オルカンとVTの違い|同じ全世界の株でも、指数と分配金の出し方、買うときの値段が違う

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itcareer40.jp比べて選ぶオルカン・VT

オルカンもVTも全世界の株に投資するので、中身は同じだと思っていませんか。実際には、連動を目指す指数(複数の銘柄の値動きをまとめた値)も、商品の形も、分配金の出し方も違います。

オルカンは日本の投資信託で、VTはNYSE Arcaという取引所に上場するETFです。ETFは、証券取引所に上場する投資信託を指します。

資料に載る保有の数は、オルカンが2,359銘柄、VTが10,100行です。ただし、時点も数え方も異なるため、この数字をそのまま比較することはできません。両商品の違いを一覧にすると、次のようになります。

項目 オルカン VT
正式な名前 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) Vanguard Total World Stock ETF
商品の形 日本の投資信託 NYSE Arcaに上場するETF
連動を目指す指数 MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス FTSE Global All Cap Index
指数が対象にする株 大型株・中型株 大型株・中型株・小型株
資料に載る保有の数 2,359銘柄(2026年9月30日) 10,100行(2026年7月31日)
費用の率(年率) 信託報酬 0.05775%以内(上限)・総経費率 0.07%(第8期の参考値) 経費率 0.06%(費用の合計)
分配金 原則として抑える方針(設定来の累計0円・2026年9月30日) 純利益からの分配は原則として四半期ごと
買うときの値段 申込日の翌営業日の基準価額 取引所の市場価格

信託報酬は、ファンドの資産から間接的に負担する運用管理費用です。総経費率は、費用の総額から計算した年率の参考値です。経費率は、VTの年間の運用費用の合計を指します。表の費用の率は、上限の率・過去の期間の参考値・費用の合計と性質が違うので、大小を比べることはできません。

分配金は、運用で得た収益を口数に応じて投資家に分配するお金です。表のVTの純利益は、利息と配当から費用を引いたものです。基準価額は、日々算出される投資信託の値段です。市場価格は、取引所で売買されるときの値段です。

大型株・中型株・小型株は、時価総額などで分けた株の大きさの呼び方です。時価総額は、株式をその時点の株価で評価した金額を指します。VTの「行」は、SEC(証券取引委員会)に提出する保有報告書の行数で、同じ会社でも種類の異なる株は別々に数えます。表から分かるのは、両商品では投資対象の範囲だけでなく、分配や売買の仕組みも異なるということです。

オルカンもVTも全世界の株を持つので、どちらも同じものだと思っていました。資料を並べると、指数が含む株の大きさや分配金の出し方まで違い、名前の「全世界」だけでは同じとは言えないと感じました。

MSCI ACWI の構成銘柄数(大型株・中型株。2026年9月30日の MSCI のファクトシート)

2,414

オルカンの分配金(設定来の累計。2026年9月30日の月次レポート)

0円

VT の年間の運用費用の合計(2026年2月27日の要約目論見書)

0.06%

オルカンの信託報酬(上限の率)とは性質が違い、大小は比べられません

オルカンとVTは、どの指数に連動し、何を持っているのか

オルカンは大型株と中型株の指数、VTは小型株まで含む指数への連動を目指しています。

オルカンの正式名称は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。三菱UFJアセットマネジメントが運用する追加型の投資信託で、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)への連動を目指します。

オルカンのベンチマークは、この指数の配当込み・円換算ベースの値です。ベンチマークは、運用実績を評価・測定するための基準となる指標です。

配当込みの指数は、配当収益を考慮して計算する指数です。円換算ベースの値は、米ドルベースの値をもとに運用会社が計算したものです。

オルカンは、外国株式・新興国株式・日本株式の3つのマザーファンドを通じて投資します。これはファミリーファンド方式と呼ばれ、資金を親となる投資信託にまとめ、そこから株式などに投資する仕組みです。

また、原則として為替ヘッジは行いません。為替ヘッジとは、外貨建て資産を持つ際に、為替リスクを小さくするための手法です。

一方、VTは、Vanguard Total World Stock Index Fundというファンドに設けられた持分の種類の一つで、取引所で売買されるもの(ETFのシェアクラス)です。NYSE Arcaに上場しています。

