金ETFの1540(純金上場信託・現物国内保管型)を、成長投資枠の対象商品リストで探しても見つからない。資産運用業協会が公表する一覧に、この銘柄コードは載っていない。
しかし1540は成長投資枠の対象である。日本取引所グループが別に公表する一覧に載っているためだ。
上場ETF等について、掲載状況を確認できる公式の一覧は1つではなく2つある。 掲載の分担は資料の対象範囲によって決まっており、片方だけを見ると、対象の銘柄を対象外と読み違える。この記事では2つの一覧の役割と、対象から外れる場合、資料に載っている日付の意味までを、公表資料の記載に沿って整理する。
対象商品の一覧は2つある
| 公表元 | 一覧の名称 | 掲載対象 | 掲載数 | 基準日 |
|---|---|---|---|---|
| 一般社団法人 資産運用業協会 | 一般投資家向け成長投資枠対象商品リスト(上場ファンド) | 上場投信・上場投資法人 | 416本 | 最終更新日 2026年7月24日 |
| 日本取引所グループ | 特定非課税管理勘定(NISAの成長投資枠)対象銘柄一覧 | 内国商品現物型ETF、外国ETF、外国ETF-JDR、ETN-JDR | 28銘柄 | 2026年5月22日時点 |
資産運用業協会のリスト416本の内訳は、上場投信353本・上場投資法人63本である。
2つの一覧は互いを参照している。日本取引所グループの一覧には「内国ETF、REIT及びインフラファンド等の成長投資枠の対象となる」商品について資産運用業協会のページへの外部リンクが置かれ、資産運用業協会のページにも、上場株式等については日本取引所グループで別途整理されている旨の案内がある。
つまり両者は競合する情報ではなく、掲載対象を分担している。 探している銘柄がどちらの担当かを知らないまま片方を開くと、載っていないことが「対象外」に見える。
分かれ目になっているのは資料の対象範囲
資産運用業協会のリストは、表題のとおり上場ファンド(上場投信・上場投資法人)を対象としている。1540はここには掲載がなく、日本取引所グループの一覧に掲載されている。同一覧で1540の管理会社欄に記載されているのは「三菱UFJ 信託銀行株式会社」で、運用会社名が並ぶ資産運用業協会のリストとは項目の立て方が異なる。
本サイトが継続的に扱う国内70銘柄を2つの一覧で照合すると、次のように分かれた(2026年8月18日時点)。
| 区分 | 銘柄数 | 例 |
|---|---|---|
| 資産運用業協会の一覧に掲載 | 54 | 1489、2559、399A、1306 など |
| 日本取引所グループの一覧に掲載 | 5 | 1326、1540、1541、1542、1557 |
| どちらにも掲載なし | 11 | 1479、1672、1673、1674、1684、1685、1686、1687、1693、2865、521A |
日本取引所グループ側に載る5銘柄は、1540・1541・1542(純金・純プラチナ・純銀の現物国内保管型)と、1326(SPDR(R)ゴールド・シェア)・1557(State Street(R) SPDR(R) S&P 500(R) ETF)である。銘柄コードの見た目は他のETFと変わらない。 どちらの一覧に載るかを、コードから判別する手がかりはない。
同じ金に連動する商品でも扱いは一致しない。1540と1326は対象、1672は2つの一覧のどちらにも見当たらない。「金ETFはNISAで買えない」という一括りの理解も、「金ETFなら買える」という理解も、どちらも実際の掲載状況とは合わない。
日本取引所グループ側の一覧は28銘柄しかない
掲載28銘柄のうち21銘柄はETN(上場投資証券)で、NEXT NOTESなどの銘柄名が並ぶ。ETN以外は7銘柄だけである。
| コード | 銘柄名 | 取扱い開始日 |
|---|---|---|
| 1540 | 純金上場信託(現物国内保管型) | 2024年1月4日 |
| 1541 | 純プラチナ上場信託(現物国内保管型) | 2024年1月4日 |
