VTとVTIの違い|分かれ目は銘柄数ではなく、米国以外がどれだけ入るか

itcareer40.jpVT と VTI全世界と全米

VTとVTIの違いは、「世界を持つか、米国を持つか」の差に見えます。しかし、どちらも中身の大半は米国です。

運用会社の商品ページは、2026年8月31日現在の米国以外の保有比率を、VTが37.7%、VTIが0.2%としています。VTIにも米国以外は入っています。 違うのは、それが37.7%を占めるか、0.2%にとどまるかです。仮にVTを100万円分持ったとすると、米国以外はおよそ38万円にあたります。キリのいい数字を置いた計算例で、売買や為替の影響は含みません。

VTの米国以外

37.7%

2026年8月31日現在

VTIの米国以外

0.2%

2026年8月31日現在

上位10銘柄(VTI)

33.4%

純資産に占める比率

VTの市場別配分は50区分ある

商品ページは、2026年8月31日現在のVTの市場別配分を50区分で出しています。49が国・地域の名前で、残り1つは「その他」です。いちばん大きいのが米国の62.0%で、米国を除いた上位10は次のとおりです。

市場 比率
日本 5.9%
台湾 3.3%
イギリス 3.2%
カナダ 3.1%
中国 2.7%
韓国 2.4%
スイス 1.9%
フランス 1.9%
ドイツ 1.8%
インド 1.7%

米国を除く上位10区分の合計は27.9ポイントになります。米国とこの10を除くと、38の国・地域と「その他」が残ります。ただし、うち10区分は表示が0.0%です。50区分すべてに保有があるとは限りません。

この27.9ポイントは、冒頭の37.7%の内数ではありません。 同じ商品ページでも別の項目で、米国の62.0%と米国以外の37.7%を足した合計は99.7%です。同じページには短期準備0.7%の記載もあります。分母がそろっていないので、足し引きはできません。

VTIのほうは連動対象が米国市場です。ファクトシートは「米国株式市場の投資可能な企業のおよそ100%を表す」指数に連動するとしています。実際の保有でも米国以外は0.2%で、ゼロではありませんが、VTとは桁が違います。

上位10銘柄への寄りは、銘柄数の少ないVTIのほうが強い

ここからは、ファクトシートの2026年6月30日現在の数字です。銘柄数はVTのほうが多いのに、上位10銘柄が占める比率はVTIのほうが高くなっています。

VT VTI
銘柄数 10,048 3,531
上位10銘柄が純資産に占める比率 21.7% 33.4%
NVIDIA 4.0% 6.4%
Apple 3.6% 5.9%
Alphabet 3.2% 5.2%
Microsoft 2.4% 3.8%
Amazon.com 2.0% 3.2%

同じ企業の比率は、VTIがVTの1.6倍前後です。「全米」は銘柄数では広いのですが、上位への寄りはVTより強いということです。

この記事には分母も基準日も違う比率が並んでいます。 市場別配分は商品ページの2026年8月31日現在、上位10銘柄はファクトシートの2026年6月30日現在で純資産に対する比率、米国以外の保有比率は商品ページの別項目です。それぞれの資料の表記に合わせているので、互いに足したり引いたりはできません。

セクターも、ファクトシートの2026年6月30日現在で上位集中と同じ向きに出ています。

セクター VT VTI
テクノロジー 33.3% 41.0%
資本財 13.4% 12.5%
一般消費財 11.1% 12.3%
金融 14.6% 10.0%
ヘルスケア 7.9% 9.1%

テクノロジーの比率は7.7ポイント違い、金融のほうは逆にVTが4.6ポイント高い値です。

指標の出方も揃わない

ファクトシートに並ぶ2026年6月30日現在の指標も、2つで向きが分かれます。

VT VTI
時価総額の中央値 $156.9B $336.5B
株価収益率 22.8倍 27.0倍
株価純資産倍率 3.4倍 4.9倍
標準偏差(直近3年の月次) 12.40% 13.45%
設定日 2008年6月24日 2001年5月24日
ETFの純資産 77,627百万ドル 663,488百万ドル
分配 四半期ごと 四半期ごと

