itcareer40.jpETFの基礎指値と成行
ETFを初めて買おうとして注文画面に進むと、「指値」と「成行」を選ぶ欄があります。どちらを選ぶと値段や売買の成立がどう変わるのか分からず、手が止まります。指値は値段を指定する注文で、成行は値段を指定しない注文です。
指値注文と成行注文は、何が違う?
指値注文は売買値段を指定する注文で、成行注文は売買値段を指定しない注文です。
売買が成立することを「約定(やくじょう)」といいます。実際に売買が成立した価格が「約定値段」です。指値と成行では、約定する順番や値段の決まり方に違いがあります。JPX(日本取引所グループ)の説明をもとに、違いを表にまとめます。
| 項目 | 指値注文 | 成行注文 |
|---|---|---|
| 値段の指定 | 指定する。買いなら「その値段以下で」という意味 | 指定しない |
| 約定の順番 | 成行のあと。同じ値段なら先に出した注文から | 指値より先 |
| JPX の説明にある注意 | その値段に届くまで、約定せずに待ち続ける | 出来高が少ない銘柄や値動きが大きいときは、意外に高い(安い)値段で成立することもある |
指値では希望する値段に届かず、売買が成立しないことがあります。一方、成行は指値より優先されますが、成立する値段を注文時点で指定することはできません。
参照:JPX 用語集「指値注文」(2026年10月12日取得)、JPX 用語集「成行注文」(2026年10月12日取得)、JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX 用語集「約定値段」(2026年10月12日取得)
ETFも、株と同じように指値や成行で注文できる?
ETFも株式と同じように、指値注文と成行注文を利用できます。
JPXは「ETFの売買を行うにあたり、通常の株式と異なる特別なルールはありません。」と説明しています。ただし、JPXは同じページで、ストップ高・ストップ安になったETFの値動きの幅について、株式と違う扱いも説明しています。
呼値の単位とは、注文できる値段の刻みのことです。これも株式と同じです。JPXの例では、900円のETFに『903円で買い』や『894円で売り』と注文できます。
売買単位とは、売買できる数量のまとまりです。「口(くち)」はETFの数量を表します。JPXの例では、価格1000円、売買単位10口の場合、最低売買価格は1万円となります。
参照:JPX「ETFの売買」(2026年10月2日更新・2026年10月12日取得)、JPX 用語集「売買単位」(2026年10月12日取得)
指値で買うと、指定した値段ちょうどで買うことになる?
買いの指値注文は指定した値段以下で買う注文なので、必ず指定額ちょうどで約定するわけではありません。
JPXの例では、1,500円の買い指値を出していても、1,499円で買えるなら、その値段で約定します。指値は買う値段の上限として働くためです。
一方、現在値が1,501円なら、1,500円以下で買える状態になるまで待ち続けます。注文を出しただけでは売買は成立しません。指定した値段以下で買えなければ、約定しないままとなります。
参照:JPX 用語集「指値注文」(2026年10月12日取得)
成行注文で気をつけることは?
成行注文は値段を指定しないため、早く売買したい場合でも、思わぬ値段で成立することがあります。
JPXは、成行注文を売買を早く確実に執行したいときに利用する注文としています。ただし、出来高(売買が成立した数量)が少ない銘柄では、意外に高い値段や安い値段で成立することがあります。
市場価格の変動が大きいときも、成立する値段は注文前に指定できません。値段が乱高下する場面では、成行注文が思わぬ値段で約定するおそれがあります。
参照:JPX 用語集「成行注文」(2026年10月12日取得)、JPX 用語集「売買高」(2026年10月12日取得)、JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)
注文は、どんな順番で約定する?
注文は価格優先・時間優先のルールで扱われ、成行注文は指値注文より優先されます。
価格優先とは、売り注文なら安い値段を、買い注文なら高い値段を優先するルールです。値段を指定しない成行注文は、値段を指定した指値注文より先に扱われます。
時間優先とは、同じ値段の注文なら先に出した注文を優先するルールです。同じ価格の買い指値を出していても、先に出された注文から約定します。注文の値段が同じでも、出した順番によって扱いが変わります。ただし、取引の始まりなどでは、それまでに出た注文をすべて同時に出したものとみなすため、この順番は当てはまりません。
参照:JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)
取引が始まるときと取引中で、値段の決まり方は違う?
取引の開始時と取引中では、売買が成立する方法が違います。
取引所で売買する時間を立会時間といいます。午前の取引時間である前場は9時から11時30分までで、東京証券取引所(東証)は前場の注文を8時から受け付けます。「板」とは、売りと買いの注文を並べた控えです。
午後の取引時間である後場は12時30分から15時30分までで、東証は後場の注文を12時5分から受け付けます。始値は取引開始時に最初に成立した値段です。終値は、1日のうちで最後に取引された値段です。
取引開始時は、それまでの注文をすべて同時に出したものとみなし、板寄せ方式で始値を決めます。その後はザラバ方式に切り替わります。取引中は価格優先・時間優先に従い、売買が次々に成立していきます。
参照:JPX「売買立会時(立会時間)」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX 用語集「板寄せ方式」(2026年10月12日取得)、JPX 用語集「ザラバ方式」(2026年10月12日取得)、JPX 用語集「終値」(2026年10月12日取得)
画面に出る『気配』とは何?
