itcareer40.jpETFの基礎用語の辞典
ETFの資料には、呼び名が違っても同じものを指す言葉と、似ていても別の種類の価格を指す言葉があります。
ETF(証券取引所に上場する投資信託)の月次レポートにある基準価額は、取引所で売り買いする値段そのものではありません。ETFを見始めた人が、資料の用語で取り違えやすいところです。
基準価額は1日1回、ETFが持つ資産を前日の終値(1日のうちで最後に取引された値段)で計算します。市場価格は取引時間中に動きます。資料によっては、同じ会社を違う呼び名で書くこともあります。
言葉の意味は資産運用業協会とJPX(日本取引所グループ)の用語集で確かめます。出てくる場所は、JPXプライム150指数のETFである2017と159Aの資料で示します。下の図1は、資料ごとに出てくる主な言葉を並べた地図です。
交付目論見書の言葉|会社と人・期間・費用
交付目論見書には、ETFにかかわる会社と人、運用の期間と決算、費用の言葉が出てきます。
交付目論見書(費用や運用の内容などを書いた、投資信託の説明書)の最初のページには、委託会社と受託会社があります。次の表は、会社と人を表す言葉と、資料に出る場所を並べたものです。
| 言葉 | 意味 | 資料のどこに出るか |
|---|---|---|
| 委託会社 | ETFを運用する会社。受託会社に運用の指図(指示)をし、受託会社がそれに基づいて運用を執行する。運用会社とも呼ぶ | 交付目論見書の最初のページ(2017・159Aとも) |
| 受託会社 | 委託会社と信託契約を結び、ETFの財産の保管と管理をする信託銀行 | 交付目論見書の最初のページ(2017・159Aとも) |
| 販売会社 | 証券会社など、投資家の窓口になる会社 | 交付目論見書の費用の表や照会先 |
| 受益者 | ETFの権利(受益権)を持つ人。ETFを持つ人のこと | 交付目論見書の「受益者の意向を確認」など |
ETFを運用する会社と、財産を保管・管理する会社は別です。ETFを持つ人は、資料では受益者と書かれます。下の図2は、委託会社・受託会社・受益者・販売会社の関係を示します。
次の表は、期間と決算、指数に関する言葉と、資料に出る場所を並べたものです。信託期間と繰上償還は、2017・159Aとも交付目論見書の同じページにあります。
| 言葉 | 意味 | 資料のどこに出るか |
|---|---|---|
| 当初設定日 | ETFの運用がスタートした日 | 交付目論見書の信託期間の欄(2017は2024年1月22日) |
| 信託期間 | 設定日から償還日までの期間。2017・159Aとも無期限 | 交付目論見書の信託期間の欄 |
| 決算日 | 計算期間の最後の日で、損益などが確定する日 | 交付目論見書と月次レポート(2017は毎年4月10日と10月10日) |
| 繰上償還 | 信託期間が終わる前に償還されること。償還は、運用を終えてETFを持つ人にお金を返すこと | 交付目論見書の繰上償還の欄(条件が書いてある) |
| 対象株価指数 | ETFが連動を目指す株価指数。株価指数は、株の相場全体の状況を数値にしたもの | 交付目論見書(2本ともJPXプライム150指数(配当込み)) |
2017・159Aとも、信託期間は無期限です。ただし、あらかじめ決められた条件にあたると、途中で償還されることがあります。下の図3は、2017を例に、当初設定日から決算日をくり返す流れを示します。
次の表は、費用の表に出る言葉と、負担の分け方を並べたものです。費用の表には、販売会社が決める手数料と、ETFの財産から払われる費用が並んでいます。
| 言葉 | 意味 | 資料のどこに出るか |
|---|---|---|
| 運用管理費用(信託報酬) | 運用と管理の対価として、ETFの財産から日々差し引かれる費用 | 交付目論見書の費用の表(信託財産で間接的に負担する費用) |
| 信託財産留保額 | 途中で換金するときに差し引かれるお金。2017・159Aとも「ありません」 | 交付目論見書の費用の表(直接的に負担する費用) |
| 売買委託手数料 | ETFが株などを売買するときに払う手数料。ETFの財産から払われる | 交付目論見書の費用の表 |
| 監査の費用 | ETFの計算が公正に行われているかを監査する費用(監査報酬) | 交付目論見書の費用の表 |
交付目論見書の費用の表は、投資者が直接的に負担する費用と、投資者が信託財産で間接的に負担する費用に分かれます。信託報酬は後ろの欄にあります。下の図4は、費用の表の2つの欄と、そこに入る主な費用を示します。
参照:2017・159Aの交付目論見書、資産運用業協会とJPXの用語集
月次レポートの言葉|基準価額・口数・分配金
月次レポートの基準価額は、2017・159Aとも100口当たりの値で書かれています。
次の表は、月次レポートに出る言葉と、資料に出る場所を並べたものです。例の月次レポートは、2017・159Aとも2026年9月30日の資料です。
| 言葉 | 意味 | 資料のどこに出るか |
|---|---|---|
| 基準価額 | 純資産総額を口数で割った、1口あたりの資産の価値。毎日計算される | 月次レポート(2本とも100口当たりで表示) |
| 純資産総額 | ETFの資産から、運用に必要な費用などを差し引いた額 | 月次レポートの基準価額・純資産の推移など |
| 口数 | ETFの権利(受益権)を数える単位。JPXは前月末時点の各銘柄の受益権口数を載せている | 月次レポートの「100口当たり」、JPXの銘柄詳細資料の「受益権口数」 |
| 分配金 | 運用で得た収益を、口数に応じて決算ごとに分けるお金。出ないこともある | 月次レポートの分配金の欄(100口当たり) |
| ベンチマーク | 運用の実績を測る基準になる指標 | 2017の月次レポート(JPXプライム150指数(配当込み)をベンチマークとしている) |
| 組入銘柄 | ETFの財産が持っている個々の株など。持っている株などの集まりは、ポートフォリオという | 月次レポートの「組入上位10銘柄」(2本とも) |
| 先物 | 将来の決まった日に、決めた値段で取引する約束(先物取引) | 2017の月次レポートの資産別構成の注記、159Aの月次レポートの指数先物の比率 |
