ETFの分配金利回りは何で決まるか|同じ計算式でも、いつ測るかで数字が変わる

itcareer40.jp1489分配金と利回り

1489は、日経平均の構成銘柄のうち予想配当利回りの高い原則50銘柄で作る指数に連動するETFで、決算は年4回ある。2026年4月7日決算は1口38円3か月後の7月7日決算は9円だった。そして38円が加わった時点の直近12か月合計は91円で、多い回が入ったのに、その3か月前の93円より少ない

JPXの銘柄詳細資料は、1489の分配金利回りを「直近12か月の実績分配金及び作成日の終値をもとに算出」すると注記している。分子も分母も動く。

2026年4月7日決算

38

1口あたり・課税前

2026年7月7日決算

9

3か月後の同じ銘柄

直近12か月合計

94

2026年7月7日決算まで

4回の金額は均等ではない

1489の決算日は毎年1月4月7月10月の各7日で、年4回。金額は回ごとに違う。直近7回は次のとおり(運用会社の表示は100口当たり・課税前。1口換算は本記事の計算)。

決算日100口当たり1口換算
2026年7月7日900円9円
2026年4月7日3,800円38円
2026年1月7日800円8円
2025年10月7日3,900円39円
2025年7月7日600円6円
2025年4月7日4,000円40円
2025年1月7日400円4円
1489の1回あたり分配金。直近7回。4月と10月が多く、1月と7月が少ない 横棒グラフ。1口あたり課税前で、2025年1月は4円、4月は40円、7月は6円、10月は39円、2026年1月は8円、4月は38円、7月は9円。4月と10月が1月と7月を大きく上回る 1回あたり分配金(1口あたり・課税前) 25年1月 4円 25年4月 40円 25年7月 6円 25年10月 39円 26年1月 8円 26年4月 38円 26年7月 9円 出所 NEXT FUNDS 1489 商品ページ(2026年9月8日)。100口当たりの表示を1口に換算
図1 1489の1回あたり分配金(直近7回)。4月10月が多く、1月7月が少ない。2025年4月40円2026年7月9円では4倍以上の差がある。

4月10月が多く、1月7月が少ない。2017年4月の初回決算から2026年7月までの38回のうち、4月10月19回はいずれも、同じ年の1月7月のどの回よりも多い。

分配の原資は、計算期間中の配当等収益から経費を控除した額である。運用会社は、その全額を分配することを原則とするとしており、分配金がゼロとなる場合もあるとしている。計算期間は毎年1月8日4月7日4月8日7月7日7月8日10月7日10月8日〜翌年1月7日である。

野村アセットマネジメントは、組入株式の配当落ち後に分配原資が確定すると説明している。また、組入株式の決算日が3月末でETFの決算日が4月7日であれば、その期間は1週間程度になるとしている。

最小は2020年7月7日決算の70円1口0.70円)、最大は2025年4月7日決算の4,000円1口40円)で、約57倍の差がある(本記事の計算)。なお1489は2024年1月19日に1対30の分割を行っており、運用会社は分割前の分配金について、修正した受益権口数を用いて算出した値を表示している。分割前後の金額はそのまま並べて読める。

参照:NEXT FUNDS 1489 商品ページ/野村アセットマネジメント 1489 月次レポート/JPX 銘柄詳細資料 1489/NEXT FUNDS 深掘りETF④・深堀りETF⑳

多い回が入っても、直近12か月の合計は減ることがある

JPXの銘柄詳細資料の注記どおり、分子は直近12か月の実績分配金である。1489は年4回型なので、この12か月には決算が4回入る。1回入れば、1回抜ける。

直近の決算12か月に入る4回合計(100口1口換算
2025年10月7日2025年1月4月7月10月8,900円89円
2026年1月7日2025年4月7月10月2026年1月9,300円93円
2026年4月7日2025年7月10月2026年1月4月9,100円91円
2026年7月7日2025年10月2026年1月4月7月9,400円94円

2026年4月7日決算では3,800円が入り、2025年4月7日決算の4,000円が抜けた。入るのも抜けるのも4月分なので、12か月に入る回数は変わらない。変わるのは金額である。差は200円で、直近12か月合計は9,300円から9,100円へ減った。1口あたりでは93円から91円である。2026年に公表済みの3回では最も多い1口38円が支払われた決算で、この分子は減った

JPXの銘柄詳細資料(作成日2026年2月27日)は、1口あたり分配金を93円と記載している。2026年1月7日決算までの4回の合計と一致する。同じ資料の分配金利回りは2.74%で、93円を作成日の終値3,398.0円で割った値と一致する。注記どおりの計算である。

