インバース型ETFは、指数が下がった分だけ上がるのか|-1倍は1日ごとの決まりで、2営業日以上ではずれることがある

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itcareer40.jpETFの基礎インバース型ETF

JPXの例では、TOPIXが2日で14.5%下落(100→85.5)したとき、-2倍の指数は単純計算の29.0%ではなく32.0%上昇(100→132.0)しました。別の例では、TOPIXが上昇と下落を繰り返して3日目に100へ戻っても、-2倍の指数は96.0でした。JPXの一覧では、この-2倍の指数に連動するインバース型ETFが2本あります。

「インバース型ETFは、指数が下がった分だけ上がる」という言い方があります。しかし、資料で-1倍、ダブルインバースなら-2倍になるとされているのは、連動対象のインバース型指標の、前営業日と比べた1日の変動率です。2営業日以上離れた日との比較では、複利効果によって倍数を超えることも下回ることもあります。

JPXの銘柄一覧に載るレバレッジ型・インバース型ETFは36本で、うちインバース型は24本です。36本すべてに先物型の印があります。よく聞く4つの言い方をJPX・運用会社・金融庁の資料に当てた結果は、次のとおりです。

確かめた言い方 資料に当てた結果 資料
指数が1日に下がった分だけ、インバース型は上がる -1倍型の指数どうしなら合っている。 前営業日と比べた変動率が-1倍(ダブルインバースは-2倍)になるように計算されている。ETFの基準価額や市場価格は、費用や需給で指数と一致しないことがある JPX・運用会社
何日持っても、指数が下がった分だけ上がる 違っていた。 2営業日以上離れた日と比べると、-1倍を超えることも下回ることもある JPX・運用会社
指数が元の水準に戻れば、インバース型も元に戻る 違っていた。 上昇と下落を繰り返すと逓減していく。JPXの例では、TOPIXが100に戻ったとき-2倍の指数は96.0 JPX・運用会社
下がると見込むなら、NISAで長く持てばよい 資料と合わない。 運用会社は中長期の保有には適さないとしている。JPXの一覧では、NISA対象銘柄の欄が36本とも空欄 運用会社・JPX・金融庁

指数が1日に下がった分だけ、インバース型は上がるか

「指数が1日に下がった分だけ、インバース型は上がる」は、-1倍型の指数どうしの変動率なら合っているという結果です。ダブルインバース(-2倍)型は、前営業日と比べた変動率が原指標の-2倍になるように計算されます。JPXは次のように定義しています。

『インバース型指標は、原指標(TOPIX(東証株価指数)など)の日々の変動率に一定の負の倍数を乗じて算出される指標です。』

1571の対象指標である日経平均インバース・インデックスは、日経平均株価の日々の騰落率の-1倍になるよう計算されます。2001年12月28日を10000ポイントとする指数で、-1倍という関係は前営業日との比較で成立します。

ただし、指数の変動率と、ETFの基準価額や市場価格は同じものではありません。基準価額はETFの一口あたりの純資産額で、市場価格は取引所での売買を通じて需給を反映して決まる価格です。資料には、両者が指数と一致しない要因として次のものが挙げられています。

  • 信託報酬等のコスト: ETFの基準価額に影響します。
  • 追加設定・一部解約: ETFの運用目標とのずれにつながる要因です。
  • 指数と先物の値動きの差: 日経平均株価と日経平均先物の値動きが異なることも、基準価額に影響します。
  • 市場の需給: ETFの市場価格は売買の需給で決まり、基準価額と一致しない場合があります。
  • 配当落ち日: 株価指数先物に投資するETFでは、株価指数とETFの価格が乖離する要因があります。
  • ストップ高・ストップ安: 指数には取引所の制限値幅のような制限がないため、ETFを理論価格に近い価格で売買できない場合があります。

また、612Aの銘柄詳細資料には、仮に原指標が1日で100%以上値上がりした場合、-1倍の指標では投資金額の全額を失うと記載されています。

-1倍型の指数どうしの前営業日比なら合っていますが、ETFの基準価額や市場価格まで同じ変動率になるとは限りません。

参照:JPX「インバース型指標」(2025年9月1日更新・2026年10月9日取得)、JPX「投資のリスク(ETF)」(2017年10月2日更新・2026年10月9日取得)、野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)」(2026年10月9日取得)、JPX 銘柄詳細資料 612A(2026年7月現在・2026年10月9日取得)