基準価額は、純資産総額を口数で割った値です。資料の値が100口当たりなら、100で割ると1口あたりの値になります。
連動を目指す指数は、月次レポートでベンチマークと書かれることもあります。下の図5は、純資産総額から1口あたりの基準価額を出す関係を示します。
参照:2017・159Aの月次レポート、JPXの2017の銘柄詳細資料・基準価額等に関する情報、資産運用業協会の用語集
JPXの資料と売買の言葉|売買単位・iNAV・マーケットメイク
JPXの銘柄詳細資料には、運用する会社を書く管理会社や、連動を目指す指標を書く対象指標の欄があります。
次の表は、JPXの資料と売買に出る言葉と、資料に出る場所を並べたものです。例の銘柄詳細資料は、2017の2026年2月27日現在のものです。
| 言葉 | 意味 | 資料のどこに出るか |
|---|---|---|
| 管理会社 | ETFを運用する会社のJPXの資料での呼び名。2017では、交付目論見書の委託会社と同じ会社 | JPXの銘柄詳細資料とETFの銘柄一覧 |
| 対象指標 | ETFが連動を目指す指標。2017では、交付目論見書の対象株価指数と同じ指数 | JPXの銘柄詳細資料(2017はJPXプライム150指数(配当込み)) |
| 売買単位 | 1回の売買で扱う数量の単位。ETFは商品ごとに違い、価格×売買単位が最低の売買金額になる | JPXの銘柄詳細資料(2017は1口単位) |
| 分配金支払基準日 | この日にETFを持っている人(受益者)に、分配金が支払われるという基準の日 | JPXの銘柄詳細資料(2017は毎年4月10日、10月10日) |
| 市場価格 | 取引所で売り買いされる値段。取引時間中はリアルタイムで動く | JPXの銘柄詳細資料の「市場価格(終値)」 |
| インディカティブNAV(iNAV) | 取引時間中に計算される、1口あたりの推定の価値。15秒毎に計算される | JPXの銘柄詳細資料の情報入手一覧、ETFの銘柄一覧の「iNAV」の印 |
| PCF | ETFが持っている銘柄ごとの株数や先物の数などを並べたファイル | JPXの銘柄詳細資料の情報入手一覧 |
| マーケットメイク | マーケットメイカー(指定された証券会社など)が売りと買いの注文を出し続け、その値段で売買できるようにする制度 | JPXの銘柄詳細資料(2017は対象) |
| 交換と追加設定 | まとまった口数のETFと、株の詰め合わせ(現物株式バスケット)を取り替えること。株の詰め合わせでETFを受け取るのが追加設定 | JPXの売買制度のページ、2017の交付目論見書 |
| 指値注文・成行注文 | 値段を決めて出す注文と、値段を決めずに出す注文。ETFも株と同じように使える | JPXの売買制度のページ |
| 制限値幅 | 1日に動ける値段の幅(ストップ高とストップ安の間)。ETFはストップ高(安)で終わると、翌営業日から広がる | JPXの売買制度のページ |
| 為替ヘッジ | 外国の通貨の資産で、為替の影響を小さくする方法。コストがかかる | JPXのETFの銘柄一覧の名前(「為替ヘッジなし」など) |
売買単位は商品ごとに違います。JPXの説明では、価格が1000円で売買単位が10口なら、最低の売買金額は1万円です。
2017は1口単位です。下の図6は、価格と売買単位から最低の売買金額が決まる例を示します。
ETFの資料を開いたときに、言葉を探す順の一例です。交付目論見書から始めて、JPXの銘柄詳細資料、月次レポートの順に並べました。
- 交付目論見書の最初のページで、委託会社と受託会社を見る
- 交付目論見書の費用の表で、運用管理費用(信託報酬)と信託財産留保額を見る
- 交付目論見書で、信託期間と決算日を見る
- JPXの銘柄詳細資料で、売買単位と分配金支払基準日を見る
- 月次レポートで、基準価額が何口あたりの値かと、その日付を見る
参照:JPXの2017の銘柄詳細資料・インディカティブNAV・PCF情報・売買制度・投資のリスク・銘柄一覧・マーケットメイク制度のQ&A、資産運用業協会とJPXの用語集
基準価額の計算
1日1回
ETFが持つ資産を前日の終値
インディカティブNAVの計算
15秒毎
取引時間中
呼び名が違う同じものと、名前が似た別のもの
ここからは、確かめた資料の記載を並べて言える範囲を整理したもので、どの資料やETFを選ぶかを示すものではありません。
- 2017の運用会社は、交付目論見書では委託会社、JPXの銘柄詳細資料では管理会社と書かれています。
- 資産運用業協会の用語集は、運用会社を、運用の指図をする委託会社と説明しています。
- JPXは、ETFには基準価額・インディカティブNAV・市場価格の3つの価格があるとしています。
- 基準価額は1日1回、インディカティブNAVは取引時間中15秒毎に計算され、市場価格は取引時間中リアルタイムで動きます。
資料の言葉には、呼び名が違っても同じものを指す組と、名前が似ていても別の種類の価格を指す組があります。2017の委託会社と管理会社は前の組で、基準価額とインディカティブNAVと市場価格は後の組です。下の図7は、3つの価格の計算のしかたと頻度を並べたものです。
2017では委託会社と管理会社が同じ会社を指し、基準価額・インディカティブNAV・市場価格は別の種類の価格です。
同じ会社が、資料によって委託会社とも管理会社とも書かれていることは、並べて読むまで気づきませんでした。
参照:2017の交付目論見書、JPXの2017の銘柄詳細資料・インディカティブNAV・PCF情報、資産運用業協会の用語集
この記事で言えないこと
- ほかのETFの資料で、同じ欄に同じ言葉が使われているかは書いていません。例として確かめたのが、2017と159Aの資料だけのためです。
- 用語集の説明は、短く言い換えています。細かい条件まで書くと表が読みにくくなるため、元の用語集を出典に並べています。
- 費用の金額や基準価額の値は載せていません。この記事は言葉の意味と出てくる場所を並べるもので、値を比べるものではないためです。
数値の基準日
- 例の交付目論見書(2017の使用開始日)
- 2026年9月17日
- 例の交付目論見書(159Aの使用開始日)
- 2026年6月25日
- 例の月次レポート(2017・159A)