参照:JPX 銘柄詳細資料 1489(作成日 2026年2月27日)/NEXT FUNDS 1489 商品ページ

同じ「利回り」が、実績と予想の2つを指している

本記事が参照した資料には、1489の利回りが2つ載っている。性質が違う。

1489について示されている利回り。本記事が参照した資料に載っている値2つと、本記事が一次情報から計算した値2つ 横棒グラフ。参照した資料に載っている値は2つで、JPX銘柄詳細資料の分配金利回りが2.74%(直近12か月の実績分配金93円を作成日の終値3,398.0円で割った値)、指数の予想配当利回りが3.5%(構成銘柄の予想配当利回りを構成比で加重平均した値)。本記事の計算は2つで、実績94円を2026年9月8日の終値3,499円で割ると2.69%、2026年9月7日の基準価額3,570.28円で割ると2.63%。2.74%と2.69%は同じ算出方法で、基準日と分子が違う 1489について示されている利回り 参照した資料に載っている値 JPX 分配金利回り 2026年2月27日 実績 93円 ÷ 終値 3,398.0円 2.74% 指数の予想配当利回り 2026年8月31日 構成銘柄の予想を加重平均 3.5% 本記事の計算(一次情報の数値から算出) 終値で割る 2026年9月8日 実績 94円 ÷ 3,499円 2.69% 基準価額で割る 2026年9月7日 実績 94円 ÷ 3,570.28円 2.63% 出所 JPX 銘柄詳細資料 1489/NEXT FUNDS 1489 商品ページ 野村アセットマネジメント 1489 月次レポート
図2 1489について示されている利回り。本記事が参照した資料に載っているのは、実績にもとづく分配金利回り 2.74% と、指数の予想配当利回り 3.5%2つ。下の2つは本記事の計算値で、2.69%2.74% と同じ算出方法(直近12か月の実績分配金を終値で割る)を別の基準日に当てたもの、2.63% は分母を基準価額に変えた試算である。

1つはJPXの銘柄詳細資料の分配金利回り2.74%で、直近12か月の実績分配金93円を作成日の終値3,398.0円で割った値である。もう1つは月次レポートの指数の予想配当利回り3.5%で、指数値に占める各銘柄の構成比率で加重平均した予想配当利回り(出所 日本経済新聞社)である。

3.5%はETFが実際に支払った分配金ではない。ETFの側では信託報酬年0.308%と対象株価指数に係る商標使用料年0.055%が純資産から差し引かれ、分配の原資は配当等収益から経費を控除した額になる。実績にもとづく分配金利回りと、指数の予想配当利回りは別の指標である

実績のほうは、分母の取り方が資料によって違う。JPXは作成日の終値を使うと注記している。アモーヴァ・アセットマネジメントは、自社のETFの分配金利回りについて「過去1年に支払われた分配金合計額を算出基準日の基準価額で除したものを表示しています」と説明している。終値と基準価額は算出方法が異なるため、一致するとは限らない。

1489の直近の数字で試算すると(いずれも本記事の計算)、実績94円2026年9月8日の終値3,499円で割ると2.69%2026年9月7日の基準価額357,028円100口1口あたり3,570.28円で割ると2.63%になる。ただしこの2つは基準日が1日違うので、方式の差だけを表す値ではない。またJPXの2.74%とこの2.69%は、算出方法が同じで基準日と分子が違うだけである(93円94円)。

参照:JPX 銘柄詳細資料 1489/NEXT FUNDS 1489 商品ページ/野村アセットマネジメント 1489 月次レポート/アモーヴァ・アセットマネジメント ETFの分配金とは

1口あたりの分配金は、受け取った配当の額だけでは決まらない

1口あたりの分配金は、分配原資をファンドの口数で割ったものである。原資が決まっても、決算日までに口数が動けば1口あたりは変わる。

大和アセットマネジメントは、ETFには「非上場の投資信託と異なり、収益調整金と分配準備積立金の勘定はなく、また売買益も分配対象額になりません」と説明している。野村アセットマネジメントの月次レポートにも「売買益が生じても、分配は行ないません」とある。

野村アセットマネジメントは「配当落ち後の機関投資家等による設定や交換(解約)の結果、分配金の希薄化や濃縮化が起こり、分配金が増減することがあります」としている。設定が増えれば口数が増えて1口あたりは減り(希薄化)、解約が増えれば口数が減って1口あたりは増える(濃縮化)。同社が示している例は、純資産440・口数4のファンドで分配金が10、口数が5に増えると8になるというもので、仮の数値である。