2営業日以上持っても、指数が下がった分だけ上がるか

「何日持っても、指数が下がった分だけ上がる」は、違っていたという結果です。前営業日と比べた変動率は-1倍でも、2営業日以上離れた期間では複利効果が働きます。運用会社の説明では、2営業日以上離れた期間の日経平均インバース・インデックスの騰落率は『一般に日経平均株価の騰落率の「-1倍」とはならず、計算上、差(ずれ)が不可避に生じます』。この差はプラスの方向にもマイナスの方向にも生じうるとされています。

JPXが示すTOPIXダブルインバース(-2倍)指数の例では、原指標が同じ方向に動き続けた場合も、期間全体の変動率は単純な-2倍になっていません。

  • TOPIXが下落した例: 2日で14.5%下落(100→85.5)したとき、-2倍の指数は32.0%上昇(100→132.0)しました。単純計算の29.0%上昇を超えています。
  • TOPIXが上昇した例: 15.5%上昇(100→115.5)したとき、-2倍の指数は28.0%下落(100→72.0)しました。単純計算の31.0%下落とは一致しません。

-1倍でも同じように、複数日の結果は単純な倍率とは異なります。仮に原指標と-1倍の指数を100から始め、費用を入れずに指数どうしで計算すると、次のようになります。

  • 原指標が2日続けて10%下落: 原指標は100→90→81、-1倍の指数は100→110→121になります。原指標の19%下落に対し、-1倍の指数は21%上昇します。
  • 原指標が2日続けて10%上昇: 原指標は100→110→121、-1倍の指数は100→90→81になります。原指標の21%上昇に対し、-1倍の指数は19%下落します。

これは特定のETFの値動きではなく、費用を含めない仮の指数計算です。日々の変動率を-1倍にする計算を重ねた結果は、複数日を通じた変動率の-1倍と一致するとは限りません。

2営業日以上では、指数が下がった割合と同じだけインバース型指標が上がるとは限りません。

参照:JPX「インバース型指標」(2025年9月1日更新・2026年10月9日取得)、野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)」(2026年10月9日取得)

指数が元の水準に戻れば、インバース型も元に戻るか

「指数が元の水準に戻れば、インバース型も元に戻る」は、違っていたという結果です。JPXの例では、TOPIXが下落と上昇を繰り返して3日目に100へ戻ったとき、TOPIXダブルインバース(-2倍)指数は96.0でした。原指標が元に戻っても、-2倍の指数は同じ水準に回復していません。

-1倍の指数でも、仮の数値を使って同じ現象を確認できます。費用を入れず、原指標と-1倍の指数を100から始めた計算です。

  • 原指標の1日目: 100→90。10%下落します。
  • -1倍の指数の1日目: 100→110。10%上昇します。
  • 原指標の2日目: 90→100。約11.11%上昇し、元の水準に戻ります。
  • -1倍の指数の2日目: 110→約97.78。原指標の約11.11%上昇に対して逆方向に動き、元の100を下回ります。

この仮の計算では、原指標は100に戻りましたが、-1倍の指数は約97.78です。始めの水準より約2.22低い値です。原指標の最初と最後が同じでも、途中の変動率を日々反映した結果は異なります。

JPXの説明では、原指標が上昇と下落を繰り返す相場では、複利効果によってインバース型指標のパフォーマンスが逓減し、利益を得にくくなります。運用会社も、こうした値動きではマイナス方向の差(ずれ)が生じる可能性が高いとしています。

原指標が元の水準に戻っても、インバース型指標が元の水準に戻るとは限りません。

参照:JPX「インバース型指標」(2025年9月1日更新・2026年10月9日取得)、野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)」(2026年10月9日取得)

下がると見込んで、NISAで長く持つ使い方はできるか

「下がると見込むなら、NISAで長く持てばよい」は、資料と合わないという結果です。JPXは、中長期にわたる投資では原指標とインバース型指標の変動率の乖離が大きくなる可能性を指摘しています。1571の運用会社の説明も、中長期の保有には適さず、短期間の値動きを捉える投資に適している、というものです。