時価総額の中央値はVTのほうが小さく、標準偏差もVTが12.40%、VTIが13.45%でVTのほうが小さい値です。この差が何によるかは、ファクトシートに説明がありません。 ファクトシートは、過去の成績が将来を保証しないとしています。

コストの差は0.03ポイント

経費率はVTが0.06%、VTIが0.03%で、差は0.03ポイントです。年間の平均残高が100万円で、記載の経費率が変わらないと仮定した単純計算では、この差は約300円になります。経費率は残高に対して継続してかかるもので、ファクトシートは現在の経費率が記載値より上下しうるとも注記しています。

VTIの指数名は、いま資料によって違う

同じ運用会社の資料で、VTIの連動指数の名前が2つあります。

資料 記載
ファクトシート(2026年6月30日現在) CRSP US Total Market Index
商品ページ(2026年9月22日取得) Morningstar US Total Market Index

ファクトシートは、Morningstarによる CRSP の買収にともない、指数とファンドの名称を CRSP から Morningstar へ変更すると説明し、「変更は2026年7月に行われる予定」としています。商品ページのほうは、すでに変更後の名前です。

指数を別のものへ入れ替えたのではなく、名前が変わったというのがファクトシートの説明です。資料の版によってどちらの名前も出てきますが、別の指数ではありません。改称が実際に行われた日付は、この記事で取得した資料には出ていません。

比較の軸

資料から確認できる差を並べます。基準日は行ごとに違います。

見る軸 確認できる差 基準日
米国以外の保有比率 VT 37.7% / VTI 0.2% 2026年8月31日
上位10銘柄への寄り VT 21.7% / VTI 33.4%(純資産に対する比率) 2026年6月30日
テクノロジーの比率 VT 33.3% / VTI 41.0% 2026年6月30日
銘柄数 VT 10,048 / VTI 3,531 2026年6月30日
経費率 VT 0.06% / VTI 0.03% 2026年6月30日

どの軸を重く見るかは、取得した資料からは決まりません。 ここに並べたのは、2つのあいだで実際に開いている差です。

次に読む

この記事で言えないこと

  • 日本の証券会社でNISAの成長投資枠の対象になるかは、取得した資料に記載が無いため書いていません。
  • どちらの成績が良くなるかは、資料が将来を示していないため書いていません。
  • 指数の改称が実際に行われた日付は、確定日を示す資料を取得できていないため特定していません。
  • 日本の投資家についての為替の影響と税引後の手取りは、日本の税制と円換算後の金額を示す資料を取得できていないため書いていません。
  • すべての項目を同じ基準日にそろえた比較表は、上位10銘柄が商品ページに無く、セクター配分もVT側が用意されていないため作れていません。

この記事で確認できなかったこと

  • 日本の証券会社でNISAの成長投資枠の対象になるかは書いていません。 この記事で取得した資料に記載が無いためです
  • どちらの成績が良くなるかは書いていません。 ファクトシートが過去の成績は将来の結果を保証しないとしており、将来を示す記載が無いためです
  • 指数の改称が実際に行われた日付は特定していません。 ファクトシートが「2026年7月に予定」とするにとどまり、確定日を示す資料を取得できていないためです
  • 日本の投資家についての為替の影響と税引後の手取りは書いていません。 ファクトシートは米国以外の証券に為替リスクがあると記載し、商品ページには米国の税制による税引後リターンがありますが、日本の税制と円換算後の金額を示す資料を取得できていないためです
  • すべての項目を同じ基準日にそろえた比較表は作れていません。 市場別配分は商品ページの2026年8月31日現在、上位10銘柄とセクターはファクトシートの2026年6月30日現在です。商品ページにも2026年8月31日現在の銘柄数や指標はありますが、上位10銘柄が無く、セクター配分はVT側が用意されていないためです

数値の基準日

確認した日
2026年9月22日
商品ページの市場別配分と保有比率
2026年8月31日現在
ファクトシートの銘柄数・セクター・指標
2026年6月30日現在

出典