気配とは、売りたい人や買いたい人が示した値段で、実際に売買が成立した値段とは違います。
買いたい値段や売りたい値段を表すのが気配です。ETFでも、この気配情報を見ながら売買できます。注文が出ている値段と、売買が成立した約定値段は、同じ意味ではありません。
直前の値段から決められた幅(更新値幅)を超えて離れた水準で次の売買が成立しそうなときは、すぐに成立させず、特別気配を表示します。高い側は買特別気配です。安い側は売特別気配と呼びます。
反対側の注文が入らず、売買が成立しない場合は、3分間隔で特別気配を更新します。売買が成立する値段に向けて、段階的に近づけていく仕組みです。
参照:JPX 用語集「気配」(2026年10月12日取得)、JPX「ETFの売買」(2026年10月2日更新・2026年10月12日取得)、JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX「特別気配の更新値幅」(内国株の売買制度)(2015年12月22日更新・2026年10月12日取得)
前場(午前の立会時間)
9時から11時30分
後場(午後の立会時間)
12時30分から15時30分
特別気配を更新する間隔
3分間隔
ストップ高・ストップ安になると、注文はどうなる?
ストップ高・ストップ安は値動きの上限・下限に達した状態で、注文が必ず約定するわけではありません。
東証では、前日の終値などを基準値段として、値動きの幅を制限しています。この幅が制限値幅です。その上限まで値段が上がるのがストップ高で、下限まで下がるのがストップ安です。
売りたい人と買いたい人のバランスを需給といいます。需給が大きく偏った場合の終値を決める方法がストップ配分です。東証が証券会社ごとに売買を成立させ、各証券会社は社内のルールで、注文を出した人への配分を決めます。配分されない証券会社もあり、注文が約定するかどうかは東証と証券会社のルールによります。
ETFについては、ストップ高またはストップ安の値段で立会を終了すると、翌営業日から制限値幅が拡大されます。
参照:JPX「制限値幅」(内国株の売買制度)(2026年10月9日更新・2026年10月12日取得)、JPX 用語集「ストップ高・ストップ安」(2026年10月12日取得)、JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX「ETFの売買」(2026年10月2日更新・2026年10月12日取得)
その日の最後の値段(終値)は、どう決まる?
終値は、午後3時30分の板寄せで売買が成立すればその値段になり、成立しなくてもその日中に売買があれば、その最後の値段になります。
取引中に売買が続くザラバの終了から、終値の決定までは段階が分かれています。その間には、プレ・クロージングと呼ばれる注文受付時間が設けられています。
- 午後3時25分:ザラバが終了します。
- そのあとの5分間:プレ・クロージングで注文を受け付けます。
- 午後3時30分:板寄せを行います。
ザラバ終了時に成立しなかった注文は、プレ・クロージングに引き継がれます。この時間は売買が成立しませんが、新たな発注や注文の変更・取消はできます。
指値は「その値段ちょうど」で買う注文だと思っていました。「その値段以下で」という意味だと知り、注文を出す前に、何を決める注文なのかを確かめたいと思いました。
参照:JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)、JPX 用語集「終値」(2026年10月12日取得)
この記事で言えないこと
- 指値と成行のどちらを選ぶべきかは書いていません。この記事は、読者に特定の注文の出し方を勧めない方針のためです。
- 注文画面の操作や注文の有効期限は書いていません。証券会社ごとに違い、JPXの資料には載っていないためです。
- 制限値幅の具体的な値は書いていません。基準値段によって変わるため、JPXの「制限値幅」の表で確かめる形にしています。
数値の基準日
- JPX「ETFの売買」の更新日
- 2026年10月2日
- JPX「売買成立の方法」の更新日
- 2024年11月4日
- 資料を取得した日
- 2026年10月12日
次に読む
ETFを売買できる時間や売買単位、一日に値段が動ける幅を株式と並べて確かめるなら、東証でETFを売買するときのルールを株式と並べる|取引時間・売買単位・制限値幅・決済日です。取引時間中に、市場価格をETFが持つ資産の推定価値と見比べる目安は、15秒ごとに算出されるETFの推定価値|iNAV(インディカティブNAV)とは何か、市場価格とずれるのはなぜかで扱っています。
出典
- JPX「ETFの売買」(2026年10月2日更新・2026年10月12日取得)
- JPX「売買成立の方法」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)
- JPX「売買立会時(立会時間)」(内国株の売買制度)(2024年11月4日更新・2026年10月12日取得)
- JPX「制限値幅」(内国株の売買制度)(2026年10月9日更新・2026年10月12日取得)
- JPX「特別気配の更新値幅」(内国株の売買制度)(2015年12月22日更新・2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「成行注文」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「指値注文」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「気配」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「約定値段」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「板寄せ方式」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「ザラバ方式」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「ストップ高・ストップ安」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「売買単位」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「終値」(2026年10月12日取得)
- JPX 用語集「売買高」(2026年10月12日取得)