| 1542 | 純銀上場信託(現物国内保管型) | 2024年1月4日 |
| 1543 | 純パラジウム上場信託(現物国内保管型) | 2024年1月4日 |
| 1326 | SPDR(R)ゴールド・シェア | 2024年1月4日 |
| 1557 | State Street(R) SPDR(R) S&P 500(R) ETF | 2024年1月4日 |
| 587A | インベスコQQQトラスト シリーズ1 | 2026年6月9日 |
2026年5月22日時点では、日本取引所グループの一覧のうちETN以外はこの7銘柄である。 一覧には追加の履歴があるため、確認するときは最新版を参照することになる。
一覧には更新履歴も併載されている。初版公表は2023年6月30日で、1326と1557は2023年12月8日に追加、587Aは2026年5月22日に追加された。この一覧への掲載は、一度に確定したものではない。
除外の条件は制度側で決まっている
金融庁は成長投資枠の対象商品について、除外されるものを次のように記載している。
①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外
資産運用業協会のリストには決算回数の列があり、416本の内訳は年2回235本・四半期97本・年1回64本・隔月20本である。「毎月」は1本も含まれていない(2026年7月24日更新時点)。上の除外条件と整合する形になっている。
ただしリスト側には除外基準そのものの記載はない。掲載されているのは「各運用会社が税法上の要件を踏まえ対象として判断した商品」である旨の記述にとどまる。実務上は、公表された一覧の掲載状況を確認する形になる。
一度対象になった商品が、外れることがある
資産運用業協会のリストには「削除の予定・履歴」というシートが併設されている。2026年7月24日時点で13件が記録され、削除の事由は次のように分かれる。
| 削除の事由 | 件数 |
|---|---|
| 監理銘柄・整理銘柄指定 | 9 |
| 上場廃止 | 3 |
| その他 | 1 |
記録は2023年10月2日から2026年7月24日まで及んでいる。対象商品の一覧は固定されたものではなく、出入りがある。
外れた場合の扱いについて、資産運用業協会は次のように記載している。
監理銘柄・整理銘柄への指定等により成長投資枠の対象商品に該当しないこととなった場合であっても、引き続き成長投資枠で保有することができます。(新たに成長投資枠で購入することはできません。)
保有と買付で扱いが分かれる。 対象から外れたことを知って売却を考える場合と、積立の継続先を差し替える場合とでは、確認すべきことが違ってくる。前者は制度上ただちに求められるものではなく、後者は買付ができなくなるため、そのまま続けることができない。
なお削除の事由には上場廃止も含まれている。リストからの削除は、制度上の区分の変更だけで起きるものではない。
設定日・設立日と、成長投資枠取扱可能日は一致しない
資産運用業協会のリストには「成長投資枠取扱可能日」という列がある。この日付は、その商品を成長投資枠で買付できるようになる日を示す。
リストには「成長投資枠で買付可能となる日は商品毎に異なりますのでご注意ください。」という注意書きが添えられている。
制度開始日である2024年1月4日以外の日付を持つ140本について、リスト上の「設定日・設立日」から「成長投資枠取扱可能日」までの日数を数えると、中央値は2日だった。この140本の半数以上は、差が2日以下である。
| ずれ | 日数 | 例 |
|---|---|---|
| 最短 | 1日 | 2012 iシェアーズ 米国債0-3ヶ月 ETF/2013 iシェアーズ 米国高配当株 ETF/2014 iシェアーズ 米国連続増配株 ETF(いずれも設定2024年1月17日 → 取扱可能2024年1月18日) |
| 中央値 | 2日 | — |
| 最長 | 5,327日 | 1671 WTI原油価格連動型上場投信(設定2009年7月31日 → 取扱可能2024年3月1日) |