- 2026年9月30日
- JPXの2017の銘柄詳細資料
- 2026年2月27日
- JPXのインディカティブNAV・PCF情報のページ(更新日)
- 2026年10月16日
- JPXの売買制度のページ(更新日)
- 2026年10月22日
- JPXの基準価額等に関する情報・ETFの銘柄一覧(更新日)
- 2026年10月23日
- 資産運用業協会とJPXの用語集(取得日)
- 2026年10月24日
次に読む
交付目論見書を読むときの考え方は、ETFの目論見書は、仕様書に近いのコラムに書いています。
出典
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF JPXプライム150」投資信託説明書(交付目論見書)(使用開始日 2026年9月17日)
- 大和アセットマネジメント「iFreeETF JPXプライム150」月次レポート(基準日 2026年9月30日)
- 野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS JPXプライム150指数連動型上場投信」投資信託説明書(交付目論見書)(使用開始日 2026年6月25日)
- 野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS JPXプライム150指数連動型上場投信」月次レポート(2026年9月30日)
- JPX「2017」銘柄詳細資料(2026年2月27日現在)
- JPX「インディカティブNAV・PCF情報(ETF)」(2026年10月16日更新)
- JPX「売買制度(ETF)」(2026年10月22日更新)
- JPX「基準価額等に関する情報(ETF)」(2026年10月23日更新)
- JPX「投資のリスク(ETF)」(2017年10月2日更新)
- JPX「銘柄一覧(ETF)」(2026年10月23日更新)
- 資産運用業協会 用語集「委託会社」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「運用会社」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「受託銀行」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「販売会社」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「受益者」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「設定日」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「信託期間」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「決算日」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「繰上償還」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「償還」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「インデックス」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「運用管理費用(信託報酬)」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「信託財産留保額」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「売買委託手数料」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「監査報酬」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「分配金」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「現物株バスケット」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「純資産総額」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「口数」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「ベンチマーク」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「ポートフォリオ」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「先物取引」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「為替ヘッジ」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「目論見書」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「株価指数」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「売買単位」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「マーケットメイク」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「指値注文」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「成行注文」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「制限値幅」(2026年10月24日取得)
- JPX「マーケットメイク制度 Q&A」(2026年10月24日取得)
- 資産運用業協会 用語集「ETF」(2026年10月24日取得)
- JPX 用語集「終値」(2026年10月24日取得)
