itcareer40.jp比べて選ぶ237A・238A
237Aと238Aはどちらも利息のつかない米国債に投資し、為替ヘッジを行うのは238Aです。
主に利息のつかない国債を持つETF(証券取引所に上場する投資信託)なら、分配金(運用で得た収益を、口数に応じて決算ごとに分けるお金)は出ないと思いがちです。でも237Aと238Aは、2025年10月から2026年7月までの4回の決算で、分配金を出しています。
どちらもブラックロック・ジャパンのETFで、愛称は237Aが「ウルトラロング米債」、238Aが「ウルトラロング米債(ヘッジあり)」です。作りの違いは為替ヘッジ(外国の通貨の資産で、為替の影響を小さくする方法)で、238Aは行い、237Aは行いません。
2本で同じところは、次のとおりです。
- 2本とも、主に米国のストリップス国債(利息がつかない国債)に投資し、その指数(特定のマーケットの動向を表す指標)への連動を目指します。
- 信託報酬(運用と管理の対価として支払われる費用)は、2本とも年0.154%(税込)です。
- 売買単位は2本とも10口で、決算は年4回(1、4、7、10月の各11日)です。
- NISAでは、2本とも成長投資枠(つみたて投資枠と併用できる、NISAのもう一つの枠)の対象です。
違うところは、次の表のとおりです。表の基準価額(毎日計算される、1口あたりの資産の価値)と純資産総額(費用などを差し引いた、ETF全体の大きさ)は、2026年10月23日の値です。
| 項目 | 237A | 238A |
|---|---|---|
| 為替ヘッジ | 原則として行わない | 原則として行う |
| 目指す指数 | FTSE米国債STRIPS元本25年超インデックス(国内投信用、円ベース) | FTSE米国債STRIPS元本25年超インデックス(国内投信用、円ヘッジ・円ベース) |
| 1口の基準価額 | 142.148円 | 118.5円 |
| 純資産総額 | 約51.9億円 | 約45.6億円 |
2本が持つストリップス国債
19銘柄
2026年10月23日の保有銘柄の一覧
決算
年4回
1、4、7、10月の各11日
利息のつかない国債を持つ2本に、分配はありますか
利息のつかない国債を持つ2本も、2025年10月から2026年7月までの4回の決算で、どれも分配金を出しています。
ストリップス国債は、利付国債(定期的に利息が支払われる国債)の元本の部分と利息の部分を分けて、別々に売り買いされます。資産運用業協会の用語集によると、債券は額面に対して利息がつき、満期になると元本が全額返ってきます。
ストリップス国債は利息がつかない代わりに、発行時の価格は額面価格(満期に返ってくる元本の金額)よりも低く設定されます。その差額が、利息の分の価値にあたります。下の図1は、利付国債とストリップス国債の違いを示します。
どちらも主として、満期までの期間が25年を超える米国のストリップス国債へ投資します。2026年10月23日の保有銘柄の一覧では、2本とも同じ19銘柄のストリップス国債を持ち、どれも米ドルの国債です。
満期は2051年から2056年に分かれています。下の図2は、満期の年ごとの銘柄の数を示します。
ストリップス国債は、満期までの期間が同じ利付国債よりデュレーションが長くなります。デュレーションは、金利の変動で債券の価格がどれだけ動くかを示す値です。
そのため、金利が変動したときの価格の動きが大きくなる傾向があります。価格は一般的に、金利が上がると下がり、金利が下がると上がります。どちらも、交付目論見書(投資信託の説明書)にある一般的な説明です。
決算は年4回です。交付目論見書は、分配について次のように注記しています。
「本ファンドは債券購入時の価格に対する利回りから経費等を差し引いた金額を分配対象額の範囲とします。」
国債を買ったときの価格をもとにした収益から、経費などを引きます。その額が、分配に回せる額の範囲です。
2026年7月期の決算短信には、決算ごとの「分配金の計算過程」が載っています。どちらにも、2025年10月11日と2026年1月11日の決算の分があります。
4月11日と7月11日の決算の分もあります。4回のどれでも、前の決算からの繰越分を含む配当などの収益から、経費を差し引いた範囲で分配金を出しています。下の図3は、分配の流れを示します。
分配を行わないことがあり、毎回の支払いが決まっているわけではありません。分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額は下がります。