最長の1671は、制度開始から2か月遅れて対象に加わった商品である。設定が古い商品でも、制度開始日にそろって対象になったわけではない。
新しく設定された商品を成長投資枠で買おうとする場合、この列を見ておく意味がある。この140本に限ると、差の中央値は2日である。
自分で確認する手順
公表資料だけで確認する場合、手順は次のようになる。
- 資産運用業協会の対象商品リスト(上場ファンド)で銘柄コードを探す。 掲載されていれば、「成長投資枠取扱可能日」がその商品を買えるようになった日にあたる
- 見つからない場合、日本取引所グループの対象銘柄一覧を見る。 内国商品現物型ETF・外国ETF・外国ETF-JDR・ETN-JDRはこちらに載る。掲載されていれば「取扱い開始日」と「取扱い終了日」を確認する
- どちらにも見当たらない場合、その基準日時点では対象商品として公表されていないということになる
- 資産運用業協会の一覧で見つかった場合は、同じファイルの「削除の予定・履歴」に同じ銘柄コードが出ていないかも見る。日本取引所グループの一覧では「取扱い終了日」がその役割にあたる
リストにはそれぞれ基準日がある。資産運用業協会のリストは最終更新日、日本取引所グループの一覧は時点表示で示されている。確認した日ではなく、資料の基準日を控えておくと、後から見返したときに何時点の情報かが分かる。
よくある誤解
「東証に上場しているETFなら、NISAで買える」 上場していることと成長投資枠の対象であることは別である。本サイトが扱う70銘柄のうち11銘柄は、2つの一覧のどちらにも見当たらなかった。
「一度対象になったら、ずっと対象のまま」 削除の履歴が13件記録されている。監理銘柄・整理銘柄指定が9件、上場廃止が3件である。
「対象から外れたら、売らなければならない」 資産運用業協会の記載では、対象商品に該当しないこととなった場合でも成長投資枠での保有は続けられる。できなくなるのは新規の買付である。
「設定されたらすぐに成長投資枠で買える」 成長投資枠取扱可能日が別に定められている。設定日・設立日からの差は中央値2日だが、1671のように5,327日離れた例もある。
「リストに載っていない=対象外」 1540がこの読み違いの典型で、資産運用業協会のリストには載らないが日本取引所グループの一覧に載っている。探す一覧を1つに絞ると、もう一方が担当する商品を取りこぼす。
まとめ
成長投資枠で買えるかどうかは、公式に公表された2つの一覧で確認できる。上場投信・上場投資法人は資産運用業協会、内国商品現物型ETF・外国ETF・外国ETF-JDR・ETN-JDRは日本取引所グループである。掲載の分担は各資料の対象範囲によって決まっており、銘柄コードの見た目では区別がつかない。
一覧は固定されたものではない。削除の履歴があり、外れた場合は保有と買付で扱いが分かれる。設定日・設立日と成長投資枠取扱可能日にもずれがある。
確認するときは、どちらの一覧を見たか、その資料の基準日はいつかまでを合わせて控えておくと、後から判断の材料になる。
データの出典
本記事の数値・名称は以下の一次情報に基づく。取得日は2026年8月18日。
- 一般社団法人 資産運用業協会「一般投資家向け成長投資枠対象商品リスト(上場ファンド)」 … 最終更新日2026年7月24日。掲載416本(上場投信353・上場投資法人63)、決算回数の内訳、成長投資枠取扱可能日、「削除の予定・履歴」13件、買付可能日と保有継続に関する注記
- 日本取引所グループ「特定非課税管理勘定(NISAの成長投資枠)対象銘柄一覧」 … 2026年5月22日時点。掲載28銘柄、取扱い開始日・取扱い終了日、更新履歴
- 金融庁「新しいNISA」 … 成長投資枠から除外される商品の記載
本記事の銘柄照合は2026年8月18日時点で行った。掲載状況は各資料の更新により変わる。
買える範囲とは別に、**売ったあとに枠がどう戻るか**も制度で決まっている。復活額は簿価に基づき、再利用は翌年以降となる。この扱いはNISAで売ったら枠はどうなるかで扱っている。