インバース型商品の運用には、一般的に先物取引が使われます。612Aの資料によると、インバース型商品は一般的に先物取引のコストを負担し、期限(限月)を乗り換える際にはリスクが生じます。JPXも、先物型ETFではロールオーバーと呼ばれる限月の乗換えに伴って損益が発生する場合があるとしています。

JPXの一覧にあるインバース型ETF24本は、連動対象指標によって次のように分かれます。

  • 日本株の指数:14本。TOPIX・日経平均・JPX日経400を対象としています。
  • 米国株の指数:5本。NASDAQ100・S&P500を対象としています。
  • 国債の先物:3本。2251・140A・612Aです。
  • 香港の株価指数:1本。
  • 東証REIT指数:1本。

この24本のうち、連動対象指標の名前にダブルか2倍が入るものは12本です。レバレッジ型も含めたETF36本すべてに、先物型の印があります。

NISAについては、同じJPXの一覧で確認できます。

  • NISA対象銘柄の欄: ETF36本とも空欄です。
  • 一覧の注記: この欄は、一般社団法人資産運用業協会が公表するデータに基づいて更新されています。
  • 金融庁の資料: NISAの成長投資枠は上場株式・投資信託等を対象とする一方、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外しています。

なお、ETN(指標連動証券)はETFとは別の一覧に掲載されています。連動対象指標にインバース・ショートが入るETNは6本ありますが、ここで数えたインバース型ETF24本には含めていません。

運用会社は中長期の保有に適さないとしており、JPXの一覧でもインバース型を含むETF36本にNISA対象の印は付いていません。

参照:JPX「インバース型指標」(2025年9月1日更新・2026年10月9日取得)、JPX「インバース型商品のリスク」(2016年5月20日更新・2026年10月9日取得)、JPX「先物型ETFのリスク」(2026年2月19日更新・2026年10月9日取得)、JPX ETFの「銘柄一覧(レバレッジ型・インバース型商品)」(2026年10月9日取得)、JPX ETNの「銘柄一覧(レバレッジ型・インバース型商品)」(2026年10月9日取得)、野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)」(2026年10月9日取得)、JPX 銘柄詳細資料 612A(2026年7月現在・2026年10月9日取得)、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月・令和7年9月改訂・2026年10月9日取得)

4つの言い方を資料に当てて言えること

ここからは、この記事で並べた資料の記載から、そのまま導ける範囲の推論です。相場の見通しではありません。

-1倍型のインバース型指標は、前営業日と比べた変動率が原指標の日々の変動率の-1倍となるように計算されます。一方、2営業日以上離れた期間では、原指標の値動きによって差(ずれ)が変化します。

仮の数値例では、原指標が100→90→81の場合も、100→90→100の場合も、1日目の-1倍の指数は110です。しかし、2日目にはそれぞれ121と約97.78になり、結果が分かれます。

何日か離れた時点で比べた-1倍型のインバース型指標の変動率は、その間の原指標の値動きによって変わり、その期間の原指標の変動率を-1倍した値になるとは限りません。

-1倍という名前から、何日持っても指数と逆の割合で動くものだと思っていました。指数が100に戻っても約97.78にとどまる計算を見て、1日ごとの決まりだという意味がようやく分かりました。

参照:JPX「インバース型指標」(2025年9月1日更新・2026年10月9日取得)、野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)」(2026年10月9日取得)

この記事で言えないこと

  • 銘柄ごとの信託報酬・基準価額・過去の騰落率は書いていません。この記事は、インバース型指標の決まりを資料で確かめることに絞ったためです。
  • 実際のTOPIXや日経平均の過去の値動きでは計算していません。計算は、JPXの例と仮の数値例だけにしたためです。
  • ETN(指標連動証券)の6本は、仕組みを確かめていません。ETFとは別の一覧の商品で、この記事で読んだ資料は主にETFのものだったためです。

数値の基準日

JPXの資料・銘柄一覧と、運用会社・金融庁の資料(取得日)
2026年10月9日取得

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出典

Sho
Sho

業務系SEとして長年

計画・リスク管理・数値設計を軸に、
ETFの情報整理から投資判断までをテンプレ化・自動化してきた。

新NISAの時代だからこそ、
感情よりも「仕組み」で迷わない投資を。

—— 焦らず、ブレず、仕組みで勝つ。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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