運用は、The Vanguard Groupが子会社のVanguard Capital Managementを通じて行っています。

連動を目指すのは、FTSE Global All Cap Indexです。

MSCI ACWIは、23の先進国と24の新興国の大型株・中型株を対象にしています。MSCIのファクトシートでは、世界の投資可能な株式のおよそ85%をカバーする指数です。

同資料に載る構成銘柄数は2,414です。これは指数そのものの構成銘柄数で、オルカンが実際に保有する銘柄数とは別の数字です。

対して、FTSE Global All Cap Indexは世界の大型株・中型株に加え、小型株も対象にしています。

VTはサンプリングという方法で運用しています。これは指数の全銘柄を持つのではなく、全体として指数に近くなる範囲の証券を保有する方法です。

オルカンの月次レポートでは、2026年9月30日時点の組入銘柄数は2,359銘柄です。

VTの保有は、SECに提出されたN-PORTに載っています。N-PORTは、ファンドが保有する資産などを報告する書類です。

2026年7月31日のN-PORTには、保有資産が10,100行記載されています。

ただし、この行数は会社の数ではありません。例えばAlphabetは、種類の異なる株が2行に分かれています。オルカンの組入銘柄数とは数え方が異なり、資料の時点も一致していません。

それぞれの資料に載る米国の割合は、次のとおりです。

オルカンの月次レポートでは、アメリカの組入比率は63.4%です。外国株式では主な取引所の所在地、新興国株式では法人登録地を使って国・地域を分類しています。

VTのN-PORTで、国の欄がUSとなっている行の割合を合計すると62.74%です。ただし、分類方法と時点が違うため、2つの比率を直接比較することはできません。

全世界の株に投資する商品であっても、保有資産が国ごとに均等に分かれているわけではありません。

組入上位の銘柄にも共通点があります。

オルカンの上位銘柄は、NVIDIA、Apple、Microsoftの順です。月次レポートでの比率は、それぞれ5.0%、4.6%、3.4%となっています。

VTのN-PORTでも、上位はNVIDIA、Apple、Microsoftの順です。ただし、こちらは2026年7月31日の資料で、オルカンの資料とは時点が違います。

全世界の株に投資するという点は共通しています。しかし、どの指数を基準にするか、その指数がどの大きさの株まで含むかという点では、両商品は異なります。

参照:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年9月30日現在・2026年10月15日取得)、MSCI「MSCI ACWI Index (USD)」Index Factsheet(2026年9月30日・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock ETF」Summary Prospectus(497K)(2026年2月27日・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock Index Fund」Form N-PORT-P(2026年7月31日・2026年10月15日取得)、JPX 用語集「時価総額」(2026年10月15日取得)、JPX 用語集「大型株」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「ETF」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「ベンチマーク」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「ファミリーファンド」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「為替ヘッジ」(2026年10月15日取得)、JPX 用語集「配当込み株価指数」(2026年10月15日取得)

分配金は、オルカンは原則として抑える方針、VTは純利益からの分配が原則として四半期ごと

オルカンは分配金を原則として抑える方針で、VTは純利益からの分配を原則として四半期ごとに行います。

オルカンは、年1回の決算で分配金額を決めます。決算日は4月25日で、休業日の場合は翌営業日です。

月次レポートには、次のように記載されています。

『分配金額の決定にあたっては、信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針とします。』

実際に、第8期(2026年4月27日)までの分配金はすべて0円でした。設定来の累計分配金も0円です。

ただし、今後も分配金が出ないと決まっているわけではありません。月次レポートには、次の注意書きがあります。

『将来の分配金の支払いおよびその金額について保証するものではありません。』

一方、VTは、純利益(利息と配当から費用を引いたもの)からの分配を原則として四半期ごとに行う仕組みです。分配の月は、原則として3月・6月・9月・12月です。また、保有資産の売却で確定した利益からの分配がある場合は、原則として年に一度、12月に行われます。

参照:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年9月30日現在・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock ETF」Prospectus(485BPOS)(2026年2月27日・2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「分配金」(2026年10月15日取得)

費用と、買うときの値段の決まり方は、どう違うのか

費用の数字は、オルカンの信託報酬が上限の率、VTの0.06%が費用の合計で、性質が違います。買うときの値段は、オルカンが翌営業日の基準価額、VTが取引所の市場価格です。