1489では対策が公表されている。決算日の短縮化で、組入株式の決算日が3月末、ETFの決算日が4月7日なら、その期間は1週間程度になる。あわせて申込不可日を、決算日の前月最終営業日の2営業日前から決算日の前営業日までに設定している。いずれも口数が動く日数を減らすものである。

口数の動きも1口あたりの分配金を変え得る。ただし1489の各回でどれだけ効いたかは、公表資料から確認できない

参照:NEXT FUNDS 深掘りETF④/NEXT FUNDS 深堀りETF⑳/大和アセットマネジメント 用語集 分配金の濃縮化・希薄化/野村アセットマネジメント 1489 月次レポート

では何を見るか

見る数字は4つ

  • 実績か、指数の予想か|実績にもとづく分配金利回りと、指数の予想配当利回りは別の指標である。1489では2.74%3.5%が同じ「利回り」の語で並んでいる
  • 分子の12か月に、どの年の同じ月が入っているか|入る回数は年4回で変わらない。変わるのは同じ月の前年分と当年分の金額で、そこで合計が動く
  • 分母が終値か基準価額か|JPXは作成日の終値、アモーヴァは算出基準日の基準価額と説明している。算出方法が違うため一致するとは限らない
  • 分子と分母の基準日が揃っているか|揃っていない数字は、方式の差も水準の差も表さない。本記事の2.69%2.63%は基準日が1日違うので、その例である

回数・支払基準日・権利付き最終日・税引後の手取りは 1489の分配金はいつ・いくら?年4回の実績と利回りの読み方。商品としての位置づけは 1489|NEXT FUNDS 日経高配当50とは。組入と集中度は 1489の組入銘柄チェック:上位10・業種TOP5・集中度で見えること。保有を続ける条件は 1489の保有継続条件と見直しトリガー。決算が年2回の399Aとの比較は 399A vs 1489|日経高配当ETF徹底比較

数値の基準

分配金実績
NEXT FUNDS 1489 商品ページ(ページ基準日 2026年9月8日
終値・基準価額
終値 3,499円2026年9月8日)/基準価額 357,028円100口2026年9月7日
分配金利回り 2.74%
JPX 銘柄詳細資料 1489(作成日 2026年2月27日
指数の予想配当利回り 3.5%
野村アセットマネジメント 1489 月次レポート(作成基準日 2026年8月31日
取得日
2026年9月8日

この記事で言えないこと

  • 本記事の計算値… 直近12か月合計と1口換算、2.69%2.63%、約57倍4倍以上は本記事が一次情報の数値から計算した値であるため、運用会社やJPXがその形で公表している数値ではない。本記事が参照した資料に載っている利回りは、JPXの分配金利回り 2.74% と、指数の予想配当利回り 3.5%2つ。他の資料に別の利回りが載っているかは確かめていない。
  • 2.69%2.63%基準日が1日違う(終値は2026年9月8日、基準価額は9月7日)ため、分母の方式の差だけを表す値ではない。
  • 4月10月の分配が多い理由は書いていない。運用会社が明示した資料を確認できなかったためで、公表されているのは計算期間と、組入株式の配当落ち後に原資が確定することまでである。
  • 本文の濃縮化・希薄化は、運用会社が説明している仕組みと仮の数値例までである。特定の銘柄・特定の決算回で実際に起きたことを数値で公表した資料を確認できなかったため。
  • 2020年7月7日決算の1口0.70円がなぜ小さいのかは、公表資料から切り分けられなかった。配当の計上時期、組入銘柄の配当の変化、口数、経費のどれがどれだけ効いたかを分ける材料が無い。
  • 2025年末の終値は運用会社とJPXの公表資料から取得できなかったため、分母の比較には基準日つきの公表値を使った。
  • 2026年10月7日決算の分配額は未公表である。このため本文の「最も多い」は、2026年に公表済みの3回1月4月7月)の中での比較である。上場来では2025年4月1口40円が最大である。

データの出典

本記事の数値・名称は以下の一次情報に基づく。分配金実績と価格の掲載元となる商品ページの基準日は2026年9月8日(各回の分配金にはそれぞれの決算日がある)、月次レポートの作成基準日は2026年8月31日、JPX 銘柄詳細資料の作成日は2026年2月27日である。取得日は2026年9月8日

Sho
Sho

業務系SEとして長年

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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