参照:237A・238Aの交付目論見書・保有銘柄と基準価額のデータ・決算短信、FTSE Russellの指数の基本ルール、資産運用業協会の用語集「債券」
237Aと238Aの作りの違いは、為替ヘッジです
2本の作りの違いは為替ヘッジで、238Aは原則として為替ヘッジを行い、237Aは行いません。
東京証券取引所のETFは円で取引されます。JPXの説明の例は、1ドル=100円でドル建ての資産に投資する場面です。
資産の価格が変わらなくても、1ドル=110円になると、円で見た価値は増えます。反対に、1ドル=90円になると、円で見た価値は減ります。
237Aは原則として為替ヘッジを行いません。そのため、為替レートの変動が運用成果に影響します。
238Aは為替の影響を小さくすることを目指し、原則として為替ヘッジを行います。ただし、「為替変動による影響のすべてを回避することはできません」。
ヘッジする通貨の金利が円の金利より高い場合は、ヘッジ・コストがかかります。JPXの説明では、円の金利より高い通貨をヘッジすると、その金利の差がヘッジ・コストになります。
2026年10月23日の238Aの保有銘柄の一覧には、米ドルと円のフォワード(為替の取引)が入っています。237Aの一覧にはありません。下の図4は、JPXの説明の例と、2本の為替ヘッジの違いを示します。
237Aが目指すのは、「FTSE米国債STRIPS元本25年超インデックス(国内投信用、円ベース)」です。
238Aは、「FTSE米国債STRIPS元本25年超インデックス(国内投信用、円ヘッジ・円ベース)」を目指します。2つの指数の名前の違いは、「円ヘッジ」があるかどうかです。
2026年10月23日の基準価額は、237Aが142.148円、238Aが118.5円です。売買単位はどちらも10口です。
1回の売買の目安は、237Aが1,421.48円、238Aが1,185円です。実際に売買する値段は取引所の値段で、基準価額とは一致しないことがあり、日々変わります。下の図5は、2本の1回の売買の目安を示します。
2026年10月23日の純資産総額は、237Aが約51.9億円です。238Aは約45.6億円です。
繰上償還(途中で運用を終えて、投資家にお金を返すこと)の条件は、2本で同じです。設定日(運用がスタートした日)から3年経過の日以降に、純資産総額が50億円を下回っている場合などは、繰上償還させる場合があります。
上場廃止になった場合や、指数が廃止された場合なども、繰上償還の条件です。設定日は2本とも2024年8月26日で、3年経過は2027年8月26日です。
2026年10月23日は、どちらも3年を経過する前です。下の図6は、繰上償還の条件と日付を示します。
為替ヘッジのあり・なしで分かれるETFを資料で見るときの、確かめる順の一例です。
- 名前に「為替ヘッジあり」があるかを見る(238Aにある)
- 交付目論見書の為替変動リスクの欄で、為替ヘッジを行うかと、ヘッジ・コストの書き方を見る
- 保有銘柄の一覧で、持っている国債と、米ドルと円のフォワードがあるかを見る
- 基準価額と売買単位から、1回の売買に必要な金額の目安を出す
- 交付目論見書で、設定日と繰上償還の条件を見る
参照:237A・238Aの交付目論見書・保有銘柄と基準価額のデータ・ファクトシート、JPXの銘柄詳細資料・為替ヘッジ指標の説明、資産運用業協会の成長投資枠対象商品リスト
同じ国債を持つ2本で、値動きに影響するものはどう違いますか
ここからは、確かめた資料の記載を並べて言える範囲を整理したもので、2本の優劣や値動きの見通しを示すものではありません。
- 2026年10月23日の保有銘柄の一覧では、2本とも同じ19銘柄のストリップス国債を持っています。
- 2本とも、金利の変動が運用成果に影響すると、交付目論見書に書かれています。
- 237Aは原則として為替ヘッジを行わず、為替レートの変動が運用成果に影響します。
- 238Aは為替ヘッジで為替の影響を小さくしようとしますが、すべては避けられず、ヘッジ・コストがかかることがあります。
同じ国債を持つ2本でも、円で見た値動きに影響するものは同じではありません。金利の動きは2本とも受け、為替の動きは237Aが受け、238Aは為替ヘッジで小さくしようとします。下の図7は、2本で同じものと、円で見た値動きに影響するものを示します。
同じ国債を持つ2本の違いは、為替ヘッジを行わずに為替の動きの影響を受けるか、為替ヘッジでその影響を小さくしようとするかにあります。
利息のつかない国債を持つETFにも分配のもとになる収益があることは、決算短信の分配金の計算過程を読むまで知りませんでした。
参照:237A・238Aの交付目論見書・保有銘柄と基準価額のデータ、JPXの為替ヘッジ指標の説明