オルカンの信託報酬は、日々の純資産総額に対して年率0.05775%(税抜 年率0.0525%)以内です。純資産総額は、ファンドの資産から費用などを差し引いた金額を指します。

信託報酬は、保有するファンドの資産から間接的に負担する費用です。オルカンには、購入時手数料と信託財産留保額がありません。信託財産留保額は、信託期間の途中に投資信託を換金した場合に徴収する金額です。

交付運用報告書に載る第8期の総経費率は、年率0.07%です。ただし、資料には実際に発生した費用の比率とは異なる、あくまでも参考の値と記載されています。

一方、VTの年間の運用費用の合計は0.06%です。内訳は運用会社への報酬が0.05%、その他の費用が0.01%となっています。

オルカンの信託報酬は、年率の上限を示しています。VTの経費率は、年間の運用費用の合計です。このため、両者の数値をそのまま並べて大小を判断することはできません。

オルカンで費用の合計にあたるのは、交付運用報告書の総経費率です。こちらも参考値という条件が付いています。

また、VTは証券会社を通じて取引所で売買します。売買の際には、証券会社が手数料を取ることがあります。

オルカンは、購入申込受付日の翌営業日の基準価額で購入します。基準価額は1万口あたりで表示されます。購入を申し込んだ日の値段で買う仕組みではありません。

VTはNYSE Arcaに上場するETFです。取引所で売買され、そのときの市場価格が売買価格になります。

市場価格は、1口あたりの純資産価値(NAV)より高くなる場合も、低くなる場合もあります。市場価格がNAVを上回る状態はプレミアム、下回る状態はディスカウントと呼ばれます。

なお、オルカンはNISAの成長投資枠とつみたて投資枠の対象です。

参照:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年9月30日現在・2026年10月15日取得)、三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」交付運用報告書(第8期)(決算日 2026年4月27日・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock ETF」Summary Prospectus(497K)(2026年2月27日・2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「純資産総額」(2026年10月15日取得)、資産運用業協会 用語集「信託財産留保額」(2026年10月15日取得)

確かめた違いを、4つの点で並べると

ここからは、この記事で確かめた資料から、そのまま導ける範囲の整理です。どちらを選ぶかを決めるものではありません。

  • 指数が対象にする株の大きさ:オルカンの指数は大型株と中型株、VTの指数は小型株までを対象にしています。

  • 分配金の出し方:オルカンは分配を原則として抑える方針で、VTは純利益からの分配を原則として四半期ごとに行います。

  • 買うときの値段:オルカンは翌営業日の基準価額で購入し、VTは取引所の市場価格で売買します。

  • 費用の率:オルカンの信託報酬は上限の率、VTの経費率は費用の合計で、数字の性質が違います。

オルカンは大型株と中型株の指数・分配を原則として抑える方針・翌営業日の基準価額での購入、VTは小型株まで含む指数・純利益からの原則として四半期ごとの分配・取引所の市場価格での売買という作りです。

参照:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年9月30日現在・2026年10月15日取得)、三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」交付運用報告書(第8期)(決算日 2026年4月27日・2026年10月15日取得)、MSCI「MSCI ACWI Index (USD)」Index Factsheet(2026年9月30日・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock ETF」Summary Prospectus(497K)(2026年2月27日・2026年10月15日取得)、SEC EDGAR「Vanguard Total World Stock ETF」Prospectus(485BPOS)(2026年2月27日・2026年10月15日取得)

この記事で言えないこと

  • VT の NISA の扱いは書いていません。この記事で使った資料に、その記載が無いためです。
  • 分配金にかかる税金と手取りは書いていません。この記事は商品の作りを比べるもので、税金はその範囲の外のためです。
  • オルカンと VT の過去の騰落率は書いていません。この記事は商品の作りを比べるもので、値動きはその範囲の外のためです。

数値の基準日

オルカン 月次レポートの基準日
2026年9月30日
オルカン 交付運用報告書(第8期)の決算日
2026年4月27日
MSCI ACWI ファクトシートの基準日
2026年9月30日
VT 要約目論見書・目論見書(SEC EDGAR)の日付
2026年2月27日
VT N-PORT(SEC EDGAR)の報告日
2026年7月31日
資料を取得した日
2026年10月15日

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出典

Sho
Sho

業務系SEとして長年

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

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