の口数は242,800千口になりました。
JPXの2026年9月の月間データでは、314Aの1日平均売買代金は約72,776万円でした。売買代金は、売買された金額を表します。平均スプレッドは4.79bpsです。
スプレッドとは、売り注文と買い注文の最良値段の差を指します。bps(ベーシスポイント)は、その差を表す際にも使われる単位で、0.01%を指します。
314Aは、東証マーケットメイク制度の対象銘柄です。マーケットメイカーとは、注文を継続的に提示することを条件に、東証から報酬を受け取る参加者を指します。
314Aの純資産は約781億円で、東証のマーケットメイク制度の対象となっており、9月の平均スプレッドは4.79bpsです。
参照:ブラックロック・ジャパン「314A iシェアーズ ゴールド ETF」ファクトシート(2026年9月30日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF(314A)2026年8月期決算短信」(2026年9月18日・2026年10月14日取得)、JPX 銘柄詳細資料「314A」(2026年2月27日・2026年10月14日取得)、JPX「ETF気配提示・取引状況」月間データ(2026年9月)(2026年10月14日取得)、JPX「マーケットメイク制度」Q&A(ETF)(2026年10月14日取得)、資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月14日取得)
3行の要約
- 2026年9月30日のファクトシートで、314Aが保有する投資先証券は、金現物を主な投資対象とするETCの1銘柄です。
- ETCの費用を含む実質的な運用管理費用は年0.220%程度で、交付目論見書に載っている総経費率は0.23%です。
- 分配金は、これまでの3回の決算で支払われていません。
金の値上がり益は、分配金のもとになるのか
ここからは、この記事で確かめた資料から、そのまま導ける範囲の推論です。値動きの見通しではありません。
314Aの分配対象額の範囲は、経費を差し引いたあとの配当等収益です。受取配当金や受取利息などがこれに該当します。
一方、請求目論見書では、有価証券売買益などは損失を差し引き、次の期に繰り越す扱いです。配当等収益と有価証券売買益は、分配方針の中で別の扱いになっています。
請求目論見書の2026年1月末の運用状況では、314Aの投資有価証券の主要銘柄はiShares Physical Gold ETCで、純資産の100.38%です。同じ目論見書によると、このETCの投資目的は、金価格の変動に概ね連動することです。
第2期(2025年8月10日〜2026年2月9日)の決算短信の損益及び剰余金計算書(その期の収益と費用などをまとめた表)では、有価証券売買等損益は17,127,863,495円のプラスでした。有価証券売買等損益は、有価証券の売買などから生じる損益で、受取利息とは別の行です。
同じ期間の受取利息は40,873円、その他収益は123,678円です。
分配金の計算過程では、当期配当等収益額は164,551円です。これは経費26,998,404円を下回っており、分配金は0円でした。
分配金のもとになる配当等収益に有価証券売買等損益は含まれないので、それがプラスだった第2期も、314Aの分配金は0円でした。
参照:ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」請求目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)、ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF(314A)2026年8月期決算短信」(2026年9月18日・2026年10月14日取得)
この記事で言えないこと
- 投資先のETCが持つ金の保管場所は書いていません。目論見書・ファクトシートに、その記載が無いためです。
- 決算短信の「その他収益」の中身は書いていません。決算短信に、その内訳が書かれていないためです。
- 314A と LBMA金価格の過去の騰落率は書いていません。過去の値動きで、日々変わる数字のためです。
数値の基準日
- ファクトシートの基準日
- 2026年9月30日
- 交付目論見書・請求目論見書の日付
- 2026年5月9日
- 決算短信(2026年8月期)の日付
- 2026年9月18日
- JPX 銘柄詳細資料の基準日
- 2026年2月27日
- 分配スケジュールの基準日
- 2026年5月27日
- JPX「銘柄一覧(ETF)」の更新日
- 2026年10月9日
- 売買の状況(JPX の月間データ)
- 2026年9月
- 資料を取得した日
- 2026年10月14日
次に読む
信託報酬と総経費率の数字が資料によって違って見える理由は、信託報酬と総経費率の違い|ETFのコスト表示が資料で変わる4つの理由で扱っています。東証の金のETFのうち 1540 については、1540(純金上場信託)とは|東証で金を持つ国内ETF・信託報酬0.44%【2026】で扱っています。
出典
- ブラックロック・ジャパン「314A iシェアーズ ゴールド ETF」ファクトシート(2026年9月30日・2026年10月14日取得)
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」交付目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF」請求目論見書(2026年5月9日・2026年10月14日取得)
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ ゴールド ETF(314A)2026年8月期決算短信」(2026年9月18日・2026年10月14日取得)
- ブラックロック・ジャパン「2026年 分配スケジュール ETF 東証上場シリーズ」(2026年5月27日現在・2026年10月14日取得)
- JPX 銘柄詳細資料「314A」(2026年2月27日・2026年10月14日取得)
- JPX「銘柄一覧(ETF)」全銘柄(2026年10月9日更新・2026年10月14日取得)
- JPX「ETF気配提示・取引状況」月間データ(2026年9月)(2026年10月14日取得)
- JPX「マーケットメイク制度」Q&A(ETF)(2026年10月14日取得)
- 資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月14日取得)