この記事で言えないこと
- ヘッジ・コストの率は書いていません。交付目論見書とJPXの説明は、かかる条件を書いていますが、率は載っていないためです。
- 分配金の額は比べていません。決算ごとに変わるうえ、2本の額を並べると、どちらが多いかを比べる形になるためです。
- 7月11日より後の決算(10月11日など)の分配は書いていません。この記事で見た決算短信は2026年7月期のもので、その後の決算が入っていないためです。
数値の基準日
- 保有銘柄・基準価額・純資産総額(運用会社のデータ)
- 2026年10月23日
- 交付目論見書(2本とも)
- 2026年10月10日
- ファクトシート(2本とも)
- 2026年9月30日
- 決算短信(2026年7月期・2本とも)
- 2026年8月21日
- JPXの銘柄詳細資料(2本とも)
- 2026年2月27日
- JPXの為替ヘッジ指標の説明(更新日)
- 2020年10月15日
- FTSE Russellの指数の基本ルール(版)
- 2026年7月
- 資産運用業協会と金融庁の資料・用語集(取得日)
- 2026年10月25日
次に読む
- 株のETFで、為替ヘッジのあり・なしを並べた記事:2631 vs 2632 vs 534A
- 金のETFで、為替ヘッジのあり・なしを並べた記事:424A vs 425A
- 米国の債券をまとめて持つETFの記事:iシェアーズ 米国総合債券 ETFとは
出典
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ 米国債25年超 ロングデュレーション ETF」投資信託説明書(交付目論見書)(2026年10月10日)
- ブラックロック・ジャパン「iシェアーズ 米国債25年超 ロングデュレーション ETF(為替ヘッジあり)」投資信託説明書(交付目論見書)(2026年10月10日)
- ブラックロック・ジャパン「237A」保有銘柄・基準価額のデータ(2026年10月23日)
- ブラックロック・ジャパン「238A」保有銘柄・基準価額のデータ(2026年10月23日)
- ブラックロック・ジャパン「237A」ファクトシート(2026年9月30日)
- ブラックロック・ジャパン「238A」ファクトシート(2026年9月30日)
- ブラックロック・ジャパン「237A」2026年7月期 決算短信(2026年8月21日)
- ブラックロック・ジャパン「238A」2026年7月期 決算短信(2026年8月21日)
- FTSE Russell「FTSE 米国債STRIPS 元本25年超インデックス(投信基準)」基本ルール(2026年7月 v1.3)
- JPX「237A」銘柄詳細資料(2026年2月27日現在)
- JPX「238A」銘柄詳細資料(2026年2月27日現在)
- JPX「為替ヘッジ指標」(2020年10月15日更新)
- 資産運用業協会「成長投資枠対象商品リスト(上場ファンド)」(2026年10月25日取得)
- 金融庁「NISAを知る」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「ETF」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「運用管理費用(信託報酬)」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「為替ヘッジ」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「基準価額」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「決算日」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「純資産総額」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「分配金」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「繰上償還」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「インデックス」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「債券」(2026年10月25日取得)
- 資産運用業協会 用語集「設定日」(2026年10月25日取得)
- JPX 用語集「売買単位」(2026年10月25日取得)

